『オレンジページ』でおなじみの料理家さんにご登場いただき、これまでに発表した中でも「われながらこれは傑作!」「これはプライベートでもよく作る」というご自慢のレシピについて語っていただくこの企画。
前回のお話:
ふっくら&カリッと。フライパンで『焼き肉まん』のレシピ【料理家・大庭英子さんの傑作】
今回は
藤井恵さんにお話をうかがいます。初回は「思い入れたっぷり」だという料理、
「ガレット」にまつわるエピソード。長年作りつづけてきたガレットについて、今改めて考えていることなどをお話しいただきました。
今回の傑作レシピ
『ハムとチーズのガレット』
パリのマルシェで出会ったガレットに感激
これまで『オレンジページ』誌上で、たくさんのガレットレシピを披露してくださった藤井恵さん。その原点は、初めてのフランス旅行で食べたガレットにあるといいます。
「今から20年ほど前でしょうか。パリのマルシェでハムとチーズのガレットを食べて、こんなにシンプルなのに、こんなにおいしいなんて! と感激しました。単なるハムとチーズとはいえ、フランスのものなので塩分がしっかりあってうまみも強いんです。味のインパクトがある少ない具材で、時間をかけてていねいに作られていることが印象的でした」
フランスへ行く前からガレットはときどき作っていたという藤井さん。
現地で実際に食べてみて、作り方にも発見があったそう。
「それまで以上にじゃがいもを細く切るようになりました。そうすることで、
じゃがいもどうしがうまい具合にくっついて焼き上がるんですよ。スライサーを使えば、せん切りも簡単です」
じゃがいもだけじゃない! 他の野菜で作るガレットバリエ。
こうして、ご自身でも長年作りつづけてきた藤井さんのガレットレシピは、作りやすくておいしいと大人気。
不動の定番といえる「ハムとチーズのガレット」(上記)以外にも、編集部からのさまざまなリクエストにこたえていただきました。
ときには「じゃがいものガレットばかりやりすぎているから」と、れんこんやにんじんでアレンジバージョンを考えていただいたことも。
新鮮な色合いや味わいが人気を呼びました。
れんこんのチーズガレットにんじんのスパイシーガレット「本当にいろいろなバリエーションを作ってきました。どれも思い出深いですが、今はやっぱりじゃがいもで作るのがいいなと思っています。で、具材はハムとチーズ。原点に戻ったというか、
どんどんシンプルになっている気がします」
理想の焼き上がりを求めて 〜今は、こんなふうに作っています
ガレットの理想的な焼き上がりは、外はカリカリで中はトロッとした状態。そのためには、じっくり焼く時間とたっぷりの油が欠かせません。
「おいしいガレットを作るポイントの一つは、じつは
じっくり焼くことなのですが、ふだん家庭で作るときに、そんなに手間も時間もかけられないですよね。だから、レシピを提案するときは、できるだけ短い時間でおいしく焼けるギリギリのところを考える。そうすると、片面7~8分、両面で15分ぐらいの焼き時間になるんです。でもね、本当は
片面で15分くらいじっくり焼きたい。両面で30分なんて、あんまり気がすすまないでしょう?(笑)」
油の量も大切です。
「おいしいガレットのポイントはもう一つあって、それは、
たっぷりの油で揚げ焼きにすること。でも、雑誌などに掲載するレシピでは、だれでもおいしく、そして安全に作れることが大切なので、両方のバランスがとれる油の量を考えます。熱い油がはねたりすると危ないですから」
最近では、独立した娘さんが帰ってきたり、お客さまが来るときに作ることが多いというガレット。
「そんなに頻繁に作るものでもないですし、家では時間も油もたっぷり使って焼いています。あと、コツということでもないのですが、
ハムをちょっと奮発するとすごくおいしくなりますよ。私が好きなのは
スモークハム。チーズは、ピザ用だけでもいいんですが、
違う種類をミックスして使うのもおすすめです」
じゃがいもがおいしいこの季節、ぜひ作ってみてほしいガレット。おもてなしにもぴったりですよ。
藤井 恵さん
管理栄養士の資格を持ち、味と栄養のバランスを兼ね備えたレシピが多くの人の支持を集める藤井さん。2人の娘さんの子育て経験を生かした、手軽に作れるおかずやお弁当のレシピも数多く提案しています。