オレペAI検索
調理室池田 店のテーブル 家のテーブル

【レシピ特別公開】調理室池田の本格「ボロネーゼ」の作り方【神奈川・北部市場】

調理室池田 店のテーブル 家のテーブル

調理室池田でも肉料理として登場するボロネーゼ。「ラグーアッラボロネーゼ」というのが正式な名前で、ラグーは煮込み料理を意味するもの。つまりボローニャ風煮込み料理といったところでしょうか。

日本ではミートソースなんて呼び方もするくらいですから「肉のソース」であって決してトマトソースではありません。「肉の煮込み料理をパスタにからめる」というイメージでこの料理を作ります。

肉の選び方・焼き方

レシピでは合いびき肉としましたが本来は牛肉を使うようです。どちらでもかまいませんが、肉らしさを味わうためにも粗びきを加えたほうがよいでしょう。
店では手もとに残っている牛肉や豚肉をプロセッサーにかけるか、包丁で粗く刻んだりして加えています。好みで肉の総量の一部を鶏のレバーに替えるとより風味が豊かに。レバーがお好きなかたはぜひ加えてみてください。赤ワインとも好相性でおすすめです。

そしてこれらに下味をつけたら、炒めるのではなく香ばしく焼きつけるのもポイント。
ひき肉に下味をつけて焼くなんて意外かもしれませんが、おいしい肉を焼くように、この料理ではひき肉を焼きます。
しっかりと焼き目がつくように両面を焼き、赤ワインを加えてフライパンにこびりついたうまみをすべて残さずソースにするのです(ね、おいしそうでしょう)。

これらに加え、ソフリットといっしょに炒めるベーコンも重要で、独特の塩けと脂がいいだしに。生ハム、パンチェッタなどでもいいだしが出ます。何種類もの肉のうまみを重ねて最高の肉のソースを作ります。

トマト味はかくし味

缶詰のトマトでもいいのですが、最近気に入っているのがトマトピューレ。
少量でぎゅっとしたトマトの甘みや酸味が加わり、肉を引き立てます。ピューレでもトマト缶でもどちらでもかまいませんが、トマトソースではないので入れすぎないようにしましょう。

野菜の甘みをたしてくれるソフリット

香味野菜を多めのオリーブオイルで炒めたものをさします。オリーブオイルをたっぷり使うのは、オリーブオイル自体にうまみがあるから。煮込み料理に甘みを加える、料理の大事なベースとなります。野菜がしんなりしてきたら少し味見をして、甘みが出るまでしっかり炒めてください。

詳しいレシピは次のページへ!
–{ボロネーゼの作り方}–

ボロネーゼのレシピ

材料(5~6人分)

合いびき肉(牛や豚など好みのもの)※……800g
※牛、豚、鶏のレバーなどを好みで合わせて。細びきと粗びき半々で用意するといい。
塩……肉の重量の1%(約8g)
赤ワイン……1と1/2カップ
オリーブオイル……大さじ5

〈ソフリット〉
玉ねぎ……1/2個
にんじん(小)……1本
セロリの茎……1本分
にんにく……2かけ
ベーコン……2枚
オリーブオイル……大さじ4
塩……小さじ1/2

〈ブーケガルニ〉
セロリの葉……1本分
ねぎの青い部分……1本分

トマトピューレ……大さじ3
ローリエ……2~3枚

作り方
(1)セロリの葉とねぎの青い部分はたこ糸で縛り、ブーケガルニを作る。バットにひき肉を広げ入れ、塩、オリーブオイル大さじ3を回しかけ、全体をざっと混ぜ合わせる。

(2)フライパンにオリーブオイル大さじ2を中火で熱し、肉を広げ入れる。さわらずに焼きつけ、こんがりと焼き色がついたら上下を返す。しっかり焼き色がついたら赤ワインを加えてひと煮立ちさせ、火を止める。

(3)ソフリットを作る。玉ねぎ、にんじん、セロリ、にんにくは粗いみじん切りにする。ベーコンは幅5mmに切る。

(4)口径26㎝の鍋に(3)の野菜とベーコン、オリーブオイル、塩を入れる。中火にかけ、玉ねぎがしんなりとして甘みが出るまでしっかりと炒める。途中焦げそうなら、水を30mlほどたしてふたをし、蒸し煮にしてもよい。

(5)(2)を(4)の鍋に汁ごと入れ、トマトピューレ、ローリエ、(1)のブーケガルニを加える。ふたをして中火にかけ、煮立ったら弱火にする。ときどき混ぜながら、ひき肉の脂が上がるくらいまで1時間ほど煮込む。途中、水分がたりなくなったら、水または赤ワインをひたひたに加える。

食べるときは

食べる分だけフライパンに入れて温め、ゆでたパスタを加えてあえる。器に盛り、こしょう少々をふり、タイムの葉適宜を散らす。写真のパスタはパッケリ。1人分60gが目安。

ひき肉に粗びきを混ぜること、肉は炒めずに焼くこと。この2つを守っておいしいボロネーゼを作ってくださいね。
次回は11/15(金)公開です。

撮影よもやま話

食卓を華やかにするのにワインは欠かせません。ワイン選びはもちろん「今日はどんなグラスを使おうか」などと考えをめぐらすのも食事の楽しみのひとつとなります。店のふだんの営業にはフランス製の小ぶりな業務用のものを使っていますが、自宅では気分によっていろいろなものを使います。ボトルと並ぶと格好いいので脚つきのものの出番は多いですが、イランのガラスコップのときもあれば、そばちょこを使うときもあります。自由に、楽しく、です。写真は調理室の定番でもあるアブサングラス、1900年代初頭のものです。かさ上げされた極厚底がトロンプイユ(だまし絵)になっていて、ワインを注ぐととてもきれいです。この肉感たっぷりのボロネーゼに赤ワイン、最高ですね(あぁ、飲みたくなってきたー)。(文/池田講平)

調理室池田

調理室池田
2018年12月に川崎市にある中央卸売市場北部市場内に開店。アンティークショップ・アートギャラリーを兼ねた、市場には珍しいスタイルのカフェ。早朝から働く人がコーヒーを片手に手軽に食べられるようにと作った焼き菓子や、ツナメルト、フリットといった市場で仕入れる新鮮な魚介類を使ったランチが人気。
公式HP 公式インスタグラム 

神奈川県川崎市宮前区水沢1-1-1 川崎市中央卸売市場北部市場 関連棟 45 
営業日/月・火・木・金・土曜
営業時間/7:00~13:30
(ラストオーダーは13:00、土曜日のみ14:00)
ランチタイムは 11:45~ 休みは市場に準ずる(原則、水・日曜と祝日) 
※一般のかたの市場への入場は8時から。来店の際は必ず上記HPかインスタグラムを確認してください。

調理室池田 過去の連載はこちら

料理・文/池田宏実 撮影・スタイリング/池田講平 編集/小林