50代後半から始める子供に迷惑をかけない終活術。渡辺満里奈とブルボンヌがお答え
「終活」は何から始めればいい?身辺整理をして子どもに迷惑がかからないようにしたい。

50代後半になり、子どもたちも独立。あと十数年働けるかどうかというタイミングでふと立ち止まると、「この先どう生きて、どう死ぬのか」なんて、今まであまり考えてこなかったことが頭をよぎります。介護が必要になったときのこと、遺言書やお墓のこと、保険や財産整理など、いわゆる「終活」的なことを始めたほうがいいのかなと考えています。できるかぎり子どもたちには迷惑をかけたくありません。とはいえ、どこからどう終活に取り組めばよいのかわからず。定年を目前にいろいろ考えてしまいます。
(57歳・男性)
渡辺満里奈さんの回答
「今できそうなこと」から、あせらずゆっくりと。家のものを減らすだけでも、立派な「終活」の第一歩です。

お子さんたちの将来をきちんと考えていらっしゃる、やさしいお父さんですよね。正直、私自身は「この先どう生きて、どう死ぬか」までは真剣に考えていませんが、年齢を重ねるごとに、終活的なことが気になってくるのは自然なことだと思います。
私の場合は今、生活のダウンサイジングをめざして、物を少しずつ減らしているところです。60歳までに、今よりぐっと暮らしをコンパクトにして、そこから老後の生活についてじっくり考えていこうかなと。物を減らすことって、すごく現実的で、とりかかりやすい「終活」の第一歩だと思うんです。
エッセイ※1にも書いたのですが、少し前に自宅の「手芸部屋」を片づけたんですね。まあ物が出てくる、出てくる(笑)。今は食器を整理していますが、これはちょっとやそっとじゃ片づかないぞって。でも、片づけを進めるたびに、「これからどう暮らしたいか」が少しずつ見えてくる気がします。
相談者さんも、家の中で「これ、残されても困るだろうな」というものの整理から始めてみてはどうでしょうか。特に写真や思い出の品って、捨てにくいですよね。でも、残された側からすると「どうしたらいいかわからないもの」でもあります。
一気にいろいろ考えようとすると、頭がパンクしてしまうので、まずは「今できそうなこと」から。遺言書やお墓のことは、もう少し先でもいい気がします。あせらなくても、大丈夫。まだ時間はたっぷりあります。
※1 『不機嫌ばかりな私たち』 渡辺満里奈/1870円/講談社
更年期によるホルモンの乱れ、老い、育児・家事、仕事など、大人の女性は「不機嫌」になることがいっぱい。更年期に訪れた不調や老いとの向き合い方など、素直な思いを真摯につづった渡辺満里奈さんのフォトエッセイ。肩の力を抜いて読める、共感とやさしさにあふれた一冊。
お悩み回答者 渡辺満里奈さん
タレント。1970 年、東京都生まれ。2 児の母。清潔感あふれる明るいキャラクターで、テレビ・ラジオなど多方面で活躍。台湾や手芸、ピラティスなどカルチャー通としても知られ、ライフスタイルをつづる書籍の評価も高い。近著『不機嫌ばかりな私たち』(講談社)が好評発売中。
ブルボンヌさんの回答
漠然とした不安を〈見える化〉すれば、どこから手をつけていいかわかるかもしれないわ。

近い未来、日本の人口ピラミッドは完全に逆三角形になるわけで、この先を考えれば考えるほど、怖くなるわよね。老後が不安、将来が見えない。でもその正体がはっきりしないから、何から手をつけていいのかわかんないんじゃないかしら。まずは不安を書き出して、心を整理することから始めてみましょうよ。
不安を見える化するには「マインドマップ」※2がおすすめよ。紙の真ん中に「終活」って書いて、そこから「お金」「住まい」「人間関係」「健康」……とか思いついた項目を枝のように広げていくの。さらに、「賃貸だけどずっと住める?」「病気になったらだれに頼る?」みたいに、具体的な言葉でどんどん枝を伸ばしていくと、漠然としていた不安が、具体的な課題に変わっていくはず。あの大谷翔平選手もマインドマップを活用してたって話よ。やってみたくなるでしょ(笑)。
「エンディングノート」※3を買ってみるのもいいわね。パラパラめくるだけでも、「これ全然考えてなかったな」って気づきが山ほど出てくるから。
不安って見ないふりしていると、恐怖だけがどんどんふくらんでいくの。実際は「不安に思っていることの8割は起きない」っていうしね。だったら残りの2割をどうするかってことに集中したほうがよっぽど建設的よね、なんてエラそうなこと言いながら、私自身も日本も、将来大丈夫かしら〜って不安に思ってるわ。みんなで励まし合いましょ!
※2 マインドマップ
イギリスの教育者トニー・ブザンによって提唱された思考法で、頭の中の考えや情報を視覚的に整理・表現するための図のこと。紙の中央にテーマを置き、そこから連想される言葉やイメージを放射状に広げていくことで、思考の流れや情報の関係性を可視化。自己分析、情報整理、企画立案など幅広い場面で活用されている。
※3 エンディングノート
自分の人生の終わりに備えて、大切な情報や希望を記しておくノートのこと。法的効力はないが、葬儀や介護、医療の希望、財産の情報、家族や親しい人へのメッセージなどを自由に書くことができる。自分の思いを見える形で書き出すことで、心の整理にもつながる。
お悩み回答者 ブルボンヌさん
女装パフォーマー。1971年、岐阜県生まれ。ジェンダーや福祉問題を扱うテレビ番組への出演やラジオパーソナリティ、LGBTQやセクシャリティに関する講演活動など多方面で活躍。新宿2丁目と渋谷パルコのミックスバー「Campy! bar」をプロデュース。Podcast番組「ジョソラジ」を配信中。
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取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子







