こんにちは。「オレンジページ日本酒部」部員の、ニックネーム・酔い子です。10月に入り、ようやくさわやかな陽気になってきました。長かった夏の疲れを癒すのは、おいしいごはんと体になじむお燗酒……ということで、今回は飲んでほっとする、このお酒をご紹介します。 安定の熟成感「丹澤山 麗峰 阿波山田錦」(神奈川県・川西屋酒造店) 10月1日の「日本酒の日」、みなさんはどこで乾杯しましたか?全国各地で日本酒イベントが開催されたこの日、私はNGA東京事務局主催の「日本酒ゴーアラウンド」 (https://oishiisake.jp/event/ngatokyo2023/) にオレぺ日本酒部の仲間と参加し、お目当ての店を回りました。私が最初に行くのは、決まって川西屋酒造店の工場長・米山繁仁さんがお燗番をしている「めろう屋DEN」。JR神田駅からほど近い、こじんまりとした居酒屋で、創作料理と純米酒を楽しめるお店です。ゴーアラウンドではDENさんと酒蔵がほぼ毎年タッグを組み、米山さんが店先でお客さんが来るのをどーんと待ち構えています。ここを起点においしい燗酒をくいっと飲み、各エリアに出発するのですが、さすが、知り尽くした蔵のお酒を最適な温度に温めてくれるばかりか、温度を微妙に変え、異なる銘柄のお酒をチョイ足しして香りや味わいを広げる離れ技も飛び出すなど、プロフェッショナルでいて気さくな米山さんにいつも引き込まれてしまいます。ここで、雄姿をちらり公開。Good job!燗つけ師匠・米山さんは、燗つけ器の前にずらりと並んだお酒をバーテンダーのようにヒョイと錫のちろりに入れ、その場でブレンドして「ハイ、飲んでみて!」なんてことは常。オレぺ日本酒部が以前、お燗の特別授業を受けたときは、平杯にシャインマスカットや熟れた桃を入れ、燗酒と溶け合う瞬間の甘みと香りをまるでデザートのように味わいました。 これね、家飲みのときにふるまうと、確実にみんなに感動されますよ♡そう、楽しみ方は無限大! 今夜の推し酒は、神奈川県・川西屋酒造店の「丹澤山 麗峰 阿波山田錦」神奈川県足柄上郡にある川西屋酒造店は1897年創業。代表銘柄には、「丹澤山」と「隆(りゅう)」があり、どちらも充実のラインナップで選ぶのに迷ってしまうのですが、「隆」は上質な酒米を原料に、それぞれの米の個性を立たせた造りが人気のシリーズ、そして今回ご紹介する「丹澤山」は、上槽したお酒をタンクで熟成させたお燗向きのシリーズです。中でも徳島県で栽培されている阿波山田錦で仕込んだ純米酒「麗峰」は、熱めに燗をつけたあつあつのところから、温度が下がる燗ざましに移行する40℃~50℃あたりが適(※個人の感想です・笑)。ふくよかでやさしく、すーっと切れていく飲み口があとを引きます。・スーパースターというよりも、地元のアイドル。・銀幕スターというよりも、小気味よい演技が光る名わき役。・かっこよすぎる彼よりも、そばにいてくれるだけで安心する三枚目(あ、若い人は三枚目の意味がわかるかしらん)。うまく表現できませんが、決して派手ではないけれど、いつ飲んでもおいしく、あると安心するお酒が「麗峰」です。社長の露木雅一さんがおすすめする料理は、だしのうまみがベースの和食。おでんや鍋ものといった煮込み系の料理といっしょに麗峰の燗酒を味わうと、口中で溶け合って体にしみ込むような感覚。飲み飽きしないので、温かい料理が恋しくなるいまからが「麗峰」の旬かもしれません。写真のフラスコは、川西屋さんのオンラインショップで購入した「丹澤山 DO KANZAKE お燗酒用平底フラスコ」。200mlのお酒を入れられるお燗専用の耐熱ガラス器で、お酒が対流しながらゆっくりと温度を上げるため、やさしい味わいに。保温性も高く、ゆるゆる飲むにはぴったりです! 推奨温度の60℃が表示されているのも蔵の思いが伝わりますね。2650円(税込み) サイズ/首外径:約25mm 球径:約80mm 高さ:約155mm 「丹澤山 麗峰 阿波山田錦」データと取り扱い店について 〇原材料名:米、米麹〇原料米:徳島県産阿波山田錦100%使用〇精米歩合:60%〇アルコール分:16度○日本酒度+5.5○酸度:1.4○使用酵母:協会701〇価格:720㎖ 1925円~〇取り扱い店:https://kawanishiya.wixsite.com/kawanishiya/shuhanten■(資)川西屋酒造店ホームページ: https://kawanishiya.wixsite.com/kawanishiyaFacebook: https://www.facebook.com/okanhatanzawasan/ 「丹澤山 麗峰 阿波山田錦」と合わせたのは、シンプルなだし汁 近ごろは、だし汁そのもののうまみを欲することが多くなりました。体が整うというか、癒されるというか、ん?? 私、疲れてる? いや、前向きな経年変化と捉えています。だしを合わせれば、露木社長のおっしゃる通り、麗峰の燗酒と合わないわけはありません。で、やってみました。味変を楽しみながら、だしのうまみで麗峰を味わう 豆腐を沈めただし汁 材料(2人分)と作り方 (1) 鍋に水500mlと昆布(長さ10㎝くらい)1切れを入れ、1時間以上おく。弱めの中火にかけ、沸き立ってきたら昆布を取り出す。(2)1に水1/2カップを加えて温度を下げ、削り節15gを入れる。弱火にかけながら削り節がゆっくり沈むまで煮る。(3)火を止め、ざるに厚手のペーパータオルを敷き、だし汁をこす。鍋に戻して弱火で熱し、塩少々で調味する。(4)豆腐1/2丁をあられ切りにし、器に半量ずつ入れて温めただし汁を注ぐ。粗びき黒こしょう、塩、すだち各適宜を用意し、だし汁に好みのものを加えて味を変えながら楽しむ。 マニアックととるか、ズボラととるか……。やさしい酔い心地を実感できることはお約束します♪ 麗峰は上記、取り扱い販売店で購入できます。次回は11月12日更新予定です。最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。 profileオレぺ日本酒部*酔い子/比留間深雪オレンジページ コトラボ推進部スーパーバイザー。オレぺ日本酒部員、晩酌愛好家。編集部に28年間在籍し、雑誌、ムックを制作するかたわら、日本酒の魅力にひたすらはまり続け、酒蔵との交流が人生の財産となる。現部署では、体験型スタジオ「コトラボ」で料理レッスンを中心とした講座やイベントの企画・運営、企業の研修業務等に携わり、日本酒との接点を模索する日々。全国津々浦々、地域のおつまみ、特産品が大好物。