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馬田草織の塾前じゃないごはん
塾前じゃないごはん=お夕飯のこと。ポルトガル料理研究家で文筆家の母・馬田草織さんとJKこと女子高校生の娘さん。女2人で囲む気ままな食卓の風景をお届けします。さて今晩の「塾前じゃないごはん」は?

出張の間のごはんをどうするか、それが問題だ。『呑めるれんこんのスパイシーご飯』のレシピ

2023.10.10

はしりのれんこんで。「呑めるれんこんのスパイシーご飯」

[第15回]出張の間のごはんをどうするか、それが問題だ。

[第14回]思いやれる人、という付箋を拾った

久しぶりに4日間の地方出張に出かけた。家のごはん担当者にとって、4日間の出張イコール、4日間の家族の食事をどうするか問題、にもなる。買い置き食材を確認し、おかずなどを作って冷凍保存しておく。出張先での仕事も大事だが、出張前の食事準備仕事もおろそかにできず、なかなかに手間がかかる。出張だけ行けば事がすむわけではないのだ。

出張の間の留守番ごはんJC編

娘が保育園や小学校時代は、長期の出張があると近くの両親にお願いしていた(両親にはひたすら感謝)。でも、娘はもう中学生。自分で簡単に作って食べる力は充分にあるし、むしろ一人で好きにやりたいお年ごろ。それでもとりあえず何か作っておかないと気になるので、パスタ用のミートソースときのこソースの2種、レンチンしたご飯にかけるドミグラスソース、だしごとの冷凍うどん、牛テールスープの残りなどを冷凍庫にストックし、さらに焼きそば麺と基本的な野菜を少し買っておいた。豚バラ肉は冷凍してあるから、レンジで解凍して炒めればいい。

念のためお金をいくらか置いていくから、好きなものを作って食べてもいいよ。前日の夕ごはんどきにそう話す。親のいない4日間。どうやら娘はわたしの不在を楽しみにしている様子。あれこれ言われることなく、一人で好きに過ごせる4日間。つまりそれはパラダイス。おぬし、テレビ画面でYouTubeとか見まくるんだろうけど、夜更かししないで早く寝ておくれよ。

すると娘は、明日の朝出かける前に、大きなだし巻き卵を2本焼いておいてほしい
と言う。冷蔵庫で冷やしておけば、朝に晩にと切り出しておかずにできるから、と。自分の好物なら、毎日食べても飽きないらしい。なるほどそれはいいね。というわけで、出かける日の朝、卵6個とだし汁たっぷり、つなぎに片栗粉を溶いて加えた大きなだし巻き卵を焼いておいた。

娘からの一人ごはんLINE

はたして出張すると、娘から食べたものの写真がLINEで送られてきた。晩も朝もその翌日も、いつもあのだし巻き卵が数切れ添えてある。安心。初日はごていねいに、大根おろしまで添えてあった。楽しんでるね。あとはレンチンしたご飯と解凍して温めたスープにつまみ用の梅水晶をこんもり小皿に盛っていたり、鍋焼きうどんの日もあればチャーハンを作ったり、ハムチーズご飯(あつあつご飯にシュレッドチーズと刻んだハムを混ぜ、黒こしょうをたっぷりかけたもの)だったり。

結局わたしが作っておいたソース類が登場することはなく、好きなものを好きなだけ食べる食事は楽しそうだった。中間テストで早く帰った日は、片栗粉でくず餅的なおやつと、さつまいもでスイートポテトまで作っていて、「ひとりお茶会」とタイトルまでつけられていた。明らかに楽しんでいた。

LINEで届く、お土産リクエスト

出張先が大阪だったこともあり、食べた料理写真とともにひと言「たこ焼き」とだけ書かれたお土産要求メッセージがたびたび送られてきた。わかってますとも。たこ焼きは焼きたてをその場で食べてなんぼ。だから、どうやってお土産にするかが悩ましい。冷凍を買う手もあるが、それなら普通にオンラインショップで買うのと変わらない気がするので、やめた。で、結局は新幹線の駅構内で焼きたてを買い、持って帰ることにした。深夜に東京に着き、娘はすでに寝ていたので、たこ焼きは冷蔵庫にしまった。

翌朝、4日ぶりに娘と顔を合わせた。お帰り、どうだった? と娘がきく。いつもどおりのやりとりがちょっと新鮮だ。

毎日いっしょにいると、いるのが当たり前に感じてしまう。だからたまにしばし離れると、大切な存在だということを再確認できる。子どもは元気であればそれでよし、ふとそんなふうに、子育ての初心に帰った瞬間だった。

昨夜買ってきたたこ焼きはレンチンして、さっそく朝ごはんにつまんだ。レンチンしたたこ焼きは、別のなにかになっていた。それでも、娘はおいしいと喜んで食べている。

 焼きたてのたこ焼きは間違いなくおいしい。だけど、久しぶりにおぬしの顔を見ながら食べるレンチンたこ焼きも悪くない。

でも、やっぱりたこ焼きは焼きたてだ。今度はいっしょに、大阪に行こう。

今回の塾前じゃないごはん


「呑めるれんこんのスパイシーご飯」

れんこんで呑めるご飯ものをプリーズ。はしりのれんこんのさっぱりした滋味としゃきっとした食感に、ベーコンの塩けと脂分でボリュームを出し、黒こしょうをたっぷりふって味をきりっと締めます。隠しスパイスはクミン。

玉ねぎ1/2個とにんにく1かけはみじん切り、ベーコンは角切りにする(スライスなら短冊に)。れんこんはピーラーで皮をむき、乱切りにしたら水に5分さらし、表面のでんぷん質を落として変色を防ぎアクを取る。

鍋にオリーブオイルとクミンシード少しを入れ、中火で30秒以上熱する。オイルに香りをうつすイメージ。香りが立ったら玉ねぎとにんにくを入れ、玉ねぎが透き通ったらベーコンとれんこんを加えて白ワインビネガーをふりかけ、中火でビネガーの酸味をとばしながら炒める。

れんこんの表面が透けて油が回ったら米1/2合(90ml)ともち麦1/2合(90ml)、塩、こしょうを加え、米に油をまとわせるイメージでかるく混ぜる。混ざったら洋風スープの素(顆粒)をお湯1カップで溶かして加え、塩で味をととのえる。ふたをして沸くまで数分強火にかけ、沸いたらごく弱火に落として10~12分炊く。火を止め、水滴がご飯に落ちないようにふきんをかませ、ふたをしてそのまま5分くらい蒸らす。ご飯が堅いようなら蒸らし時間を延ばす。最後にかるく混ぜて黒こしょうをたっぷりひき、完成。秋を感じる、呑めるごはんです。
馬田草織
馬田草織
文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。思春期真っ盛りの女子中学生と2人暮らし。最新刊「ムイトボン! ポルトガルを食べる旅」(産業編集センター)。料理とワインを気軽に楽しむ会「ポルトガル食堂」を主宰。開催日などはインスタグラムからどうぞ。
インスタグラム @badasaori

『馬田草織の塾前じゃないごはん』 毎月第2・第4火曜更新・過去の連載はこちら>>>

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