超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。 今回のお悩み/健康 最近、もの忘れが多すぎて落ち込んでいます。 54歳の会社員です。この年齢になると、体力の衰えだけでなく、記憶力の低下をひしひしと感じるようになりました。会話に「あれ、それ」が増えたのはもちろん、しょっちゅうスマホやメガネを探していたり、やろうと思っていたことをすぐ忘れてしまったり、聞いたはずの話が記憶に残っていなかったり(子どもによく指摘されます)。先日も、電子レンジで料理を温めている間に別件ですっかり忘れ、翌日に発見。自分のやったことにも記憶があいまいで、「玄関の鍵、かけたっけ?」と不安になることも。この年齢から記憶力を高める方法というのはあるのでしょうか?(54歳・女性) 松本明子さんの回答 「もの忘れによる失敗」をなるべく防いで、落ち込む回数を少なくしていきましょう! お悩み回答者 松本明子さん 私もまさに相談者のかたと同世代で、まったく同じです! この間なんて、同期の「83年組」※で集まったのですが、私、大沢逸美さんのことをずっと「(森尾)由美ちゃん」って呼んでて。大沢さんに「私は由美ちゃんじゃないよ」って言われたことも。もうひどいもんですよ(笑)。ほかにも、トイレにハンドバッグを何度も置き忘れてしまったり……。私も含めて、きっと同世代のみなさん同じような感じでしょうから、落ち込むことはないと思うのですが、ちょっとした工夫で「もの忘れによる失敗」を防ぐようにすると、落ち込む回数が減るかもしれません。私の場合は、出かける前日に持ち物を準備して玄関に置くようにしています。当日絶対忘れちゃいけないものは、紙にペンで大きく書いて玄関ドアに貼っておく(笑)。家を出るときは、「ガスOK、電気OK、戸締まりOK」と指さし確認。せりふだって年々覚えにくくなっていますから、台本をお風呂やトイレに持ち込んでブツブツ、ウォーキングをしながらブツブツ。とにかく時間をかけてなんとか覚えている感じです。年をとればとるほど、いろいろなことに手間と時間がかかるようになりますが、それは今の自分に必要なことだと割り切ってやっていますね。いい意味でのあきらめというか……。最近は、思い出せないことがあっても、すぐにスマホで調べずに、自分で考えるようにしているんです。これで少しは脳が活性化するかなと(笑)。 ※83年組アイドル 1983年に歌手デビューした松本明子、森尾由美、大沢逸美、小林千絵などをはじめとするアイドルたちのこと。アイドル黄金期の80年代は、デビューした年によって語られることが多く、中森明菜、小泉今日子、早見優、シブがき隊、堀ちえみなどがデビューした「花の82年組」が有名。 松本明子さん タレント。1966年、香川県生まれ。元祖バラドルとして各メディアで幅広く活躍。今月には「40周年イベント83年組アイドル 不作と言われた私たち『お神セブン』再集結!」を開催。最新刊『この道40年 あるもので工夫する松本流ケチ道生活』(アスコム)が発売中。 山田悠史さんの回答を見る「老後の4K」のお悩みをすべて見る(『オレンジページ』2023年9月17日号より)