2024.02.27
漬けもの特有の発酵で生まれるうまみは、料理に使うとちょっと深い味になります。わたしがよく使うのは辛子高菜漬け。鍋や煮込みといった冬の定番に加えると、発酵させた高菜の漬けもの的うま味と唐辛子のアクセントが加わって、すっきりした塩味の中に深みのある、ついつい食べちゃう味になります。寒いいまなら汁気たっぷりの煮物でも。汁だく仕上げなのでスープの役割も果たします。小さな土鍋を使えば、できたてのぐつぐつを鍋からじかにすくって楽しめる。鍋もの未満の汁おかずでご飯もすすみ、複雑なうまみがワインも呼びます。
白菜の葉3〜4枚は食べやすく切る。にんにく、しょうが各1かけ、ねぎ1本はみじん切りにする。鍋にごま油大さじ1とねぎ、にんにく、しょうがを入れて弱火で熱し、香りが立ったら辛子高菜漬けのざく切り・山盛り大さじ2を加える。しっかり炒めたら水1カップと酒大さじ2、帆立て貝柱の缶詰(80g入り)1缶の缶汁をすべて加えて煮立て、白菜を加えてふたをし、弱火で10分ほど煮る。一度味をみて塩で調える。白菜が柔らかくなったら春雨一つかみと帆立て貝柱を加え、さらに春雨が柔らかくなるまで5分ほど煮る。仕上げに黒こしょうを軽くひき、香りづけにごま油をひと回しして完成。
うまみだらけのスープを吸った春雨やくったりと甘く煮込まれた白菜が、寒い日にはとくにうれしい。帆立て缶の代わりにちくわやさつま揚げなどの練りものや豚バラ肉、ひき肉の団子なども合います。でも、帆立て貝柱のうまみは別格。ビールもワインもいける、けしからん真冬のおかずが完成です。
馬田草織
文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。思春期真っ盛りの女子中学生と2人暮らし。最新刊「ムイトボン! ポルトガルを食べる旅」(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰。開催日などはインスタグラムからどうぞ。
インスタグラム @badasaori
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