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年をとるってこんなこと?

暮らしの中でふと感じる「これってトシかも?」。困りごとや心配ごとだけでなく、大人ならではの楽しみも。おねえさん世代の岸本さんが送るリアルな「体験レポート」です。

8月27日 寝ている間の熱中症

高齢者に多い死亡
  暦の上ではとうに秋でも、熱中症にはまだまだ注意が必要。死亡する人の約八割が高齢者だと言われます。
  ニュースでよく聞くのは、就寝中にというケース。家族が朝覗いてみると、布団の上で亡くなっていた。部屋にエアコンはあったが、つけていなかった。
  「つけていれば無事だったかもしれないのに。痛ましいことだ」
  眉をひそめてから、はっとする。この状況、私の寝ているときと同じ。
  寝室にエアコンはあるが、寝る前に切る。つけたままだと風邪を引きそうで。防犯上、窓は閉めている。前は、寝苦しさで二時間おきに目がさめ、そのつど数分エアコンをかけては切る、のくり返しだった。
  扇風機を使いはじめてから、トイレ以外に起きることはなくなり、
  「暑くても風があれば、結構眠れるじゃない」
 と思っていた。
眠れてはいても
  でも眠れればいいってものではないのかも。さきのようなケースが報じられるたび、
  「死ぬほどの蒸し暑さなら、そうなる前にエアコンをつけずにいられなくなりそうなものだが」
  と不思議だった。が、寝苦しさを感じにくくなるのが、年をとるということかも。知らないうちに命を落としてしまうのかも。
  私の寝室は朝温度計を見るとたいてい三十度。これってすでに危険域?
  リビングのエアコンを二十九度でかけ、リビングと寝室の扉を開けてみることにした。間には五メートルほどの廊下があり、かなりの間接冷房だ。
  それでもひと晩寝たら、喉がかれ風邪のような症状になっていた。エアコンの二十九度って自然の二十九度とどうしてこう違うのか。
究極の選択
  この時期の健康管理は、ほんと難しい。風邪を引く覚悟をするか、熱中症のリスクをとるか。究極の選択しかないのでしょうか。
  看護の知識のある人に尋ねたら、
  「エアコンをかけないで寝て、朝起きたとき、皮膚が乾燥していませんか。口の中がねばねばしませんか。そうでなければ、まあ、だいじょうぶ」
  油断は禁物ですが、ひとつの指標にしています。
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1961年神奈川県生まれ。エッセイスト。保険会社に勤務後、中国・北京に留学。自らの闘病体験を綴った、『がんから始まる』(文春文庫)が大きな反響を呼ぶ。著書は、『ちょっと早めの老い支度』(小社)、『俳句、はじめました』(角川ソフィア文庫)、『買おうかどうか』(双葉文庫)など多数。共著に、『ひとりの老後は大丈夫?』(清流出版)がある。

岸本さんの本

ちょと早めの老い支度
『ちょっと早めの
老い支度』
50代が近づいたとき、老後の準備を考え始めたという著者が、どんなときに老いを意識し、どんな支度を始めたかを率直に綴ったエッセイ。
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イラスト/松尾ミユキ 人物写真/安部まゆみ