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大倉孝二さん「役に入るときは、ルールを決めない。演技の幅を狭めたくないんです」

俳優 大倉孝二さん
おおくら こうじ/1974年、東京都生まれ。劇団「ナイロン100℃」に所属し、役者デビュー。2002年に映画「ピンポン」で注目を浴び、以降「ゲゲゲの女房」「みをつくし料理帖」「青天を衝け」など、舞台にとどまらず、数多くのドラマ作品でも活躍。今年は、ドラマ「魔物」、映画「でっちあげ」に出演。Netflix「今際の国のアリスSeason3」が9月25日から配信。
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稽古初日には、だれにも全貌がわからない芝居。
そのおもしろさを、ぜひ劇場で体感してほしいですね
数多くの作品に出演し、独自の存在感で私たちを魅了する大倉孝二さん。上演中の主演舞台「最後のドン・キホーテ」は、俳優人生のスタートとなった劇団「ナイロン100℃」を主宰するケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さんが作・演出を手がける話題作です。
「KERAさんの作風として、もともとナンセンスというのがありました。ちょっとぶっ飛んだ人がむちゃくちゃやる、みたいな。今作は、代表作のひとつ『カラフルメリィでオハヨ』と共通点があると聞いたので、妄想と現実が交互に現れる物語になるのかな? と。最終的にどうなるか、まだわからないんですけど」

稽古初日になっても最終シーンまで通した完全脚本がなく、上演までに作り上げていくのがKERAさんのスタイルなのだそう。
「脚本がなくてどうやってお芝居するの? ってみなさんによく驚かれるのですが、30年もそれでやっているともう慣れているというか(笑)。擁護するわけではないですが、完璧に書き上がった脚本が最初にあるからといって、いい芝居になるとはかぎらない。おもしろくなるか、ならないか、はそこじゃないと思うんですよね。KERAさんに俳優として引き出された部分がたくさんあるし、いつも演者に新しい何かを課してくれるんです」
役に入るとき「ルールを決めないこと」が大倉さんのルール。「集中しようと意識したり、やり方を固定化すると、演技が狭まる気がして」と語ります。
「僕はゼロから作る人間じゃないので、作家や演出家が〈今〉を切り取った創作を理解できたら楽しいし、役に専念すればお客さんに作品のおもしろさが伝わると信じています。劇場に足を運び、配信とはまた違うよさを客席で感じていただけたら、うれしいですね」

今作の役柄は〈成熟しない男〉ですが、ご自身は若いころと違い「のんきなだけじゃ生きられない現実」を折に触れて考える大人に。
「ドキュメンタリー番組を見るのも好きで。だれしも老い、いつかは死ぬわけですが、それでも頑張って生きていかなきゃいけない。生きるって大変だなあ、といつも思いますね」
大倉孝二さんイチオシ!
カレーリーフ

再生に元気をもらい、料理にも使っています
大倉さんが何年も育てているのが、こちらのカレーリーフ。「枯れたかな? と思っても、暑くなるとモサモサと茂ってきて復活する。なんか勇気をもらえるんですよね」。インド料理やスリランカ料理の風味づけにもよく使うそう。「前はカレー作りにも凝っていたんですが、最近はやめました。真剣に高みをめざしすぎて、ちょっと苦行みたいになっちゃって(笑)」。
これに注目!
「最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote」

作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演/大倉孝二、咲妃みゆ、山西 惇、音尾琢真、矢崎 広、須賀健太、高橋惠子ほか
9月14日~ 10月4日 神奈川公演(KAAT神奈川芸術劇場)、10月12・13日 富山公演(オーバード・ホール)、10月25・26日 福岡公演(J:COM北九州芸術劇場)、11月1日~3日 大阪公演(SkyシアターMBS)
大倉孝二さんからの直筆メッセージ

●2025年9月現在の情報です。
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撮影/馬場わかな 取材・文/待本里菜 ヘア&メイク/山本絵里子 スタイリング/JOE(JOE TOKYO)