超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。 今回のお悩み/お金 「団塊ジュニア」の老後。厳しい現実が待ち受けていると思うと、不安しかありません。 1972年生まれ、団塊ジュニア世代です。この世代もあと10年ほどで定年退職を迎えることに。私たちは就職氷河期から始まる不遇の世代。私と、同世代の夫は、運よく正社員になれましたが、給与はそれほど上がらず、退職金もどれほどもらえるのかわかりません。さらに、昨今の値上げや物価高騰。私たちが老後を迎えるころには、今ほど年金はもらえないでしょうし、介護・医療費も削減されるとなると、不安しかありません。子どもに迷惑をかけることだけは避けたいと思いつつ……。老後の生活のことを考えると、どうしても悲観的になってしまいます。(50歳・女性) 立川志らくさんの回答 ずっと不安に駆られて生きていては、人生もったいない。政治にどんどん参加して、国を変えていくしかありません。 お悩み回答者 立川志らくさん 私より10も下の人が、まだそんな先のことを心配する必要はないんじゃないかな。もちろん、老後に向けて計画的に準備するのは大切です。でも50歳っていったら、働きざかりだし、人生をいちばん謳歌できる年齢ですよね。そんないい時期を不安と心配ごとでいっぱいにしてしまうのは、もったいない。じゃあ、今の不安が現実化したらどうするかってことですけど、そのときは、おそらく自分だけじゃなく、この世代のほとんどの人が同じ状況になるでしょう。100%のうち、10%の人が遭遇する困難ではないわけです。多くの人が直面する困難であるならば、ある程度開き直って構えるしかないのかなと思うんですよね。でも、もしこの世代にそんな不遇な条件が待ち受けているのだとしたら、それは国になんとかしてもらわなければいけません。そのためには、選挙に行くこと。どんどん政治に参加して、この世代が安心して老後を迎えられるよう、制度を変えていく。自分たちの不安を解消してくれる政治家を選ぶしかない。実際、団塊ジュニア※1は人数が多いので、それだけ国を変えられる力を持っています。50代は、心身ともに充実して、体も不自由なく動ける10年間です。それまで落語一辺倒だった私が、テレビの世界に飛び込んだのも、ちょうど50歳のとき。定年まで不安に駆られて生きるよりも、自分の好きなことをして、楽しく過ごしたほうがいい。悲観しすぎてもいいことありません。 ※1 キーワード:団塊ジュニア世代 諸説あるが、おおむね1971 ~74年に生まれた世代をさす。「第二次ベビーブーム世代」とも呼ばれており、1973年出生の209万1983人が最多で、毎年200万人以上生まれた世代で、人口ボリュームは、団塊の世代(1947 ~49年生まれ)に次いで多い。 立川志らくさん 落語家。1963年、東京生まれ。85年に立川談志に入門、95年真打昇進。映画監督(日本映画監督協会所属)、映画評論家、劇団主宰、エッセイ執筆と幅広く活動中。「ひるおび」(TBS系)のコメンテーターをはじめ、テレビ・ラジオ番組にも多数出 演している。 「老後の4K」のお悩みをすべて見る(『オレンジページ』2023年4月2日号より)