超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。 今回のお悩み/孤独 子なし年齢差夫婦。夫に先立たれたら、どうしたらいい? 49歳の主婦です。夫は12歳年上の61歳。子どもには恵まれませんでしたが、いっしょに旅行や食事に出かけたり、二人で行動することが多く、仲のいい友達のような関係です。しかし、ひとまわりの年の差に加えて、女性のほうが長生きであることを考えると、夫に先立たれてしまう可能性が高く……。精神的な支柱を失ってしまうだけでなく、経済的なこともすべて夫にまかせているので、ちゃんと生活していけるのかも不安。いずれ訪れる別れを考えると、とても怖いです。(49歳・女性) 笠井信輔さんの回答 今抱いている恐怖心は、〈未来への備え〉の原動力になります。 お悩み回答者 笠井信輔さん 今年60歳を迎えた私からしたら、49歳はまだまだ若い! この若さで、旦那さんの死後まで想像している人というのは、そうそういないのではないでしょうか。恐怖心にとらわれすぎるのはよくありませんが、私は、今のこの状況を建設的にとらえたほうがいいと思います。というのも4年前、自分が「がん」と診断されたとき、「なんて運が悪いんだ」「これからどうすればいいんだ」と、茫然自失の状態に陥ってしまったんですね。でも冷静になって考えてみれば、ご存じのように、がんは2人に1人がかかる病気。男性に至っては、3人に2人近くはがんになります※1。つまり、がんになる人のほうが多いわけです。もし、そのことをちゃんと認識して、ある程度備えていたら、もう少しうまく対処できていたかもしれないなあと。保険や貯金など現実的なことも含めてね、「正しく怖がる」ことは、未来への備えにつながると思うんですよね。旦那さんがいなくなることを恐怖に感じているのであれば、それは次のステップに一歩踏み出している証拠。今の夫婦仲はキープしつつ、少しずつ自分の世界を広げていきましょう。旦那さんとばかり行動するのではなく、友達に会う、趣味のサークルや地域コミュニティに参加する、習い事や勉強を始める……。とにかく積極的に動いてみてください。恐怖や不安というのは動くことでしか解消しません。49歳の今からなら、備えられることはたくさんありますよ! ※1 キーワード:がんの罹患率 国立研究開発法人 国立がん研究センターの「最新がん統計」によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65.5%、女性は51.2%(2019年データに基づく)。 笠井信輔さん フリーアナウンサー。1963年、東京都生まれ。フジテレビのアナウンサーとして「とくダネ!」などの情報番組を担当。2019年、フリーアナウンサーに転身直後に「悪性リンパ腫」が判明。現在は治療を終え、仕事に復帰している。近著は『生きる力 引き算の縁と足し算の縁』(KADOKAWA)。 ブルボンヌさんの回答を見る「老後の4K」のお悩みをすべて見る(『オレンジページ』2023年6月17日号より)