超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。 今回のお悩み/孤独 早すぎる友人の死。ショックから立ち直れません。 学生時代から仲よくしていた同級生の友人を亡くしました。心筋梗塞でした。突然の訃報を聞いたときは、茫然自失。数カ月前に会ったときは、いつもどおりの笑顔で、たわいもない話に花を咲かせていっしょに食事をしたのに……。彼女がいなくなってから、心にぽっかり穴があいてしまったような状態が続いています。たまに彼女との思い出が頭をよぎり、いまだに彼女の死を信じることができません。気持ちの整理をつけるにはどうしたらいいのでしょうか。 (55歳・女性) 近藤サトさんの回答 若くして旅立ったお友達のこれまでの人生を認め、リスペクトしましょう。 お悩み回答者 近藤サトさん 大切なご友人を亡くされて本当におつらいと思います。私の父も病気で早く逝ってしまいましたが、気持ちの整理というのはすぐにはつきませんし、亡くなったかたへの気持ちは持ちつづけてもいいと思っています。大事なのは、ただ悲しむだけでなく、これまでの彼女の人生を認め、リスペクトすることではないでしょうか。私は早世した父に対してずっと、「もっと生きたかったはずなのにどうして」「早く逝ってしまってかわいそう」と思いつづけていました。でもあるとき母にこう言われたんです。「お父さんの人生は、あれで完結していたのよ」と。私が無念に思えば思うほど、父の人生がまるで未完のまま終わってしまったかのようになっていたのです。いや違う、彼は彼の人生を全うしたんだと。そうやって父の人生を全面的に肯定したら、少しだけ心が軽くなったんですね。きっとお友達も、ご自身の人生を謳歌して旅立たれたにちがいありません。そして、「もし今彼女がどこかにいるとしたら、何をしているだろう?」と想像してみてください。そうすると、好きなことを思う存分楽しんでいる様子が目に浮かんできませんか? 私の場合は、父が好きだったスポーツカーに乗って楽しそうにドライブしている姿が想像できるわけです。そんなふうに考えていると、少し温かい気持ちになってくるはず。その温かな気持ちを胸に、これからもお友達のことを思い出してあげるのがいいかなと思います。 近藤サトさん フリーアナウンサー・ナレーター。1968年、岐阜県生まれ。フジテレビアナウンサーを経て、フリーランスに。テレビ番組のコメンテーター、ナレーション、朗読など幅広く活躍。母校である日本大学芸術学部の特任教授も務める。YouTubeチャンネル「サト読ム。」では朗読やきものの魅力について配信。 Tomyさんの回答を見る「老後の4K」のお悩みをすべて見る(『オレンジページ』2023年11月2日号より)