丸く焼くだけの具だくさん卵焼きを、日本の卵焼きの新定番にしたい!(野望)
フライパンいっぱいに焼いた料理をひっくり返したいとき、皿に取り出したいときに便利な「うまくいくふた」。この企画を提案してくれた料理家・植松良枝さんにとって、このふたが、なぜマストアイテムなのかというと、日々のおかずに丸く焼くだけの具だくさん卵焼き(スペイン風オムレツ)を作り続けているから。
「だし巻き卵は、大好きですけど、副菜でしかない。でも、卵焼きに季節の野菜を加えて焼いたら、それだけで旬を味わえる立派な主菜になるんです。おかずに困ったら、具だくさん卵焼きを作ればいい。おべんとうにもぴったりですし、巻かなくていいのは、手軽でしょう? 具だくさん卵焼きといえば、スペインのトルディ―ジャが有名ですけど、インドにもあります。マサラオムレツはインドのソウルフードといってもいいくらい家庭や屋台で食べられているもの。日本もこのスタイルの卵焼きが、もっと流行ったらいいのになと思ってるんです」。
「具だくさん卵焼きを、そんな風に考えたことなかった……。植松さん、それ、目指しましょうっ」ということで、味わいもさまざまに4つの具だくさん卵焼きレシピを教えてもらいました。もちろん、どのレシピもこの「うまくいくふた」が大活躍します。
まずは、これからの季節にぜひ作ってもらいたい「ゴーヤーの和風卵焼き」。しっかりめに甘みをつけるのがポイントです。甘辛味とゴーヤーのほろ苦さがなんとも好相性で、試食でも一番先にお皿が空になった一品。ご飯がすすむ味です。

次は、スパイスがふわっと香る「マサラオムレット」。卵液に刻んだ野菜とスパイスを加えて焼いただけで、こんなおしゃれなことになるんですか!? という植松マジック。カットして積み上げるという盛りつけもぜひ真似してみて。カレー粉でも作れますが、スパイスだと、より本格的な風味に。おもてなしにも喜ばれそうです。

続いては、「きぬさやのスペイン風オムレツ」。きぬさやは、下ゆですることなく生のまま焼きつけて、卵液をジャッと加えて、粗塩でいただくという、潔くもかっこいいレシピです。きぬさやが、こんな主役をはれるなんて! シャキシャキとした食感がアクセント。

最後にご紹介するのが、ポテチのトルティージャ。本場スペインでは、揚げたじゃがいもを使うのを、なんとポテトチップスで代用するというお手軽レシピ。これポテチだよっていわなければ、誰にもわかりませんよ! 玉ねぎとロースハムも入って、ケチャップが合いそうな、子どももよろこぶ味です。
「丸く焼くだけの具だくさん卵焼きを、日本の卵焼きの新定番にしたい」という植松さんの思い。今回はレシピを考案してもらいましたが、好きなものを入れて、卵でとじたら、なんでもおいしくなりそう! 栄養面でもバッチリだし、味がきまらなくても食べるときに好みの調味料で調整すればOK。大らかに作れる懐の深い料理なんだな、と深く共感しました。
さて、この「うまくいくふた」が便利なのは、この具だくさん卵焼きだけでは、ありません。フライパンいっぱいに焼いた餃子を取り出すときにもぴったり! 次回は、植松家の定番餃子のレシピをご紹介します。

植松良枝さん
季節に寄り添った食と暮らしの提案が人気の料理家。雑誌やWEB、TVへのレシピ提案、レストランのレシピ監修などで活躍中。世田谷ガーデン俱楽部内のカフェ「moderato on the green」や、併設のショップ「etepapa(エテパパ)」の運営も行う。
料理/植松良枝 撮影/鈴木泰介 スタイリング/阿部まゆこ 文/通販担当ヒラオ