『オレンジページ』でおなじみの料理家さんにご登場いただき、これまでに発表したなかでも「われながらこれは傑作!」「これはプライベートでもよく作る」というご自慢のレシピについて語っていただくこの企画。重信初江さんにお話をうかがう3回目のテーマは、トマトケチャップです。トマトがおいしいこの季節に、ぜひ!
前回のお話:【たれも塩も美味】これさえ覚えれば! 『つくね』 のレシピ【重信初江さんの傑作】
今回の傑作レシピ
『トマトケチャップ』
トマトがたくさん手に入ったら……
「これからの季節って、畑をやっている知り合いからトマトをいただいたり、値段が手ごろになるから、つい多めに買ったりしがち。そういうときに作っておくと楽しめますよ」と重信さん。「トマトソースは作るけど、ケチャップはなかなか作る機会がなくて……という人も多いと思います。私もそうだったので、お仕事の依頼をいただいてからいろいろと試作をしました。『基本のケチャップ』はやさしい味でたっぷりかけたくなるので、冷蔵庫で1カ月くらい保存できるんですけど、きっとすぐに食べ終わっちゃうと思います(笑)」
今回振り返っていただいたのは、「トマトケチャップを手作りしよう」という企画。基本1品+バリエーション2品のトマトケチャップが誌面を飾りました。トマトそのもの! の鮮やかな赤い色が、食欲をそそります。
手仕事ならではのみずみずしさを存分に
3品のなかでも、重信さんが特に思い出深いと話すのは『基本のトマトケチャップ』。トマトが持つ甘みや酸味を最大限に生かした、シンプルな味わいが魅力です。
「大きめのトマトを4個使って、たっぷり作りました。手仕事ならではのみずみずしさが存分に味わえます。ちょっと、道の駅あたりで売っていそうでしょ? オムレツにかけたりすると、大人も子どもも『うわあ~♡』ってなりますよ」

味の決め手は、ウスターソース。
「少しだけスパイス感を加えることがケチャップのポイントです。しょうがのすりおろしも入れていますが、これらを入れないと、たちまちトマトソースっぽくなってしまうんですよね」
このスパイス感が、味にメリハリを出しつつ甘みも引き立てます。
ピリ辛&スイートなバリエも◎!
バリエーションの1つ目は
『ピリ辛ケチャップ』。赤唐辛子のほかセロリやにんにくを加えた、ちょっと大人っぽいケチャップです。
「唐辛子は種ごと入れて、辛みを楽しむ味わいに仕上げました。甘さもぐっと控えめです」
『ピリ辛ケチャップ』そして、もう1つは
『スイートハニーケチャップ』。やわらかな甘みがたまりません。
「はちみつと、すりおろしたりんごを入れました。甘みが増すだけでなく、トマトのフレッシュ感にほどよいこくが加わって、大人にも子どもにもおいしく食べてもらえると思います」
『スイートハニーケチャップ』
さまざまな使い方で楽しめる
作ってから2~3日おいて、味がなじんだあたりが食べごろ。どのケチャップも冷蔵で1カ月保存ができるので、さまざまな使い方で楽しめます。冷製パスタやかじきのソテーのソースにしたり、ホットドッグにかけたり、オムライスの味つけ、鶏のトマト煮のソース、即席ラタトゥイユにも! 3つのうち、好みのケチャップを使ってかまいません。
冷製パスタ
冷蔵庫で保存した冷えたトマトケチャップを利用すれば、夏にぴったりの冷たいパスタがあっという間にできちゃいます。2人分で、トマトケチャップ2/3カップに、オリーブオイル大さじ1/2、塩少々と、ツナ缶詰(80ɡ入り)1缶を缶汁をきってほぐして混ぜ、ゆでて冷水にとったスパゲティ(約150ɡ)をあえて。
ホットドッグ
シンプルな材料、食べ方だからこそ、手作りケチャップのおいしさをストレートに味わえます。トマトや玉ねぎがたっぷり入っているので、ソーセージ以外に野菜を加えなくても、うまみも栄養も◎。忙しい日の朝ごはんにもってこいの一品です。
即席ラタトゥイユ
一口大に切った夏野菜をオリーブオイル大さじ2で炒め、トマ トケチャップを加えて汁けがなくなるまで炒めれば、簡単ラタトゥ イユのでき上がり。手作りケチャップがあれば、時間をかけなく ても、まるで煮込んだような味わい深い仕上がりになるのがう れしいところです。2人分で、なす2個、ズッキーニ1本、パプ リカ1/2個、トマトケチャップ大さじ6が目安。
「最近はトマトのおいしい時期が早まっていて、5~6月がいちばんともいわれます。これから夏野菜が本番になる時期にかけて、ますます出回るようになりますし、ケチャップのような旬ならではの食べ方はおすすめですよ!」
どんどん作って、どんどん食べたいトマトケチャップ。今年の夏は、ヘビロテ確定です!
重信初江さん
料理研究家のアシスタントを経て独立。昔から受け継がれてきた味を大切にしつつ、現代的なセンスで提案する作りやすいレシピが人気。韓国はじめ、世界各地を旅して覚えた味の再現にも定評がある。『食べたい作りたい現地味 もっと!おうち韓食』(主婦の友社)、『罪悪感ゼロつまみ』(主婦と生活社)ほか著書多数。