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安田章大さん「違和感を大切に持ち帰ってほしい。それが新しいページになるはずだから」

歌手・俳優 安田章大さん
やすだ しょうた/1984年、兵庫県生まれ。2004年「浪花いろは節」でCDデビュー。「SUPER EIGHT」のメンバーとして、主にリードギターを担当し、作詞や作曲も手がけている。音楽活動のほか、俳優として映画や舞台などでも活躍している。
安田 章大|SUPER EIGHT / INFINITY RECORDS 公式サイト
違和感を大切に持ち帰ってほしい。
それが新しいページになるはずだから
鼻歌を口ずさみながら、軽やかにステップを踏む。ポートレートの撮影中、安田章大さんはカメラの前でとても楽しそうにしていました。今回挑戦する舞台について話すときもしかり、とてもワクワクしている熱量で伝えてくれます。
幼いころから演劇が好きだという安田さんにとって、劇作家・唐十郎作品を演じるのは特別なこと。「初めて唐作品を観客として見たときの、殴られたような強い衝撃は今でも鮮明に覚えています。感覚が研ぎ澄まされて、これから生きていく先が本当の世界なんだ、と。新しいもう一人の自分が生まれたような感覚でした」
今回挑むのは「アリババ」「愛の乞食」の2作品で、2023年の「少女都市からの呼び声」に続く主演です。
「今回、せりふはすべて関西弁なんです。演者もほとんどが関西人。賛否両論になるのは間違いないのですが、唐さん自身が『演劇には賛否両論なければダメだ』と語っていらっしゃったので、いいと思っています。僕自身、関西弁のほうが感情を伝えやすく、表現しやすいんです」と話します。そもそも、関西弁での上演になったのは、安田さんが前作を演じる際「せりふを一度関西弁に変えて気持ちをつくってから覚えている」と話したことがきっかけだったといいます。そのように、唐作品を理解する努力は惜しみません。
「唐さんの脳の中を少しでも理解したくて、過去の映像を取り寄せたり、大学のゼミ関連の本や絶版になった書籍を古書店で探して読み込んだりしてきました。学んで体験することで、演じる際のたたずまいや表情、まとう空気が変わると実感しています」

今作は、唐十郎初期の作品で唐の原点ともいえるもの。高速道路を駆け抜けていく馬が登場したり、公衆便所がキャバレーに変わっていくという不思議で難解な世界が繰り広げられます。
「違和感や『わからない』感覚があっても、そのまま持って帰ってもらいたい。それは、その人の中にできた新しいページだと思うから。すんなり理解できるものより、異物を感じさせるもののほうが、その人の成長や豊かさにつながるはずですし、それが唐作品の魅力だと感じています」
安田章大さんイチオシ!
『アメリカンインディアン 聖なる言葉』

ジーナ・ジョーンズ 著
加藤諦三 訳/713円/だいわ文庫
大切なバイブルです
安田さんが大切にしているのは、ネイティブアメリカンに伝わる格言の数々をまとめた一冊。「太陽も川も岩も、すべて生き物であり、家族として考える視点が描かれていて、読んでいると感情や感覚がやわらかくなるんです。いつも持ち歩いて、バイブルとして何度も繰り返し読んでいるんですが、同じページでも読む時期や自分の状態によって感じ方が違うので、自身の状態を知ることができる本でもあります」。
これに注目!
Bunkamura Production 2025「アリババ」「愛の乞食」

作/唐 十郎 脚色・演出/金 守珍
出演/安田章大、壮 一帆、伊東 蒼、彦摩呂、福田転球、金 守珍、温水洋一、伊原剛志、風間杜夫ほか
※伊東 蒼、伊原剛志は「愛の乞食」のみ、風間杜夫は東京公演・福岡公演の「アリババ」のみの出演。
企画・製作/Bunkamura
東京公演 2025年8月31日(日)~ 9月21日(日) 世田谷パブリックシアター
福岡公演 2025年9月27日(土)、28日(日) J:COM北九州芸術劇場 大ホール
大阪公演 2025年10月5日(日)~13日(月・祝) 森ノ宮ピロティホール
愛知公演 2025年10月18日(土)、19日(日) 東海市芸術劇場 大ホール
安田章大さんからの直筆メッセージ

●2025年7月現在の情報です。
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撮影/有坂政晴 取材・文/晴山香織 ヘア&メイク/山崎陽子 スタイリング/袴田能生