
Vol.1 ハナコさんちの揚げものホムパに角田光代さんがやってきた!

ツレヅレハナコさん(以下 ハ):新しい揚げ鍋がうまく使いこなせなくて揚げものから遠ざかっているというお話がありましたが(12/16発売予定『オレンジページ』2023年1/2号 P.90 参照)、以前はどんな鍋を使っていたんですか?
角田光代さん(以下 角):南部鉄器の揚げ鍋でした。私は、26歳から料理を始めたんですが、そのころに買ったものだったかな……。ずっとその鍋で揚げものをしていました。いろいろ作りましたね。コロッケやポテトフライ、天ぷら、トンカツ……。
ハ:その鍋は今どこに……?

角:その南部鉄器の揚げ鍋は、処分しました。新しい揚げ鍋を買ったし、もう充分使ったからいいだろうと思って。取っておけばよかったと後悔しています。
ハ:いまの揚げ鍋はどこが使いにくいんですか?
角:付属の網がうまく使いこなせなくて。網目が大きいので大好きなフライドポテトのポテトが抜け落ちてしまうんです。その網、鍋の縁に引っ掛けられるようになっていて、それがいいなと思ったんですが、どうも使いにくくて。

ハ:実際に使ってみないとわからないことってありますよね。でも、そんなに揚げものがお好きなのに、やらなくなってしまうなんてもったいない。ぜひ、この鍋を使ってみてほしいです~。
角:はい! 実際にハナコさんが使っている様子がすごく参考になりました。苦手な天ぷらのコツも教えていただいたから、さっそく揚げたい気持ちになっています。
ハ:コツというか(笑)。天ぷらをおいしく揚げるコツは、市販の天ぷら粉を使うこと。日本のメーカーさんが研究を重ねて生み出したものなので、あれを使うのがいちばんです。カリッと揚がること間違いなしですから。


角:天ぷらって、それだけでもおいしいですけど、夏だったらおそうめんにも合うし、冬はうどんにもいいし。結局、揚げてしまえばなんでもおいしいんじゃないかと思っています。
ハ:本当に! そうだ、天ぷらといえば、わが家の揚げものといえば天ぷらでした。子どものころの味を思い出します。
角:そうなんですね、ぜひ聞かせてください。
(つづく)
ツレヅレハナコさん
旅と酒をこよなく愛する文筆家・料理研究家。雑誌や書籍、WEB、料理講座などで活躍中。週に2~3日は家で揚げものを作るほどの揚げものLOVERで、初心者でも失敗しない揚げ方に定評がある。著書に『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)、『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)など。
角田光代さん
1990(平成2)年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005 年『対岸の彼女』で直木賞、2007 年『八日目の蟬』で中央公論文芸賞、2014 年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞ほか、多くの賞を受賞。源氏物語の現代語訳という大仕事を経て、5年ぶりに長編『タラント』(中央公論新社)を出版。



撮影/伊藤徹也 文/晴山香織