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蒸し暑い毎日。寝るときの環境にはかなり注意している。昨シーズンは「今思うとあれは熱中症のなりかけだったのかも」という不調を経験した。朝起きたらとてつもなく気持ちが悪く、めまいまでして……。
その話を同世代の女性にしたところ、
「熱中症って昼間、外で運動してなるものじゃないの? 部活の生徒がとかって、ニュースでよく言っているじゃない」
ち、ち、違う。人差し指を立てて振る。それは危険な認識違い。先日も新聞に載っていた。昨シーズン都内で熱中症により死亡した例の九割が屋内、三割が夜だったという。温暖化が進んでいるとは前々から言われていたけれど、まさか寝るのが命がけになろうとは!
高齢者は暑さを感じにくいため、気づかぬうち熱中症が進んでしまうケースが多いと聞く。寝るときの環境調整には、ますます真剣にならざるを得ない。
扇風機は必需品。今シーズンはエアコンを使う前から回している。風が直接当たると、それはそれで体によくなさそうなので、寝室の外から風を循環させる。
寝室の外は中廊下だ。寝室のドアを開け放ち、廊下に出たすぐのところに置いておく。
暑さが厳しくなってからは、エアコンを併用している。リビングのエアコンを二十八度に設定し、扇風機で風を送って間接冷房する。
この方式のおかげか、今のところ不調なしにすんでいるが、こわいのは夜中にトイレに起きるとき。シーズン早々は扇風機を何度も蹴飛ばした。半分眠ったままなので、つい習慣的なルートで歩いてしまう。
さすがに扇風機本体は、寝ぼけながらもよけるようになったが、コードはいまだおっかない。洗面所のコンセントにさし、廊下を這わせてあるのだが、暗がりに黒いコードは見えにくく、足をひっかけてしまいそう。
「歩くところにものを置いてはだめね」
九十六歳でひとり暮らしの吉沢久子先生はおっしゃっていた。自分では「気をつけなきゃ」とわかっているつもりでも、夜中に危うくつまずきそうになったと。
熱中症防止には欠かせない。転倒防止にはない方がいい。自宅の安全を確保するのも、なかなかにたいへんなのだ。
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