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質問です。もしメイク用品をひとつしか使えないとしたら、あなたは何を選びますか?
私の答はアイブロー。
かつてそれは私にとって、眉を好きな形に整えるものでした。流行やなりたいイメージに合わせ、太くしたり角を作ったり。今はもっと切実。欠けた部分を補う。
眉というのは年とともに薄くなる。平安貴族の女性は、楕円のように短く淡く眉を刷いているが、今の私はあんなふう。眉尻側三分の一がほぼ消滅している。間違って剃り落としてしまったみたい。パーツを欠いたような妙な感じが、自分でもする。
しみも気になる。濃い眉は視線をおのずとひきつけるが、そうでないと肌の色むらが相対的に目立つのだろう。輪郭もなんとなく、ぼけた印象に。
出かけるときは必ず描く。支度はいつもぎりぎりなので、前髪の分け目から見える方だけ描くことも。
化粧ポーチにも入れていく。時間が経つと落ちてくるので。毛のある眉頭の方はまだ粉がひっかかって残っていても、肌にじかに載っているに等しい眉尻の方はとれやすいのだ。
ある日メイクをしようとすると、アイブローが見当たらない。どうしよう、出かけられない!
探した挙げ句、その前に持っていったバッグの底に転がっていた。化粧ポーチの口の隙間から抜け落ちたらしい。
そのときの焦りようから知った。ファンデーションを塗らなくても口紅をつけなくても、眉を引かないことはもう考えられないのだ。
こうしょっちゅう持ち歩いていては、いつかなくす。そのときに恐慌をきたさないよう、スペアを備えておくことにした。
使っているアイブローはカートリッジ式で、芯を含んだ先を付け替えるタイプ。ホルダーごとの全体を買うのはもったいないから、先だけにする。少々握りにくいけど、必要なのは芯なのだし、化粧ポーチに入れるには長くない方がいいくらい。
出先で、さて使おうとすると、芯が出ない。ホルダーに嵌め込まないと出ない作りになっているのだ。泣く泣くまるまるもう一本購入。
それほどまでになくてはならぬものなのです。
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