こんにちは! 谷中松寿司三代目・料理家の野本やすゆきです。この連載では、寿司屋ならではのテクニックを交えながら、家庭で作りやすいレシピをご紹介しています。今回は意外と知らない「いかのさばき方」を丁寧にレクチャー。夏いかとも呼ばれる「するめいか」をさばき、わたやげそまで無駄なく使う、おかずとおつまみを2品作ります。さばき方は一度覚えておくと便利なので、ぜひ保存版に!ではさっそく作っていきまーす‼ 【其の一】いかは短時間炒めで! いかは炒めすぎると堅くなってしまうので要注意!5分を目安に火を通すことで、おいしく柔らかく仕上がります。中途半端に加熱すると余計に堅くなるので、煮ものなどは20分以上煮るのがおすすめ。 【其の二】新鮮な〈いか〉の選び方はこれ! するめいかは、表面につやがあり、はっきりとした色のものを選ぶと◎! 目の色が黒いのも新鮮な証拠です。 いかのさばき方 今回は1ぱい、200gのするめいかをさばきます。 胴から、わたと頭をはずす (1)えんぺら(上部の三角の部分)のついた側を上にし、胴の中に指を入れる。胴と頭(足のつけ根部分)のつながったところをはずす。(2)頭を持って、足とわたを引き出す。このとき、わたやすみ袋が破れないように、ゆっくりと行う。(3)胴の内部の中央にある軟骨を引き抜く。水で胴の内側までしっかりと洗い、中に残ったものを取り除いて、水けを拭く。 半透明の軟骨を引き抜く わたを外し、足(げそ)を処理する (4)2本ある長い足は、残りの足と長さをそろえて先端を切り落とす。この切り落とした部分は口当たりが悪いので料理には使わない。(5)わたの中央にあるすみ袋をそっとはがし、頭の上で薄皮を破かないように足とわたを切り離す。 すみ袋は黒く細長いのが目印 頭の上で薄皮を破かないように注意する 左から、すみ袋、わた、足。これも後で料理に使います! (6)足は、目と目の間と、くちばしに切り込みを入れて切り開く。水で洗いながら、目とくちばしを手でつまんで取り除き、足の吸盤を手でしごいてこそげ落とし、水けを拭く。 目と目の間に包丁を入れて切り開く 目 くちばし これで下ごしらえは終わり! 今回は皮をむかずにそのまま使います。 『いかのしょうが焼き』のレシピ 材料 いかの胴……1ぱい分玉ねぎ……1/2個 Aしょうゆ……大さじ2みりん……大さじ2酒……大さじ2砂糖……小さじ2しょうがのすりおろし……小さじ2ごま油……小さじ2三つ葉……1株 作り方 (1)いかは幅1cmに、玉ねぎは8等分のくし形に切る。Aを混ぜ合わせる。(2)フライパンにごま油を中火で熱し、玉ねぎを炒める。玉ねぎがしんなりしてきたらいかを加えて炒め合わせる。いかに焼き色がついてきたらAを加えて炒め合わせる。器に盛り、食べやすい長さにカットした三つ葉を添えれば……完成です。プリプリのいかに、甘辛いたれがからんで最高!しょうがの風味に食欲をかき立てられます~。お次は足とわたを使ったおつまみを! 『いかげそのスタミナわた炒め』のレシピ 材料 いかの足……1ぱい分いかのわた……1ぱい分にんにくの茎……1/2本 バター……10g酒……小さじ2しょうゆ……小さじ1塩……少々こしょう……少々 作り方 (1)にんにくの茎は長さ4cmに、足は4等分に、わたは3〜4等分に切る。(2)小さめのフライパンにバターを中火で溶かしてにんにくの茎を入れ、1〜2分炒める。足を加えて炒め、焼き色がついたら、わた、しょうゆ、酒を加えてさらに全体に味がなじむまで炒め合わせる。塩、こしょうで味をととのえたら完成!わたのこくがきいた味わいがポイント。げそとにんにくの茎の食感も楽しんでくださいね。いか1ぱいを無駄なく使った2品!夏の柔らかい〈いか〉に、野菜を合わせて食べごたえをUPさせてみました。魚介のレシピってめんどうそうだなと思っているあなたも、肉を扱う感覚でしょうが焼きや炒めものにしてみると、もっと身近に感じられると思います。白いご飯やビールのおつまみにもうってつけで、子どもから大人まで大満足。ぜひ作ってみてください! 谷中松寿司の旬ネタ さてさて最後に松寿司の旬ネタをご紹介!今回は「いしがき貝」です。石垣島の貝ですか? などときかれますが三陸の貝です。正式名称は「エゾイシカゲカイ」。二枚貝が少ない夏に旬を迎える貝です。ほっき貝と鳥貝を合わせたような食感で、甘みのあるフレッシュな味わい! 松寿司ではむきたてをさっと湯がいておすしにします。最後までお読みいただきありがとうございました!次回の更新は8/25(金)。「いわしの春巻き」のレシピを紹介します。野本やすゆき料理家、谷中で80年続く「谷中松寿司」三代目店主。大学卒業後、調理師学校に通い、調理師免許を取得。家業の寿司店で修業するかたわら、フードコーディネータースクールに入校。卒業後、同校講師を経て独立。料理家、寿司屋の二刀流で料理雑誌へのレシピ提供、テレビ番組や広告のフードコーディネートなど、食にかかわるジャンルで幅広く活躍中。YouTube:野本やすゆきチャンネルInstagram:nomotobase谷中松寿司:yanakamatsusushi