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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

トマトと塩だけ!『トマト煮』はレシピが広がる万能作り置き【飛田和緒さん連載】

2023.07.19

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

>>第一回「新じゃがいものオイル焼きプレート」はこちら



連載2回目のさもないごはんは夏野菜たっぷりになりました。7月に入り、直売所にはなす、きゅうり、トマトと夏の定番野菜がずらり

すいかも大玉からラグビーボールのようなカタチのものまで並んでいて、近年すいかは真夏より早めに出荷されているなと感じています。先日はすいかを買ってそのまま食べたり……。塩と黒こしょう、オリーブオイルをかけてサラダとして食べたり、すりおろしてジュースにしたり、トマトの冷たいスープ・ガスパチョにすいかを合わせてもおいしかった。そんなふうに食べていたら小玉はあっという間に食べ終わってしまいました。家族が少なくなった今、小玉すいかは二人暮らしにはちょうどいいサイズです。これから梅雨が明けたら、なすの種類も多くなって、さらに夏らしいみずみずしく、緑の濃い野菜、オクラやしし唐、ピーマン、モロヘイヤなどなどが並びだすことでしょう。

さて本日の買い物は、長なす、水なす、きゅうり、みょうが、トマト。




トマトは「B」のシールが貼ってあって「これは何ですか」ときいたら「たぶんB級品ってことだと思うよ」とのこと。今日出かけた直売所は近所の数軒の農家さんの野菜を集めて販売しているので、そんな答えで確証は得られませんでした……。B級とは言われたけど、へたはピンと伸びやかで緑が濃く、完熟のものと、もう少し追熟したほうがいいかなと思う若いトマトがいっぱい入っていました。私にとってはまったく気にならないB級品。むしろ少しお値段安くなっていてありがたい。



このトマトを見たらもうアレを作るしかない!!! 
ということで、すぐにトマトの水煮を作りました。

まずはトマトを水煮に!

 
まず約2kgあったトマトは洗ってへたをくりぬき、ざっと切っては厚手の大鍋に放り込む。皮はまだ柔らかなので、湯むきはせずに皮ごと入れる。鍋のふたはかろうじて閉まりました。



強火にかけて、ぐつぐつ音がしてきたら中火に。10分ずつタイマーをかけながら、様子をみてトマトの高さくらいまで水が上がってきたら、ふたを取って煮つめていく。



最初は中火で、少し煮つまってきたら弱めの中火にしてさらに煮つめる。とろみがつくくらいまで煮つめたら、塩を少し加えてでき上がり。水はいっさい加えず、トマトの水分だけで煮つめます。2kgあったトマトが1200ml入りのびんに納まる。すぐに使わないときはこのまま冷蔵庫で4~5日保存か、半分ずつ密閉できる保存袋に入れて冷凍。長もちさせたいときには煮沸したびんにあつあつのトマト煮を入れてていねいに脱気まですれば、1年以上冷暗所で保存可能になりますから、これからどう食べていくかで保存方法は決めます。

ひき肉トマトソースと水なすのサラダのプレート



よし、お昼はできたてのトマト煮を使って、長なすとひき肉を合わせてトマトソースを作り、ご飯やパスタを合わせて食べよう! 冷凍庫にあった合い挽き肉を自然解凍している間ににんにくと玉ねぎのみじん切りをオリーブオイルで炒め、しんなりしてやや玉ねぎが色づいてきたらひき肉と塩を入れて炒め合わせる。肉はまだ完全解凍されてないけど、おなかがすいて気がせいているから、ふたをしながら蒸し焼きにして加熱する

肉に火が通ったら、トマト煮を加える。あーっ、うっかりなすを入れ忘れた。別のフライパンで炒めて加える。ひと鍋で仕上げたかったなー。とひとりぶつぶつ言いながら手を動かす。わーとか、やー、とかいつも口も忙しい。最後に塩としょうゆで味をととのえてでき上がり。冷凍ひき肉となす炒めに手間取ったから、パスタはあきらめ、レンチンご飯にかけることにしました。

トマトソースを煮込んでいる間に水なすのサラダを作る。水なすは生のまま食べてもおいしい。なすとみょうが、実家の家庭菜園から届いた赤い玉ねぎを薄切りにし、水にさらしてから、水きりをしっかりして盛りつけ、ケッパーをちらし、かるく塩と、パウダーのクミンをふり、オリーブオイルを回しかけます。ケッパーとクミンがいいアクセントになりました。

きゅうりはぬか床へ。明日の朝ごはんのために漬けました。常温で漬けていたぬか床もここ数年は暑すぎて発酵が進みすぎてしまい、冷蔵庫へ避難しています。これまで常温で保存できていたものが厳しくなってきましたね。レシピも書き換えていかないといけない。台所仕事にも地球環境が大いにかかわってきていますね。

レンチンしたご飯になす入りのトマトソースをたっぷりとかけ、水なすのサラダを添える。氷水のグラスに庭で摘んだミントを入れ、サラダにもミントを散らす。

トマトソースはまだ数回楽しめそう。スパゲティに合わせたり、カレー粉を加えてカレーライスに、トーストにのせたり、ホットドッグと合わせても。オムレツの具に、目玉焼きに添えたり。まぁそんなふうに食べていたらあっという間になくなりますね。残り少なくなってきたらなす、ズッキーニ、パプリカと合わせて蒸し煮にしてラタトゥイユに。トマト煮からどんどんレシピが広がっていきます

今日みたいにお昼を作りながら、次の献立につながることを考えながら台所に立ちます。一回一回完結の料理よりつながる料理のほうが私は心地よいのです。多めに作る、残りものも大事に保存してアレンジして食べるなど、その日の夜や翌朝分、または2~3日後に来客ありというときは早め早めになにかしら下ごしらえして準備しておくと、仕事終わりでクタクタでも、急におなかがすいてもなんとかなる。これは長年台所仕事を続けてきたからできること。意識して続けてきたことではないけど、いつの間にかコツコツ積み重なっていきました。
 
今日のさもない昼ごはんも大満足。ごちそうさまでした。
ちょっと食べすぎたから午後眠くなってしまいそうです。
  
飛田和緒


飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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