こんにちは。「オレンジページ日本酒部」部員の、ニックネーム・酔い子です。2024年の幕開け、日本列島を揺さぶる大災害が起こりました。能登半島地震で被災されたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。また、石川、富山の酒蔵の被害状況も刻々と伝わってきており、「いまできることをすぐにやる」ことに専念する日々です。一日も早く日常がもどりますように。 では、今年もいきます。1月最初の推し酒は、 なめらかでシャープなキレ 「朝日榮 純米吟醸 本生 おりがらみ」(栃木県・相良酒造) 年末年始はお詣りをかねて京都に行きました。京都には知人が酒販店や飲食店を営んでいて、必ず会いに行きます。その一軒が、京都・四条高倉にある「木になる酒店 tane」さん。店主の井上勝利さんは、大阪を代表する酒販店「山中酒の店」で17年間勤務し、満を持して2022年12月に独立・開業。taneから育てて大きな木になる酒店に……という思いが込められた店名です。 ここでは井上さんがおすすめするお酒を試飲できるスペースがあり、いつものように飲んでいたら、お正月にふさわしいお酒がありますよと「朝日榮」を紹介してくれました。「日の出の朝日に、榮えるなんて縁起もいいでしょう」そのときの井上さんの笑顔がこちら。 塗りの猪口に入っているのは、どんぐり。試飲は3杯900円なので、3つのどんぐりが1つずつ減っていきます。 さっそくいただいてみると、縁起のよい銘柄名はもちろんのこと、生酒ならでのフレッシュな飲み口と、「おり」が入って白濁したお酒から立つ米の香りにワクワク!とってもやさしく、きれいなお酒でありながら、ほのかな酸味をからめつつキレていく爽快感に心地よさを感じました。 井上さん、これいい! とさらに飲み続け、速攻、推し酒にも選ばせていただきました。「朝日榮」を醸すのは、栃木県栃木市岩舟町にある相良酒造。1831年(天保2年)創業の歴史ある酒蔵です。創業者が惚れ込んだという日光連山からの伏流水を仕込み水に、栃木県産米や栃木県酵母を積極的に取り入れ、とちぎの地酒造りに注力。現社長の相良明徳さんの妹であり、杜氏を務める沙奈恵さんが蔵人とのコミュニケーションを大切にしながら、一つ一つの作業をていねいかつ迅速に、妥協せずに行うことを徹底し、愛情を込めて醸しています。「朝日榮」は、乾杯酒として一杯目に飲むのもおすすめですが、いやはや、この酸味とキレのよさは、いろいろな料理と相性がよく、食欲が増す系のお酒ですね。 こうして年末は、京都でふらふらと飲み歩き、元日は、醸造祖神として有名な嵐山の松尾大社でご祈祷をしていただきました。健康で末長く飲み続けられますように……。 「朝日榮 純米吟醸 本生 おりがらみ」データと取り扱い店について 〇原材料名:米(国産)、米麹(国産米)〇原料米:栃木県産五百万石使用〇精米歩合:55%〇アルコール分:16度〇価格:720㎖ 1815円~、1.8ℓ 3410円~〇取り扱い店:籠屋秋元商店(東京)/https://www.kago-ya.net/はせがわ酒店(東京)/https://www.hasegawasaketen.com/月井酒店(栃木)/https://ytsukii.stores.jp/日本酒専門店ましだや(栃木)/https://www.mashidaya.co.jp/木になる酒店tane(京都)/https://www.instagram.com/p/C0omaN_ykci/■株式会社相良酒造: https://asahisakae.com 「朝日榮 純米吟醸 本生 おりがらみ」と合わせたのは、ぶり大根 おりがらみ、生酒とくれば、肴には酸味のきいたこくのあるドレッシングやソースをかけた海鮮サラダやカルパッチョなどをイメージしちゃうのですが、脂がのったぶりを使って、定番のぶり大根を合わせました。料理研究家・小林まさみさんのレシピで、切り身で手軽に作れるのが魅力です。ぶりの脂をお酒が流し、そしてまたひと口……というリズムにはまりますよ。 大根は5㎜程度の厚さがベスト。火の通りもよくなります。 ぶり大根 材料(2人分) ぶりの切り身 2切れ(約180g)大根 1/5本(約350g)しょうがのせん切り 1かけ分煮汁・しょうゆ、酒、みりん 各大さじ2・砂糖 大さじ1と1/2・水 1と1/2カップゆずの皮のせん切り 適宜塩 酒 作り方 (1)ぶりは塩小さじ1/4、酒大さじ1/2をふり、10分ほどおく。水けを拭き、3つ~4つのそぎ切りにする。 (2)大根は厚めに皮をむき、幅5mmの半月切りにする。(3)直径約24cmのフライパンに煮汁の材料を混ぜ、大根、ぶりを順に広げ入れて、しょうがを散らす。(4)オーブン用シートをフライパンの口径に合わせて切り、中央に穴をあけて落しぶたを作り、1にかぶせて強火にかける。煮立ったら中火にして15分ほど煮込む。(5)器に盛り、ゆずの皮を散らす。ゆずの香りもお酒をよびます。ん~、たまらん。次回は2月11日更新予定です。今回もおつきあいいただき、ありがとうございました。 profileオレぺ日本酒部*酔い子/比留間深雪(株)オレンジページ コトラボ推進部スーパーバイザー。編集部に在籍中、雑誌、ムックを制作するかたわら、日本酒の魅力にひたすらはまり続け、酒蔵との交流が人生の財産となる。現部署では、体験型スタジオ「コトラボ」で料理レッスンを中心とした講座やイベントの企画・運営、企業の研修業務等に携わり、日本酒との接点を模索する日々。2016年に会社公認の日本酒部を立ち上げ、部活動を通して日本酒の味わいや楽しみ方を発信している。全国津々浦々、地域のおつまみ、特産品が大好物。 撮影/木村 拓(東京料理写真)