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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

【飛田和緒さん、栗を楽しむ】栗ご飯と渋皮煮と栗ペーストを手作りで【手ごわい皮むきのコツも】

2023.10.25

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

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10月に入り、ようやく秋らしくなってきました。

昨日は、初夏以来初めてエアコンなしで撮影の仕事ができました。台所だけ扇風機を少々回しましたれど、快適に仕事をすすめることができてホッとしています。京都からいらしたスタッフのおひとりは薄いカーディガンに上着を羽織っていらっしゃいましたので、関東もそろそろ本格的な衣替えになりますね。



 今日の地元野菜は冬瓜、モロヘイヤ、空芯菜、栗。ほかにオクラ、なすもありました。直売所のお母さんいわく、「もう夏野菜終わりって言ったけど、なんだかまだ夏野菜が方々からやってくるのよ」と。ご自身の畑だけでなく、ご近所の農家のかたが作っている野菜も並ぶのでそんなことをおっしゃっていました。

 さてこのラインナップなら、まずは栗でしょ。青菜は洗って紙で包んで冷蔵庫にしまい、冬瓜は新聞紙に包んで冷暗所に。栗の作業をはじめたらほかはすぐに下ごしらえできないから、いったん冷蔵庫に納めました。

 ■手ごわい栗の皮むき

さあ、栗むき。

まず栗をさっと洗って、耐熱のボールに入れ、熱湯を注いで、鬼皮をふやかします。



こうすると鬼皮は案外むきやすい。わたしは渋皮のほうが手強いと思っています。鬼皮のふやかしついでに、多少なりとも渋皮もやわらかくなっているので一気に剥いてしまいます。小ぶりなものは栗ご飯用に渋皮をむき、ところどころ残してというか、むきにくいところは無理にむかずに残しています。


そして水に30分ほど浸けてアクをとって、米と一緒に炊きます。米は古米。新米は柔らかくなりすぎるので、炊き込みご飯はあえて古米で作ります。もち米があればひとつかみ入れると栗とごはんの密着度が高くなります。よく一緒に仕事をするスタイリストさんが言っていましたが、「炊き込みご飯と具の混ざり具合をよくしたいから、必ず油揚げや鶏肉などの油っけのあるものを入れる」んだそうです。そうするとごはんと具材がバラバラにならずに、一体感が出ると。

確かにそうですね。具がごはんと密着していなくてボソボソほろほろとしていることあります。わたしは餅米を常備しているので、もち米をほんの少し入れるようにして密着度高めてますよ。ご参考までに。



 大きめの栗は渋皮煮に。渋皮は残し、モサモサっとして糸状の筋は取れるものは取っておきます。重曹を入れた熱湯で茹でてから、何度も茹でこぼしては筋を取り除いていきます。いっぺんに取ろうとせずに、茹でこぼしては水洗いして、こそげていくときれいになっていきます。
きれいになったら、柔らかく茹でてから、砂糖を合わせて甘く煮ていきます。渋皮煮はそれはそれは手がかかりますが、甘くねっとりと上手に煮えた時の幸せなことといったら。つややかな出来上がりを想像しながら煮ていきます。 

■栗ペーストが去年大活躍

そしてこれは去年の栗作業のときの話ですが、あまりに張り切って栗を買いすぎて、途中で嫌になりました。剥くまで至らなかった栗は鬼皮ごとゆでて、半分に切り、スプーンで実をほじくり出して、マッシャーでつぶし、小分け冷凍にしました。これはとても簡単で気をつかわず作業できるのがいい。サクサクと進みました。裏漉しまでしておけばモンブラン風なクリームもできるでしょうが、そこまでの力残っておらず、つぶしただけの冷凍栗。



ですがこれが意外と役立って、パウンドケーキやパンケーキの生地に加えて焼いたり、小豆煮に栗を合わせて栗入りお汁粉を作ったり。おせちの栗きんとんにしようと思っていたのが、そんなカタチになって食べ尽くしました。今となってはその栗ペーストをもっとつくっておけばよかったかなと思ったくらいです。渋皮煮を作りながら、昨年の反省を思い出し、また栗を買わねばと思ったのでした。


栗ごはんは今回初物だったので塩味のみで炊きましたが、しょうゆ味も捨てがたい。しょうゆ色のごはんに黄色い栗もきれいなんですよー。

>>【皮むきのコツも】飛田和緒さんの甘くてほくほく『しょうゆ味の栗ご飯』のレシピ

何度も炊くなら、きのこを合わせたり、具沢山の中華おこわにしてみたり、栗の炊き込みごはんはバリエーション豊富です。渋皮煮も白砂糖で煮るか、ざらめで煮るか……砂糖の種類でも味わいが違ってきます。仕上げにブランデーを入れるとマロングラッセにも似た味わいになりますね。

さきほど、栗ご飯は古米で炊くと書きましたが、

そう、今は新米の季節。わたしも9月のはじめから南から順に届く新米を炊いて味わっています。二週間まえくらいには地元の棚田で作られた新米を2合ほど友人にお裾分けしてもらいました。こちらもツヤツヤピカピカでおいしくいただきました。作付け量が少ないので、あっというまに完売してしまう幻の棚田米。そんな地元の米など新米を楽しんでおりますが、古米がまだあるから新米を買えないという声も。新米は新米のうちにいただきましょう。古米は炊き込みご飯やすしをつくるときに。チャーハンやピラフは新米ではうまく作れませんから、古米も必要なんです。両方を使い分けてみてくださいね。

仕事ではもう冬の号を撮り終わり、年末にかけてはもう春号を準備する頃。

気分は年末に向かっていますが、いやいや立ち止まってこの気持ちのいいときを楽しまなくてはと心があっちこっちに行っております。ようやく暑さから解放されたんだから旅にも出たいものです。

 そうそう暑さといえば、このサイトで公開されている「ホムパツアー」我が家にもいらしていただきました。



暑い暑い一日でしたが、いつもここでご紹介している野菜の直売所やお気に入りのしらすやさんをめぐって、我が家でBBQをしました。風が強くてちょっとBBQ手こずりましたが、おいしい地元の海鮮やお肉を豪快に焼きましたので、ぜひご覧ください。

 

                             飛田和緒
 


飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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