2021.01.18
入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者4人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。
おうちごはんではしょっちゅうパスタを食している私。定番のナポリタンやカルボナーラなどに加え、冬になると作って食べたくなるのが、「チキンヌードル」。
これはニューヨークに住んでいた、幼少の頃を思い出す一品。子どもが風邪をひいたときに、アメリカのママが決まって食べさせる定番メニューで、寝込むことが多かった私に、母もよく作ってくれました(余談ですが、我が家の「風邪っぴきの三大特権」は、ふとんに入ったままごはんが食べられる・普段制限されている甘い炭酸飲料が飲める・値の張るみかんの缶詰が開けられる、でした。これが嬉しくて、イベントのようなワクワク感を感じたものです)。
母の「チキンヌードル」は、おなじみの赤い缶に入った、即席タイプを使ったもの。鶏肉のブロスと香味野菜の風味あいまったスープの味と、ふにゃっとしたヌードルの食感が大好きで、「これだけは食べてくれるから」と、常に棚にストックしていました。
アメリカでは、大人になっても「風邪をひいたらチキンヌードル」は変わらずで、映画やドラマで、体調が悪い友だちや恋人のために「チキンヌードル」を持ってお見舞いに行くシーンも多々登場。ほとんどの場合、デリで買ったものですが、大切な人を思う気持ちに「チキンヌードルはやさしさでできているなぁ」と、ほっこりとしてしまいます。
でもこれは、じつは理にかなっていて、柔らかいヌードル(スパゲティやショートパスタ)は消化によく、薄味なので食べやすく、鶏肉で栄養を、スープで水分を補給できることもポイント。いわば「アメリカ版おじや」、ともいえますね。
今でも赤い缶の「チキンヌードル」がなつかしくて作りますが、ときには鶏肉をコトコト煮るところからスタート。キッチンが湯気に包まれて、それだけでもぽかぽかと温まり、スープのおいしさも格別。寒さと乾燥で免疫力が落ちる今の時期の、私の元気の源でもあります。
大好きな、赤い缶の「チキンヌードル」。オーソドックスなタイプと、子どもが喜ぶ、アルファベットのパスタが入った種類も。どちらも日本では手に入りにくいので、以前アメリカに行ったときに、スーツケースいっぱいに買って帰ったものを大切に使っています。
煮るところからスタートする「チキンヌードル」。母は時折、鶏ガラを使って作ってくれていましたが、私は手羽肉で応用。なぜならば、あとのお楽しみがあるから(レシピの最後をご覧ください)。
残りの鶏手羽は油少々をひいたフライパンで両面をカリッと焼いて、おつまみに。「抜け殻」になるかと思いきや、身は骨からほろっと外れるほど柔らかくなって美味! 今回はカレー塩をふっていただきました。
オレぺのレシピを世に送り出しつづけているベテラン料理編集者4人が、これまで出会ったレシピの中から好きなもの、忘れられないものを自ら作って、撮って、語ります。
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