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  2. 岸本葉子の 年をとるって、こんなこと?
暮らしの中でふと感じる「これってトシかも?」。困りごとや心配ごとだけでなく、大人ならではの楽しみも。おねえさん世代の岸本さんが送るリアルな「体験レポート」です。
3月25日 美容医療に、興味しんしん
知り合いがきれいになった
 知り合いの女性にしばらくぶりに会ったら、肌がなんだかきれい。ファンデーションを厚塗りはしていないのに、白さと張りが増した感じ。下地クリームに秘密があるのではと思ったら、「レーザーよ、レーザー。あれってシミがよくとれる」。
 レーザーって電気メス? と言うと笑われた。
「美容医療って今、切るだけじゃないのよ」
 昔のイメージでは美容医療というと整形手術。切って縫ってつり上げる。韓国では整形が一般的で、学生が就職活動のためにするくらいと聞くと、多少は抵抗感がやわらぐが「いやいやいや、先々どう影響が出るかわからない。年とってからそこだけ不自然になるのでは」。
 それとやっぱり「ズルをしている」みたいな後ろめたさもありました。
若返りすぎない、のがいい
 知り合いの話でいちばん印象的だったのは、美容医療を受けているのを隠さないこと。「周りもみんなオープンよ。クリニックの情報交換をしたり、お友達紹介カードをもらったり」。意識は変わってきているらしい。
 受けたからって何も別人のように若返るわけでもない、というのも心の敷居を低くした。今は技術が洗練され、かつ多様になって、効果がマイルドなものがいろいろあるそうだ。
 先々年をとったとき不自然になるのではとの懸念に対しては、「先々って言ったって、私たち、すでに年をとってきているじゃない」という同世代の知り合いの言葉に、説得力があった。
 さらに彼女は「ズルをしていると言うならば、ホルモン補充療法もそうなのでは」と。彼女は私がホルモン補充療法を受けているのを知っている。「婦人科はふつうに行っているのに、美容医療は躊躇するっていうのは、ある種の偏見なんじゃない?」との指摘は鋭い。
一発逆転……成るか?
 関心がにわかにわいてきた。ことにシミ消し。UVケアを長年おろそかにしてきた私は、そのツケが今になって出ている。スーパーの日用品の棚でベビー用のUVクリームを見かけると、「こういうのをつけて育った世代にはかなわないな」と思うし、過去にさかのぼってシミのない肌を手に入れるなどできないことは重々承知。なのであきらめてきた。「必要なときはファンデーションでごまかそう」と決め込んで、エステも美白化粧品も試さず、問題解決をはからずにきたが、一発逆転……とはいかないまでもかなり改善できるのならば、受けてみたい。
 今は雑誌の特集記事などを切り抜いて保存している。エステを経ないでいきなり美容医療は、ちょっと勇気が要るけれど、そのうちぜひ、と思います。


岸本さんの本 『ちょっと早めの老い支度』
『ちょっと早めの老い支度』
50代が近づいたとき、老後の準備を考え始めたという著者が、どんなときに老いを意識し、どんな支度を始めたかを率直に綴ったエッセイ。
1961年神奈川県生まれ。エッセイスト。保険会社に勤務後、中国・北京に留学。自らの闘病体験を綴った、『がんから始まる』(文春文庫)が大きな反響を呼ぶ。著書は、『ちょっと早めの老い支度』(小社)、『ためない心の整理術 』(佼成出版社)、『「和」のある暮らししています』(角川文庫)など多数。共著に、『ひとりの老後は大丈夫?』(清流出版)がある。 岸本葉子公式サイト>>
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イラスト/松尾ミユキ 人物写真/安部まゆみ