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清水みさとの本日もトトノイマシタ!

「365日、ほぼ毎日サウナに行く!」というほどサウナ好きな、タレントで女優の清水みさとさん。サウナ用語の「ととのう」にかけて、清水さんならではの日々の暮らしの「ととのい」エピソードをお届けします!

70歳で世界を旅するおばちゃんが、サウナで教えてくれた時間の取り戻し方/清水みさと

清水みさとの本日もトトノイマシタ!

年を重ねることは「減っていく」ことじゃない。

わたしのホームサウナに、旅しまくっているおばちゃんがいる。御年70歳。いつもどこかに飛び回っていて、このあいだは、サクッとマチュピチュに行っていた。

わたしもなかなか軽めのフットワークで、そこそこ動き回っているほうだけど、おばちゃんには敵わない。

わたしの年齢を2倍にしても届かない70という数字に似つかわしくないその体力と好奇心には、毎回驚いてしまう。

サウナで会うたびに、わたしたちは旅の話をする。
「どうだった?」「今度はどこにいくの?」

アイルランド
アイルランド(2025年5月)

年の差を一切感じられないトークで盛り上がり、サウナで過ごす6分が、どの6分よりもうんと短い。

昨年、16カ国旅したわたしは、今年も旅モードが抜けず、8月にして14カ国。
決まって、「どうしてそんなにいろんな国に行くの?」と質問されるわたしは、毎回「行きたいから!」と答えてきた。


「好奇心」それ以外の答えがいまだに見つからなくて、ある日ふと、おばちゃんだったらなんて言うんだろうと、たずねてみた。

インド(2025年2月)

「時間を取り戻してるのよ」
ためらいも迷いもなく、すっと飛び出したその答えは、軽い気持ちで聞いたわたしの質問とは不釣り合いな回答だった。おばちゃんの人生のひだに少し触れてしまったようで、ドキッとした。

おばちゃんは若い頃、人気ドラマのプロデューサーをはじめ、映画の宣伝で四六時中、無我夢中で走り回っていた。だから、旅なんてもってのほかだったらしい。仕事をして、夜中まで仲間と飲み、数時間の睡眠でやりくりしていた日々がからだに染みついて、いまだに長く眠れないという。

ウズベキスタン(2025年4月)

「つらくなかったの?」と聞くと、「こんな大変なこと、好きじゃなきゃできないでしょ」と即答した。一刀両断の切れ味と説得力だった。

おばちゃんが昔の仕事のはなしを語る姿は、自慢じゃなくて、どこか自分自身に対して誇らしげで、かっこよかった。(素っ裸だけど)

いっぱい働いたなぁじゃなくて、いっぱい遊んだなぁって言って死にたいからね」とカラカラ笑うおばちゃんに、縁起でもないと思いながら、わたしも笑わずにはいられなかった。

わたしは、70歳になったとき、どんな顔でサウナに座っているんだろう。好きなものを話し、好きなことを選び、胸を張って「遊んだなぁ」と笑える70歳になれているだろうか。

メキシコ(2025年1月)

そうなりたいと思えば思うほど、ますます「好き」にブレーキがきかなくなる。

でも、未来のわたしが「よく遊んだね」とわたしに笑ってくれるなら、それでいいのかな?なんて思いながら、長く入りすぎたサウナで大量に汗をかき、いつもより2倍の長さ、水風呂に浸かった。

時間を取り戻してる、なんて言うけれど、その姿は全然「失った人」じゃない。今を楽しさで埋め尽くすおばちゃんは、むしろ誰よりも今を生き抜いている人だった。

モンゴル(2025年7月)

きっと年を重ねるのは、減っていくことじゃなくて、好きなものを増やしていくこと。

これ以上好きなものが増えたらわたしはどうなっちゃうんだろう?とぜいたくな悩みを抱えて、ニンマリしているわたしは、やっぱり本日もととのったし、この連載は最終回を迎えるけれど、わたしのととのいはまだまだ続く。

みなさん、ありがとうございました。

ととのったー!

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清水みさと

PROFILE
清水みさと(しみず・みさと)

1992年、奈良県生まれ。タレント、女優。サウナ好きとして知られ、サウナ・スパプロフェッショナル、サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ。日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」のモデル、フィンランドサウナアンバサダー、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(JFN21局/Spotify)のパーソナリティとしても活躍中。
Instagram @misatoshimizu35

初の著書『ご自愛サウナライフ』(KADOKAWA)が好評発売中!

清水みさとの本日もトトノイマシタ!

文・写真/清水みさと  バナー・プロフィール画像/大辻隆広

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