超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。 今回のお悩み/介護 40代一人っ子、未婚。一人だけで両親の介護ができる? 40代会社員、親と同居しています。一人っ子で独身の私。現在パートナーはいません。両親とも70代で今は元気に暮らしていますが、将来もし介護が必要になった場合、きょうだいのいない私は、必然的に一人で二人の面倒をみなければならず……。外に働きに出ながら両親の介護ができるのか、実際の介護はプロにまかせるとしても、親の年金だけで足りない場合、2人分の介護費用をどう捻出したらいいのかなど、今から不安でいっぱいです。(44歳・女性) 山田悠史さんの回答 本格的な介護が始まる前に、ケアマネジャーなどの専門家に相談するのがベスト。 お悩み回答者 山田悠史さん 介護というのは、ある日突然やってきます。転倒による骨折や脳梗塞で倒れてしまうなど、心の準備ができていない状態から介護生活が始まることも珍しくありません。だからこそ、きょうだいがいる・いないにかかわらず、いざというときスムーズに介護生活が始められるよう準備しておくことが大切。まず知っておいていただきたいのは、私たち医師をはじめ、地域には高齢者をサポートする機関や専門家が多く存在するということです。心配なことがあれば、ご両親が元気なうちから、市区町村の介護保険課や地域包括支援センターなどで、ケアマネジャーをはじめとする専門家に相談することをおすすめします。介護が始まる前から相談なんて……と思うかもしれませんが、「70代の両親がいて、将来一人で介護をすることに不安を感じている」というのは、充分相談に値する内容。「要介護」の前段階である「要支援」でも使えるサービスがたくさんありますし、いざ介護が始まったときにすぐに相談できる人がいるのはとても心強いもの。要介護認定の申請※1からサービス利用までのタイムラグも最小限ですみます。介護費に関しても、介護保険の負担率※2から負担軽減制度まで、幅広くアドバイスしてくれるでしょう。何より、きょうだいがいないからといって、一人で抱え込まないこと。介護生活をいっしょに〈伴走してくれる人〉を今のうちから見つけておくことが大きなカギになります。 ※1 要介護認定の申請 介護保険サービスを利用するには、まず「要介護認定」の申請が必要。申請後、主治医による意見書作成と訪問調査を経て、介護認定審査会により認定されるまで原則として約1カ月かかる。 ※2 介護保険の負担割合 介護保険のサービスを利用する場合、65歳以上の自己負担割合は基本的には1割。一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となる。 山田悠史さん米国老年医学・内科専門医。慶應義塾大学医学部卒。ニューヨーク・マウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事。著書に『最高の老後「死ぬまで元気」を実現する5つのM』(講談社)、『健康の大疑問』(マガジンハウス)など。Podcast番組「医者のいらないラジオ」を配信中。 ブルボンヌさんの回答を見る「老後の4K」のお悩みをすべて見る(『オレンジページ』2024年6月2日号より)