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「調理室池田」の、おうちで本格『ブイヤベース』のレシピ

2024.01.19

連載3回目となる今回は家で作る「ブイヤベース」。初めての「家のテーブル」の話です。

たくさんの人に食べてもらえたらどんなにいいだろう。切り身ではなく丸物の魚の姿は何よりおいしそうだし、料理をしようという気持ちをかきたてる。ブイヤベースは市場に通うようになっていちばんに作りたかった料理かもしれません。
日本にもあら汁という料理がありますが、始末のいい料理というか、すべてをきれいに食べ尽くすということは、ぜいたくとは違った満たされるものがあります。大がかりな料理に見えますが、もとはマルセイユの漁師の料理。むずかしいことはそれほどありません。

今回のレシピのヒント

あらでだしをとり、最後に身と合わせる鍋料理

魚はぜひ一尾まるごと買って

大きな丸物の魚を買ってもなかなか食べきれないと思うでしょうが、半身は刺し身で、残りは揚げて……とやりくりを考えるのも楽しいものです。そして、なんといってもあらでだしがとれるというおまけがあります。
だしはどんな料理にも通ずるベースとなるもの。ここではみなさんにだしをとることの楽しさを知ってほしいという思いもあります。心ひかれる白身の魚に出会ったら、ぜひまるのままで買ってきて試してください。

魚をおろし、身とあらに分ける

魚はうろこを引き、内臓を除いて 三 枚におろします。身は具として、中骨や頭などのあらの部分はスープに使いますので、魚屋さんでおろしてもらう場合は骨と頭を必ずもらうようにしてください。いっしょに煮る香味野菜は大きく切り、ハーブはたこ糸で縛っておくと取り出すときに楽です。

鍋は2つ。だし用と仕上げ用

少ない魚でもしっかりと味わい深いだしをとり、身はふわっとおいしく食べるために、だし用の鍋と仕上げの鍋を別に用意します
あらは汚れや臭みを取るために一度湯通しします。だしの材料が準備できたら、大きめの鍋に入れて 1〜2 時間煮込み、しっかり味を出します。
仕上げ用の鍋では香味野菜を炒めて味のベースを作ります。バターではなくイタリアやスペイン料理のようにオリーブオイルをたっぷり使うのもマルセイユらしさかもしれません。最後にこの2つの鍋を合わせ、具を加えかるく煮たら完成です。

より本格的に

料理をもうワンランク上に仕上げるために「ルイユ」 を作りましょう。にんにくをきかせたマヨネーズのようなもので、パプリカやサフランを加えるのが特徴です。ゆでた野菜やパンにつけてもおいしいので、店ではルイユだけお代わりするからもいらっしゃいます。
それからもう一つ紹介したいのは、風味づけのお酒「パスティス」です。白ワインでも代用できますが、アニスやハーブを使ったこのお酒を使うといちだんと香りよく仕上がります

本場マルセイユでは「ブイヤベース憲章」なるものがあって、現地でとれる指定された魚介を4種類以上使うのがお決まりのようですが、今回のように私は白身の魚を2種と貝、甲殻類を組み合わせています
あらが少ないといいだしが出ないので、たりないときには冷凍しておいたあらを使っていますが、スーパーでは鯛のあらだけでも売っていますね。もっと簡単に作るなら、具は切り身はもちろん、「寄せ鍋セット」や「パエリアセット」といった数種の魚介の盛り合わせなども活用してもいいでしょう。ぜひ気軽な気持ちで、冬の鍋料理に加えていただければと思います。

次のページでは詳しい作り方を紹介します。

料理・文/池田宏実 撮影・スタイリング/池田講平 編集/小林

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