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馬田草織の塾前じゃないごはん
塾前じゃないごはん=お夕飯のこと。ポルトガル料理研究家で文筆家の母・馬田草織さんとJKこと女子高校生の娘さん。女2人で囲む気ままな食卓の風景をお届けします。さて今晩の「塾前じゃないごはん」は?

青春ってやつのおすそわけをありがとう。そして親は子どもにとっての〈障害物〉という自覚を持つ『エメラルド焼きそば』のレシピ

2024.03.26

「エメラルド焼きそば」のレシピ

[第25回]『青春ってやつのおすそわけをありがとう。そして親は子どもにとっての〈障害物〉という自覚を持つ』

[第24回]受験終了、からの早春買い物デイズ。そしてJK弁当どうするよ問題。

春の始まりに、今年も感じる確かな事実。季節はめぐり、人はまた年をとり、うちのJC(女子中学生)娘の口達者にはますます磨きがかかった。最初の2つは自然の摂理と謙虚にとらえるが、最後は頼もしい成長とわかりつつもやっぱりムカつく。

JC娘、ついに卒業!

そんなJC娘もこの春でついにC学校を卒業となった。2024年3月のC学校卒業式は、2021年4月のコロナ禍の入学式と打って変わってマスクははずれ、なにより子どもたちの合唱が聞けた。ティーンのみずみずしい声が奏でるメロディは生命力に満ちていて、老化まっしぐらのわれら親世代にはまぶしい希望でしかない。あと数年もすればこのC学生たちも大人になり、社会の原動力になる。まだまだ中身は子どもだけれど、きっとあっという間にいっしょに世界をつくる仲間になるんだよね。そのときはみなさんよろしく。そんな気持ちになる卒業式だった。

体育館で式を終え、校庭に出て友達や先生と記念写真を撮り合うC学生たち。ふざけ合ったり笑い合ったりしながら別れを惜しむその様子は、興奮とおちゃらけが入り交じったせつなさそのもの。最後まで校庭から出られず、わちゃわちゃと戯れるティーンたちに、これまた名残惜しそうに、でも帰りを促す先生たち。校門を出てなおわいわいと歩くなか、卒業する一人の男子生徒の制服の第二ボタンがなくなっているという事実に、周囲が雄たけびを上げ一気に盛り上がる。なにこの青春、まだそのエピソードありなんだ。みんなの中ではにかむきみ、最高にいい照れ顔してるよ。卒業式の帰り道、思いがけず不器用な青春ってやつのおすそわけをいただきました。ありがたや、神棚に飾ろう。

かまってほしくないし、ほっといてくれて大丈夫。でも、無関心でいられるとそれはそれでなんか腹が立つ。JC娘にとって、きっといまの私はそんな存在。
「だからその話は300万回聞いたからもう大丈夫」「はいはいはい」「あーはいは1回でしょ、はい知ってます」
いつもだいたいこんな感じで邪険にかわされるティーンの親という存在は、漂うように子どもを見守る不思議な立ち位置だ。じゃましないで、でもほうっておかないで。ほんと加減がわからなさすぎる。まだまだ迷えるなか、来月からJC娘はJK娘に。さらに思春期濃度が高まってバトル激化するよ、と恐ろしい経験談を聞かせてくれる人もいる。それ、きっとうちもあるな。なにしろJK時代の自分がそうだったから。だからこれからも、サンドバッグの役割を全うする所存だ。

子どもの自立にとって親は〈障害物〉

でも、サンドバッグになるってほんとつらいのよ。そんなとき、わたしの子育てにおける心の師匠、精神科医の大下隆司先生の言葉に勇気をもらう。わたしと同じようなサンドバッグ担当の方々に、最後にこの文章を送りたい。パンチを受けまくって心が痛いとき、ちょっと長いけれど、これを何度も読み返してほしい。


―そもそも反抗期は、親の考えや価値観が自分とは違うと気づくことから始まります。そのため、子供の為と思ってやってきたことも含めて親の考え方や生き方を否定してきます。「何のために苦労してここまで育ててきたんだ」と親なら誰もが嘆きたくなるでしょう。

でもね、子供の自立にとって、親という存在は良くも悪くも〈障害物〉なんですよ。親を否定しているわけではなく、親と違う自分なりの価値観を見出したいだけなのです。

思春期は、自分はどんな人間なのか、何をしたいのか、アイデンティティーを模索する時期です。自分のことがわからなくて混乱し、もがき苦しみ、悩みながら自我を確立していきます。それは親が手を出してはいけない領域です。

親子の距離が思春期のいちばんの発達課題。思春期になっても、小学生の頃と同じように親との距離が近いまま育った子は、成人しても自分のしたいことを思い切ってできなかったり、何かあったときに独りで立ち向かえず、心が折れやすいように思います。

もしかして、人目を気にして〈いいお母さん〉〈いい子〉を演じているところはないですか? 幼い頃の親密な関係を手放すのが淋しくて、物分かりのいい親子になっていませんか? そうだとしたら、互いにもう少し本音をぶつけてみてもいいと思います。あまりに居心地のいい家庭は、子供の自立の妨げになるかもしれませんよ。

現状に満足せず、自分で考えて新しい生き方を模索する、思春期の子供の自然な自己発達力を受け入れてください。親にありのままの自分を認めてもらえない子供は、自分に自信が持てないまま、人生に問題を抱え苦しむことになるかもしれません。

親の支配から逃れて自我を模索し巣立とうとする子を、親はひとりの人間として見守る。親子が物理的にも精神的にも離れることで、子供は自立していくことができるのです。

大下隆司・著『思春期デコボコ相談室 母娘でラクになる30の処方箋』(集英社)より


さて、JC娘のC学校卒業とともに、この連載もめでたくおしまいとなります。読んでくださったみなさま、ありがとうございました。そして夏ごろには、書籍となってみなさまの前に現れる予定です。来月からしばらくは、JKになった娘との様子もお届けするやもしれません。そのときはまた、どうぞおつきあいください。

今回の塾前じゃないごはん

「エメラルド焼きそば」

塾前でも塾前じゃなくても、春キャベツをどっさりと入れた焼きそばは、特盛りがちょうどいい。青のりの量が間違っているかのようですが、わたしにとって青のりは具のひとつなのでこのぐらいないと寂しい。エメラルドグリーンな仕上がりが通常スタイルです。JC娘の要望どおり、味つけは付属の粉末ソースを全量入れてこじゃれない屋台の味に。仕上げに黒こしょうをたっぷりひき、ひと炒めして完成。

豚バラ肉150gと春キャベツ1/4個は一口大に切る。玉ねぎ1/2個はくし形に切る。にんにくとしょうが各1かけはみじん切りにする。フライパンにごま油小さじ2を入れてにんにくとしょうがを熱し、香りが立ったら肉に塩、こしょうして焼く。色が変わってきたら玉ねぎとキャベツを加え、かるく塩、こしょうしてさっと炒め、一度皿などに取り出す。そのままのフライパンに電子レンジ(600W)で袋ごと20秒温めた中華蒸し麺をもみほぐして2袋入れ、酒大さじ2を入れてしっかりほぐし、そのまま焼きつける。麺に火が通ってきたら付属の粉末ソースをまんべんなくふってしっかりからめながら焼く。麺が色づいたら先ほどの肉野菜炒めを戻し入れ、さっと炒め合わせて黒こしょうをたっぷりひいて完成(ちなみにちょっと辛口に仕上げたいときは、麺2袋に対しあの粉を1袋と、「イカリソースレトロ」というシャバシャバ系の関西ソースを加えることも)。
皿に盛り、青のりを麺が見えなくなるぐらいふって紅しょうがを添える。好みでもやしやかきなどを加えても。

馬田草織
馬田草織
文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。思春期真っ盛りの女子中学生と2人暮らし。最新刊「ムイトボン! ポルトガルを食べる旅」(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰。開催日などはインスタグラムからどうぞ。
インスタグラム @badasaori

『馬田草織の塾前じゃないごはん』 毎月第2・第4火曜更新・過去の連載はこちら>>>

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