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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

【なす】で作り置き弁当を。飛田和緒さんのお昼ごはん『なすと冬瓜のおうち弁当』

2023.09.27

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

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夜になると秋の虫がかなり激しく鳴いているというのに、まったく秋らしくない暑さ。朝晩少し涼しくなってきたかと思うと、また湿気が重く朝晩も温度下がらずというのを繰り返しています。こんなに秋を待ち焦がれることなんて今までなかったな。

今朝、夫がヨーロッパ出張から帰ってきましたが、空港に着いて外へ出たとたん、めまいがしたという。間違って東南アジアへ来てしまったのではないかと錯覚するくらい、灼熱の日ざしと湿度がどんと体にのしかかったと言っていました。いやいや今日はずいぶんと体が楽ですよって言ったところで、長く湿気のない国で過ごしていた人にはわからないこと。あー、わたしも涼やかなところへ逃げたくなりました。



連載スタートしてお天気のことばかり書いているような気がするけど、それだけ日々の暮らしにたいへんな影響を及ぼしているということ。体もずいぶんと暑さ疲れを感じます。そんなときはまず寝ること。でもぐっすり眠るにはおなかが満たされていないとね。仕事が残っていても今日はごめんなさいと心の中で謝って寝る。おかげで今のところは夏バテなし。どちらもバランスよくということです。

■直売所に行ってみると……




昨日いつもの直売所に野菜を買いに行きました。例年ですと、夏野菜と秋野菜の端境期で、なすととうがんしかないっていうイメージでしたが、きゅうりもつるむらさきもある。じゃがいもは掘りたて。秋の新じゃが。先月はもう夏野菜はなくなるよって言ってたはずだけど、すいかもオクラもありました。夏野菜復活???  野菜の旬も混乱状態のようです。

つややかななすが袋いっぱいに詰まって300円。飛びつきました。この夏、なかなかできなかったなすの揚げびたしを作ろうっと。なすと一緒にとうがんも揚げびたしに。とうがんは煮物にするイメージですが、揚げるとなかなかおいしいんですよ。夜のうちに揚げてつゆに浸しておき、明日お弁当箱に詰めて昼ごはん食べよう。

■揚げ物は慣れ




なすは乱切りに。皮がパンパンに張っているから切るとプリンとはじけるくらい身が詰まっていました。切ったそばから高温の油で揚げる。だしにしょうゆとみりん、塩で味つけしたつゆに、網じゃくしですくったなすをどんどん放り込んでいく。つゆさえ用意しておけば、揚げびたしは本当に楽ちんな料理だと思います。もちろん揚げものが苦手なかたにとってはハードルが高く感じるかもしれないけど、揚げものは慣れです。

油を温めている間に揚げる素材を用意する。今日は素揚げだからころもの準備もなし。ただ切って揚げるだけ。揚げ油の処理は温かいうちにオイルポットに入れるか、こしてびんなどに保存する。そしてその使った油を炒めものや、ドレッシング作りにジャンジャン使う。そうすれば油が劣化して使えない、なんてもったい無いこともなし。

そしていちばんいいのは熱いうちにレンジまわりの掃除をしてしまうこと。床を拭くことも忘れずに。それを習慣にすると揚げものをしたあとはピカピカになって気持ちがいいの。時間はかからないはず。楽しよう楽しようと考えるより、チャチャッと動いたほうが短時間で問題解決するはず。と揚げもの好きとしてはいつもこんなふうに言っているけど、なかなかね。まず一歩踏み出す、これがむずかしいこともわかります。無理せず、今日こそってときにぜひ挑戦してみてほしいと思っています。

 

と、また話それました。ごめんなさい。



なすを揚げたら、今度はとうがん。とうがんは一口大に切ってから皮をむきます。大きめにカットしてピーラーでむいてもいい。わたと種を除くのも忘れずに。わたは食べられるんですが、種が口に残るから除きます。機会があったらわたも食べてみて。ふんわり食感です。切ったら、なす同様高温で色づくくらいまで揚げてつゆにドボン。冷蔵庫に残っていたかまぼこもいっしょに揚げました。すぐに食べてもおいしい。時間をおいて味がしみしみになってから食べるのもおいしい。つゆにも油が入ってこくが出ておいしくなる。めんつゆとして食べてもいいし、じゃがいもや豆腐をこのつゆで煮て食べるのも好きです。

 つるむらさきはゆでて、だしに漬けておひたしにしておきました。切るとぬるんと粘りけが出ます。いい意味で青臭くてつるむらさきにしっかり味があるから、おかかを少々かけて食べるだけでもいいし、梅干しの果肉をちょいと合わせてもまたうまい。青菜の力強さを感じる野菜です。

きゅうりぬか漬けにしておき、食べる直前に切ってご飯にのせました。この暑さで常温に置いていたぬか床を冷蔵庫に入れましたので、やや浸かりが遅い。きゅうりも丸一日かかりますが、これもまた暑さとどうつきあうかということで調理方法にも変化が起きています。常備菜の新れんこんの梅きんぴらも入れてお弁当完成。ご飯は宮崎県のコシヒカリの新米。もう南の地方では新米が出荷されていますね。長野の実家からも10月の初旬には届くよーと新米便りが来ています。ご飯を炊くのもおっくうだったこの夏ですが、新米が届いたら、ご飯をていねいに炊いて野菜の汁ものとご飯のおともでご飯をもりもり食べたいな。

■気ままなおうち弁当に




さて、今日は残念ながらさもない昼ごはんをゆっくりと作って味わう時間がない。ということで昨夜仕込んでおいておかずをお弁当箱に詰めて、仕事の合間におうちでお弁当を食べました。詰めておけばすぐに食べられるので、原稿を書いたり、校正作業の日はお弁当作ることもあります。最近麺ばかり食べていたので、今日はご飯と決めていました。日本食を食べたいと帰ってきた夫の分も詰めて。

とうがんの揚げびたしを「大根?」と言っていました。たしかに口当たりは大根のようにも。とうがんは味のない野菜。うり独特の風味も味もありません。水分が多い野菜ですので、いかようにも調理できる。歯ごたえを残したり、箸ですっと切れるほどしっとり柔らかくも仕上げることができる。味がすっとストレートに入っていく野菜なので、案外手軽な野菜なのではと思っています。やさしい味よりしっかり味が好みの夫はとても気に入った様子です。とはいえ、初めて食べてもらったわけではないんですけどね。季節のものだから通年食べていないと、新たな気持ちで食べることができるのも幸せなことです。

いつも通っている直売所だから、なんとなーく今月はあれとあれが売っているはずっていうのが今年は通じないようなので、来月はいかに。晩秋に収穫されるたのくろ豆、おろぬき大根あたりを期待しつつ。また10月に会いましょう。

 9月の台所より 飛田和緒
 


飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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