夜混ぜて朝焼くだけ→感動のふっかふか。パン作りの常識を覆す『こねないパン』レシピ

『オレンジページ』は今年創刊40周年。誌面で紹介された数万点以上(!)のレシピのなかから、歴代の編集者40名が「リアルに作り続けるレシピ」を、リレーブログで紹介します。
>>前回/ベテラン編集者が一番リピしてる『殿堂入りから揚げレシピ』|漬け時間不要で早い&簡単!
今回担当するのは、『こどもオレンジページ』編集長・W田。子供が小さいときから一緒に作ってきた、思い出のパンレシピとは?
パンづくりの常識が変わった!「こねない」から気楽にできる
家でパンを焼く一番の醍醐味は、「焼き立て」のふかふかパンを存分に味わえること。幸せとはまさにこれ、という香りがたまらんです。とはいえ、なかなかハードルが高い……と思っていました、この下迫綾美さんによる「こねないパン」に出会うまでは!
ぐるぐる混ぜるだけの生地は作りおきできるので、仕込んでおけば、食べたいときに焼くだけ! 思い立ったときに焼き立てパンが食べられるなんて!
秘密は水分量の多い配合にあるそうで、その〈高加水〉の効果でもちもちしっとりした仕上がりになり、これが自分の好みにもドンピシャで。
画期的な作り方と新食感の仕上がりに驚いた、思い出のパン。この企画を担当していた当時小学生だった娘は高校生になり、今でもときどきいっしょに作っています。

編集部・W田が自宅で撮影
ぐるぐる混ぜるだけで完成!
『基本のこねないパン』のレシピ

材料(約14×21cmのもの2個分)
〈粉類〉
強力粉……300g
薄力粉……200g
さとうきび糖……10g
インスタントドライイースト……2g
〈塩水〉
塩……8g
水※……2カップ
打ち粉用の強力粉……適宜
※室温が10℃前後の場合、ぬるま湯(約40℃)に替える。
作り方
(1)粉類を混ぜ、塩水を加える
小さめのボールに塩水の材料を入れ、スプーンで混ぜて溶かす。ボールに粉類の材料を入れてゴムべらで混ぜ、真ん中にくぼみを作って塩水を加える。
POINT
粉の量が多いので、くぼみを作ることで水分と混ざりやすくなり、だまができづらくなります。
(2)混ぜる
底から上下を返すようにして、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。さらに生地に粘りが出て、なめらかになるまで30~50回混ぜる。
POINT
粉っぽさがなくなったあと、さらに混ぜることで生地がなじんでふくらみやすい状態に!
(3)野菜室に一晩置く
(2)を保存容器に入れ、ふたをする。冷蔵庫の野菜室に入れ、一晩(9~12時間)おく。POINT
使用した保存容器は、容量1900ml(15.6×23.5×高さ8.3cm)のもの。ポリ袋でも代用可能ですが、生地を次の日に焼かないときは、保存容器で作るのがオススメ。
–{成形して焼く!}–(4)生地を取り出す
オーブン用シートを30×45cmに広げ、茶こしで打ち粉をたっぷりとふる。3を保存容器ごと上下を返してオーブン用シートの上に置き、ゆっくりと持ち上げながら生地を取り出す。打ち粉をふり、カードで半分に切る。生地の1/2量(1個分)を小さめに折りたたみ、保存容器に戻し入れて野菜室に入れる。POINT
生地が自然に落ちるのを待ち、保存容器に残った生地はカードでやさしくはずしましょう。無理に取り出すと、生地が切れてふくらみづらくなるので注意。焼かない生地は、再度野菜室で保存を!
(5)生地を3つ折りにする
残りの生地は上下を1/3ずつ内側に折りたたむ。オーブン用シートを持ち上げて上下を返し、折り目を下にする。オーブン用シートが大きければ、天板にのせられるサイズに切る。POINT
生地を折りたたんで上下を返す際、表面の粉は払い、大きな気泡はつぶしましょう。生地を折りたたむときも、オーブン用シートを持ち上げると、作業しやすいです。
(6)生地を室温に置く
まな板の上に(5)をオーブン用シートごとのせ、大きめのポリ袋に入れて口を縛る。生地がひとまわり大きくなるまで、室温に30~40分置く。オーブンを天板ごと250℃に温めはじめる。
POINT
ポリ袋がない場合や室温が27℃以下の場合は、大きな箱を逆さにかぶせて温かい場所に置くか、オーブンの発酵機能を活用しても。
(7)オーブンで焼く
生地を取り出して打ち粉をふり、清潔なカッターナイフ(またはよく切れる包丁)で横に1本切り込みを入れる。温めた天板に生地をオーブン用シートごとのせ、霧吹きで全体に水を10回ほどかける。250℃※のオーブンに入れ、23分ほど焼く。
※250℃まで温度が上がらないオーブンの場合は、最高温度に設定し、様子をみながら焼く。POINT
切り込みを一気に入れると生地がひきつれてひっかかるので、少しずつ入れましょう。霧吹きで水をかけると、生地の乾燥を防げます。
生地の保存期間
生地は3~4日冷蔵保存OK。食べたいときに焼ける!
生地を12時間以上保存する際、生地が保存容器からあふれそうになったら、保存容器と生地の間にカードを差し込み、生地を内側にひっぱるようにしてかるく押さえましょう。この作業を一周繰り返すと、余分な空気が抜けて状態が落ち着きます。時間がたった生地ほど、もっちり感が強くなり、焼き色が薄くなります。


こどもオレンジページ編集長・W田
和菓子と抹茶好きで月1茶道のお稽古を継続中。サブカルやトレンド情報はJKの娘より入手。うさぎ占いはアンゴラうさぎ


『基本のこねないパン』を作り続けるワケ
【その1】混ぜるだけ、の簡単な作り方で失敗しない!
ボールに材料を入れたらゴムべらでぐるぐる混ぜるだけ。力を入れてこねる必要がなく、それほど繊細にコントロールする必要もないので、パン初心者でも気軽にトライできるのがいい! ボールで混ぜたら保存容器に移して冷蔵庫の野菜室へ。洗い物も少ないのも魅力的。
【その2】前日の夜に仕込んでおけば、次の日焼くだけ!
生地の発酵は9~12時間と長めですが、前の日の晩に生地を作っておいて翌日焼けるので、かえって好都合。そのまま3~4日保存もできるので、パン生地にスケジュールをしばられることなく、自分のペースで焼けるんです。長めにおく場合は、途中で空気を抜く作業が入りますが、2倍くらいにふくらんだ生地の空気を抜くのは気持ちよくてやみつきに。
【その3】おしゃれなベーカリー風のパンに!
水分が多くて柔らかい生地なので、分けたり丸めたりせずにど~んと大きなかたまりのまま、切り込みだけ入れて焼いちゃいます。するとあら不思議、こだわりベーカリーの定番パン、のような仕上がりに(※個人の感想です笑)。ドライフルーツやナッツを入れてもおいしく、平たくのばしてピザ風にしても。シンプルなだけに、いろんなアレンジを受け止めてくれる懐の深さもうれしいのです。