51歳。70の母に会う度に近所や父の悪口を聞かされ、まいってます/ブルボンヌさん
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。
今回のお悩み/介護
口を開けば、愚痴や不平不満ばかり。母親の話を聞くのがストレスです。


母親は76歳。会うたびに愚痴や悪口、不平不満を聞かされ、まいっています。父のこと、兄嫁のこと、近所の人のこと……。こちらが少しでも「それは違うんじゃない?」「向こうはそんなつもりじゃないと思うよ」と反論すると不機嫌に。できるだけ母の話を聞いてあげたいとは思うのですが、ネガティブな話ばかりで、聞いているこちらが疲れてしまいます。でも、あからさまに拒否するのはかわいそうな気も……。どう対応すればいいでしょうか?
(51歳・女性)
ブルボンヌさんの回答
「親だから」といってすべてを受け入れる必要なし。〈お返事ロボ〉に徹したドライな対応で乗り切って。


ブルボンヌさん
うちの母親も76 歳。この間、〈後期高齢者突入祝い〉でクルーズ船の旅に2人で出かけたんですけど、後半は毎日ケンカしてました(苦笑)。親子ってお互い気をつかわないぶん、ついイラッとしちゃうし、なにかとぶつかりがちよね。ただ、うちの親子がイーブンな立場で言い合っているのに比べて、相談者さんの場合、「ネガティブな部分も受け止めてあげなきゃ」って、完全に〈お世話する側〉に回っちゃっている気がするの。
これが親じゃなくて、友人や職場の人だったら、愚痴や悪口ばっかり言ってる人とは自然と疎遠になるじゃない? それを「親だから」というだけで、自分をすり減らしてまで受け止める必要はないわよ。「毒親」※1って言葉もあるけど、一人の人として見たときに、明らかに受け入れがたいものがあれば、距離を置いてもいいと思う。ここはあくまで自分ファーストで。ただ高齢者の場合、認知症の初期症状※2ということもあるから、そこは注視が必要だけどね。
ちなみに、私がお店のお客さんに延々と愚痴や自慢話をされたら、聞いてるふりして、「うんうん」「だよね」「そうだよね」の相づちだけを繰り返す〈お返事ロボ〉と化してます(笑)。大切なのは、話をまともに受け取らないこと。「聞いてあげなきゃ」と思うからしんどくなるし、真剣に向き合うから「どうして?」という感情もわいてくる。毎回「お勤め終了!」ぐらいのドライな気持ちで接したほうがダメージが少ないわよ。
※1 毒親
1989年にスーザン・フォワードの著書『毒になる親 一生苦しむ子供』(講談社)がベストセラーとなり、この本をきっかけに生まれた言葉。学術的な用語ではなく、「子どもの人生を支配したり、子どもに害悪を及ぼす親」をさす言葉として用いられる。
※2 認知症の初期症状
認知症の初期症状には、「忘れっぽくなる」以外に、「怒りっぽくなる」ことがあり、特にアルツハイマー型認知症の症状として多く見受けられる。急に不機嫌になる、目つきが変わる、攻撃的な言動が増えるなど、これまでおだやかだった人が、ささいなことで怒ったり怒鳴ったりするようになったら注意が必要。
女装パフォーマー
ジェンダーや福祉問題を扱う「ハートネットTV」(NHK Eテレ)への出演やラジオパーソナリティ、LGBTQや男女共同参画に関する講演活動など多方面で活躍。新宿2丁目と渋谷パルコのミックスバー「Campy!bar」をプロデュース。Podcast番組「ジョソラジ」を配信中。
取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子














