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オレンジページのベテラン編集者たち

入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者3人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。

ヤムウンセン風スパゲティ

vol.27

入社29年目〈人が喜ぶため〉に料理をしている宮川の場合
『父が大好きなタイ料理をアレンジ ヤムウンセン風スパゲティ』

 

四月に入り、初夏を思わせるような日が多くなりました。暑くなってくると食べたくなるのが、エスニック料理。そこで、久しぶりにタイ風のスパゲティを作ろうと、週末に実家へ帰省しました。

タイ料理は父の大好物。きっかけは、父が現役サラリーマンだった三十年ほど前の、海外出張だったそう。タイを訪れたとき、初めて食べた本場の味に「これはうまい」と「はまって」しまい、以来、タイに行くときは、空港でトムヤムクンやグリーンカレーを食べることが、なによりの楽しみだったそう(「おいしいものが待っている」と仕事を頑張るのは、食いしん坊の親子共通のようです)。

父の話を聞き、「どんな味なんだろう、食べてみたいなぁ」と思いながら迎えた、オレンジページ入社後の最初の年。料理家の先生が、撮影後の「まかない」に、当時まだ珍しかったタイ料理を作ってくださり、想像を超えるおいしさにびっくり。甘さ、辛さ、酸っぱさが共存し、さらにココナッツミルクのこくや、魚介のうまみ、パクチーの香りなどがあいまった、なんとも複雑な味わいに、私も即座に「大はまり」。「先生、これは何を使って、どうやって作るんですかっっ」と夢中で尋ねたところ、先生がささっとメモ書きでレシピを教えてくださり、大感激。

当時は手に入りにくい材料も多かったのですが、先生ならではの工夫をこらしたレシピを再現して父に披露したところ、「ああ、なつかしいなぁ」と大喜び。今では食材などが身近になり、私の腕もちょっと上がり、作るたびに、父はうれしそうに食べてくれます。

今回作ったのは、えび、いかなどの魚介や、玉ねぎ、パクチーなどの野菜に春雨を合わせ、「甘酸っぱ辛い」たれをからめた「ヤムウンセン」風。デリやコンビニでは「サラダ」として売られていますが、本場タイでは「温菜」として、作りたてを温かいまま食べるのが正解。それならば、春雨をスパゲティに替えてみようと思いつき、我ながら◎の出来栄えに。

味のポイントは「辛み(赤唐辛子)・酸味(レモン)・甘み(私はみりんを使用)・うまみ(ナンプラー、干しえびなど)」をしっかりときかせること。また野菜はシャキッとした食感を味わうために、最後に加えることも大切。一度にたくさんできるので、このスパゲティを作るときはいつも実家へ。家族で食べながら、「熱血サラリーマン時代」の父の思い出話に花を咲かせています。

 
  • ヤムウンセン風スパゲティの材料 パクチー、干しえび、レモン、ナンプラー。

    ヤムウンセンに欠かせない材料がこちら。特にパクチーがあるだけで、ぐっと本格味に仕上がります。父は大のパクチー好きですが、逆に母は大の苦手。友人たちも同様で、パクチーほど、好き嫌いがはっきりと分かれる野菜は珍しいですよね(一説には、「遺伝子レベル」で決まっているのだとか)。

  • 実家の庭で実ったレモン

    今回使用したレモンは、父が実家の庭で丹精を込めて育てた「国産レモン」。日々、生ごみを堆肥に替えて与え、鳥や虫を追い払い、成長を見守っているレモンは、今年は大豊作。果汁たっぷりで、料理のほか、呑み助の私はレモンサワーにして味わっています。

オレぺの中の人のうちごはんレシピ

『ヤムウンセン風スパゲティ』

ヤムウンセン風スパゲティ

材料(2~3人分)

  • スパゲティ(今回はリングイネを使用) 170g
  • 冷凍シーフードミックス 150g
  • 干しえび 10g
  • きくらげ(乾燥) 3個
  • 豚ひき肉 100g
  • 紫玉ねぎ 1/4個分
  • 赤唐辛子の小口切り 1本分
  • にんにく、しょうがのみじん切り 各小さじ1
  • パクチー 2株
  • ミニトマト 6個
  • A
  • ・ナンプラー 大さじ2~2と1/2
  • ・みりん 大さじ1/2
  • ・砂糖 ひとつまみ
  • ・こしょう 少々
  • レモン汁 1個分
  • 塩 ごま油

作り方

  1. シーフードミックスは塩少々を加えた水に浸して解凍し、水けをきる。干しえびはぬるま湯大さじ3に、きくらげはぬるま湯適宜に浸し、柔らかく戻す。水けをきり、干しえびはみじん切りに(戻し汁はとっておく)、きくらげは細切りにする。紫玉ねぎは縦に薄切りにし、水に2分ほどさらして水けをきる。パクチーは葉と茎に分け、それぞれざく切りにする。ミニトマトはへたを取り、横半分に切る。Aの材料に干しえびの戻し汁を加え、混ぜ合わせる。
  2. フライパンにごま油大さじ1/2、にんにく、しょうがを入れて中火にかけ、香りが立ったらひき肉、干しえび、赤唐辛子を加えて、ほぐしながら炒める。肉の色が変わったらAを回し入れて、汁けがほとんどなくなるまで炒め、火を止める。
  3. スパゲティは袋の表示時間通りにゆではじめ、ゆで上がる2分前に、きくらげ、シーフードミックスを加えてゆでる。合わせてざるに上げてゆで汁をきり、2のフライパンに加える。再び中火にかけて全体を炒めてから火を止め、レモン汁を回し入れて、パクチーの茎、紫玉ねぎを加え、ざっと混ぜる。器に盛り、パクチーの葉をのせ、ミニトマトを添える。
宮川京子
Editor No.03 宮川京子(通称・ミヤカワさん)
神奈川県横浜市出身。大学卒業後、1992年に「ただただ料理が好き」という志望動機でオレンジページに入社。出版社の業務形態などをまったく知らず「オレンジページに入れば、自分で料理を作って写真を撮ってレシピが書ける」と思い込み、後にそうではない事実を知る。戸惑いのスタートから早29年。料理本担当一筋の日々で、常に頭のなかは食べることと作ることで埋め尽くされている。

宮川のうちごはんレシピ、
こちらにもあります。

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