超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。 今回のお悩み/健康 自営業で休みなく働く毎日。代わりがいないからこそ、将来病気になったらと不安です。 夫婦で飲食店を経営しています。幸いこれまで二人とも元気に働いていますが、年を重ねるにつれ、このまま体力がもつかなとか、代わりがいないぶん、将来病気になったらどうしようと不安に思うように。福利厚生も有給休暇もないので、お金も時間もかかる検診は、つい間隔があきがちです。会社員よりも年金が少ないので、長く働きたいと思っていますが、いつも目の前の仕事に追われて、自分たちの体とちゃんと向き合う余裕がありません。(52歳・女性) Tomyさんの回答 人間はいつか必ず衰えます。終わりがあることを前提に、「どう生きたいか」を考えましょう。 お悩み回答者 Tomyさん 結論から言ってしまうと、体力的な限界というのは必ず訪れます。老いはだれもが避けられないからです。年齢が上がるほど、病気になる確率もぐんと上がります。何の兆候もなく急に倒れてしまうことだってあるでしょう。人間にはいつか〈終わり〉が来ます。それはしかたのないことです。ただ、それを漠然と不安がるのではなく、終わりがあることを前提にして、「それまでの時間をどう過ごしたいか、どう生きたいか」を考えることが大切だと思うんです。このまま体力が尽きるまで頑張りつづけるのも、生き方としてはありだと思いますよ。しかしそうではなく、健康であることが何よりも大切だと思うのであれば、仕事を休んででも、体のメンテナンスを優先すべきでしょう。もう少しゆとりを持って暮らしていきたいなら、代わりになるような後継者を見つけておく。これからの人生でいちばん大切なのは、納得感なんです。終わりまでの時間をどう生きれば自分が納得できるのか。それを考えることで、むやみに不安がらずにすみます。じつは私も最近、自分のクリニックを人に譲り、勤務医をしながら執筆などの発信のほうに力を入れることにしたんですね。これも自分が納得できる生き方を求めて前々から準備していたこと。もちろん、お金のことが心配な気持ちもわかります。老後に向けてある程度準備することも必要ですが、お金の準備だけで人生が終わってしまわないように気をつけてください。 Tomyさん 精神科医。1978 年生まれ。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。38.6 万フォロワー突破のX(Twitter)が人気で、各メディアで活躍中。最新刊『精神科医Tomyの 人に振り回されない魔法の言葉』(エムディエヌコーポレーション)をはじめ著書多数。 近藤サトさんの回答を見る「老後の4K」のお悩みをすべて見る(『オレンジページ』2023年12月2日号より)