こんにちは! 谷中松寿司三代目・料理家の野本やすゆきです。この連載では、寿司屋ならではのテクニックを交えながら、家庭で作りやすいレシピをご紹介しています。秋になり、スーパーや魚屋さんで〈すじこ〉を見かけることが多くなりましたね!というわけで、今回のテーマは寿司屋が教える「イクラのしょうゆ漬け」です。ちなみに、「すじこ」と「イクラ」の違いってわかりますか?正解は、すじこは膜におおわれた状態、イクラはほぐした状態のこと。豆知識でした~(笑)。それでは、さっそく作っていきまーす‼ 【其の一】すじこは水でほぐすべし! ぬるま湯を使ったり、熱湯で一気に……など、ほぐし方はいろいろですが、寿司屋の私の経験では水がいちばんおいしくできます。氷水などは使わず、水道から出る水でOK!熱湯は早くほぐせますが、火が入ってしまうんですよね。せっかくの高級な食材なので、ていねいにほぐすのがおすすめ! 【其の二】少し薄めの味つけがおすすめ! 少し薄味にすることで、素材の味を感じられる仕上がりに。ご飯にかけて食べたときに、〈卵かけご飯〉のような濃厚な味わいを感じられるといいなと思います。 【其の三】すじこが旬のうちに作って! よく「堅いイクラをうまく仕上げる方法は?」ときかれますが、育って堅くなってしまったすじこは、柔らかく仕上げるのは難しいんです……。だからこそ、旬のおいしく、柔らかい時期に漬けるのが◎! もちろん鮮度も大事なので、買ったらすぐに漬けるのがおすすめです。 『いくらのしょうゆ漬け』のレシピ 材料 生すじこ……350gみりん……大さじ2日本酒……大さじ2しょうゆ……大さじ2【POINT】料理酒ではなく、日本酒を使うことで素材のうまみが引き立ちます。 作り方 (1)小鍋にみりん、酒を入れてひと煮立ちさせ、アルコールをとばす。しょうゆを加えて完全にさます。(2)ボールにたっぷりの水をはり、すじこを丁寧にほぐす。(3)全体がほぐれたら、途中水を何度か替えながら血合いや白い膜などを取り除く。ざるに上げ、ラップをして冷蔵庫で30分ほど水けをきる。(4)清潔な保存容器に(3)を入れて(1)をひたひたになる程度加える。冷蔵庫で一晩置く。 保存期間 冷蔵で約1週間、冷凍で約3カ月保存可能※(冷凍用の保存容器や保存袋を使うと◎)※食べるときは冷蔵庫で解凍でき上がった「イクラのしょうゆ漬け」がこちら!漬け汁がしみて宝石のような輝きに!わさびを添えたり、白いご飯にのせたり、ぜいたくにサラダにかけてみたり……。食べ方は無限大!口の中でプチプチとはじける食感がくせになりますよ。ちなみに、小鉢に入れたすしめしにかけて、かるく混ぜて食べるのが松寿司流!冷凍もできるので、旬の時期に作っておいて年末や正月に解凍して食べるのもいいですね!ちょっと手間がかかりますが、季節の食材にふれてみるのも楽しいものですよ♪今の時期ならではの味。ぜひ作ってみてください!
谷中松寿司の旬ネタ 最後に松寿司の旬ネタをご紹介!今回は「かます」です。秋のかますは脂がのっていて、とっても美味。焼き魚のイメージが強いかと思いますが、刺し身も絶品です!松寿司では脂ののった新鮮な〈かます〉を塩でかるくしめて、皮をあぶってにぎります。仕上げにすだちをきゅっと絞るのがポイント。最後までお読みいただきありがとうございました!次回の更新は10/27(金)。今回の「イクラのしょうゆ漬け」を使った「なんちゃってはらこ飯」紹介します。野本やすゆき料理家、谷中で80年続く「谷中松寿司」三代目店主。大学卒業後、調理師学校に通い、調理師免許を取得。家業の寿司店で修業するかたわら、フードコーディネータースクールに入校。卒業後、同校講師を経て独立。料理家、寿司屋の二刀流で料理雑誌へのレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネートなど、食にかかわるジャンルで幅広く活躍中。YouTube:野本やすゆきチャンネルInstagram:nomotobase谷中松寿司:yanakamatsusushi