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【編集マツコの 週末には、映画を。Vol.42】「リチャード・ジュエル」

2020.01.09


こんにちは。ふだんは雑誌『オレンジページ』で料理ページを担当している編集マツコです。
新作映画ももちろん好きですが、90年代くらいの作品がリバイバル上映しているとついつい見に行ってしまいます。ほどよい懐かしさが好きなのと、見ていない作品も多くて。
ところで90年代の作品はあっても、振り返るには最近過ぎるのか? 90年代のことを扱った映画ってそこまでないですよね。

そんな中、今回紹介する『リチャード・ジュエル』は、1996年の事件を扱った作品です。
アトランタオリンピック開催中のアメリカ。英雄的行動を成し遂げた1人の純朴な青年は、メディアの力によって一夜にして「国家の敵」になってしまいます。
この事件は、「ああ、こんな事あったよね」と風化させていいものではなく、今の時代にこそ、教訓にしなければならないなと感じました。
名匠クリント・イーストウッドによる、感動の実話ドラマです!


1996年のアトランタオリンピック開催中に起きた爆破事件、皆さん覚えていますか?
マツコはなんとなく記憶にありますが、詳細や事の顛末は知らないままにいつの間にか忘れていました。
オリンピック公園で不審なリュックを見つけた警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)。爆発物が仕掛けられていることに気づいた彼は、すぐに人々に避難の指示を出し、被害を最小限に留めます。

一躍国民のヒーローとなったリチャードですが、ある日FBIが彼を容疑者として見ていることが報道され、一夜にして国家の敵として扱われてしまうのです。
なぜ彼は容疑者となってしまったのか、なぜそれが報道されてしまったのか? FBIとメディアという巨大過ぎる敵を前に、絶対絶命のピンチを迎えるジュエルですが、彼がそこで頼りにした人物とは……。


見どころは2つ。1つは、FBIの強引な捜査とメディアの報道によって、善良な市民がいとも簡単に犯罪者のレッテルを貼られてしまう、その驚くべきプロセス。
FBIの取り調べシーンは、強引すぎるやり口にちょっと唖然としますよ。捜査する側も、国から相当なプレッシャーを与えられていたとはいえ。

リチャードが容疑者とされたのは、第一発見者だったからということ以上に、こういう爆破事件を起こす犯人の典型的なイメージに合致してしまったから。
へぇーと思ったのは、差別を一番受けなさそうな白人の男性も、ときに不利になるということ。具体的には映画を見て確かめてほしいのですが、どんな立場の人にも何らかのレッテルを貼ることができてしまう、それが恐ろしいと思いました。

記者がFBIの情報を手に入れる展開ですが、ここは事実がどのくらい反映されているのか、賛否両論あるみたいですね。
よくある「女性記者が特ダネを掴む方法」こういうところにもレッテルは存在しているわけで……。
 


もう1つ、リチャードの無実を晴らそうと、彼の弁護を引き受ける弁護士ワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)との友情も見どころ。というか、ここがジーンとくる。
2人の関係の始まりは事件の10年ほど前に遡るのですが、のんびりタイプのリチャードと、切れ者で熱いワトソンの凸凹コンビがとってもアメリカ的でいいんです。

無実の罪を着せられたリチャードはもちろんですが、国家の権威と世論を敵に回して弁護しなければならないワトソンの苦労も相当だったはず。
彼を演じるサム・ロックウェル、この俳優さんすっごく好きなんですよねー。どの作品でもちょっと複雑なキャラクターを演じていて、ちょっとしゃがれた声がとても印象的で。
今回も、ハーフパンツにキャップという出で立ちでFBIの権力に立ち向かう、熱い弁護士の役を魅力的に演じていました。
これ、フィクションだったら出来過ぎでやや興ざめなキャラ設定ですが、実際にこういう素晴らしい弁護士さんがいることに嬉しくなりますね。


クリント・イーストウッド監督はあまりに多作で、好きな作品もそうでない作品もありますが、『アメリカン・スナイパー』『ハドソン川の奇跡』など、今作と同じく実話をベースにしたものはやっぱり見ごたえがあるなあと感じます。
そのどれもが、報道だけでは見えてこない当事者の心の機微や葛藤に触れていて、大きな事件や出来事に関わった人たちも、実はごく普通の人間なんだという当たり前のことを教えてくれるんですよね。

映画ではこの事件の顛末、そしてリチャードさんのその後にも触れているのですが、切ないですねこれは。
監督の「英雄を称えるのに遅すぎることはない」という言葉が印象的です。

今って、SNSが発達して当時以上に真偽を問わず情報が拡散されてしまうし、その真偽が判明する頃には次の話題にみんな飛びついていたりするんですよね……。
それでもイーストウッド監督のような影響力のある人物が、この善良な市民の名誉を取り戻そうとしている、そのことに意義を感じずにはいられません。


「リチャード・ジュエル」  1月17日(金)全国ロードショー
©2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

【編集マツコの 週末には、映画を。】
年間150本以上を観賞する映画好きの料理編集者が、おすすめの映画を毎週1本紹介します。
文/編集部・小松正和

次回1/17(金)は「私の知らないわたしの素顔」です。お楽しみに!

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