入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者3人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。
四月に入り、初夏を思わせるような日が多くなりました。暑くなってくると食べたくなるのが、エスニック料理。そこで、久しぶりにタイ風のスパゲティを作ろうと、週末に実家へ帰省しました。
タイ料理は父の大好物。きっかけは、父が現役サラリーマンだった三十年ほど前の、海外出張だったそう。タイを訪れたとき、初めて食べた本場の味に「これはうまい」と「はまって」しまい、以来、タイに行くときは、空港でトムヤムクンやグリーンカレーを食べることが、なによりの楽しみだったそう(「おいしいものが待っている」と仕事を頑張るのは、食いしん坊の親子共通のようです)。
父の話を聞き、「どんな味なんだろう、食べてみたいなぁ」と思いながら迎えた、オレンジページ入社後の最初の年。料理家の先生が、撮影後の「まかない」に、当時まだ珍しかったタイ料理を作ってくださり、想像を超えるおいしさにびっくり。甘さ、辛さ、酸っぱさが共存し、さらにココナッツミルクのこくや、魚介のうまみ、パクチーの香りなどがあいまった、なんとも複雑な味わいに、私も即座に「大はまり」。「先生、これは何を使って、どうやって作るんですかっっ」と夢中で尋ねたところ、先生がささっとメモ書きでレシピを教えてくださり、大感激。
当時は手に入りにくい材料も多かったのですが、先生ならではの工夫をこらしたレシピを再現して父に披露したところ、「ああ、なつかしいなぁ」と大喜び。今では食材などが身近になり、私の腕もちょっと上がり、作るたびに、父はうれしそうに食べてくれます。
今回作ったのは、えび、いかなどの魚介や、玉ねぎ、パクチーなどの野菜に春雨を合わせ、「甘酸っぱ辛い」たれをからめた「ヤムウンセン」風。デリやコンビニでは「サラダ」として売られていますが、本場タイでは「温菜」として、作りたてを温かいまま食べるのが正解。それならば、春雨をスパゲティに替えてみようと思いつき、我ながら◎の出来栄えに。
味のポイントは「辛み(赤唐辛子)・酸味(レモン)・甘み(私はみりんを使用)・うまみ(ナンプラー、干しえびなど)」をしっかりときかせること。また野菜はシャキッとした食感を味わうために、最後に加えることも大切。一度にたくさんできるので、このスパゲティを作るときはいつも実家へ。家族で食べながら、「熱血サラリーマン時代」の父の思い出話に花を咲かせています。
ヤムウンセンに欠かせない材料がこちら。特にパクチーがあるだけで、ぐっと本格味に仕上がります。父は大のパクチー好きですが、逆に母は大の苦手。友人たちも同様で、パクチーほど、好き嫌いがはっきりと分かれる野菜は珍しいですよね(一説には、「遺伝子レベル」で決まっているのだとか)。
今回使用したレモンは、父が実家の庭で丹精を込めて育てた「国産レモン」。日々、生ごみを堆肥に替えて与え、鳥や虫を追い払い、成長を見守っているレモンは、今年は大豊作。果汁たっぷりで、料理のほか、呑み助の私はレモンサワーにして味わっています。
オレぺのレシピを世に送り出しつづけているベテラン料理編集者4人が、これまで出会ったレシピの中から好きなもの、忘れられないものを自ら作って、撮って、語ります。
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