
Vol.5 ハナコさんちの揚げものホムパに角田光代さんがやってきた!

揚げものの思い出や、コツなどの話を聞いているうちに、実際に揚げている様子を見たくなった角田さん。いざ、キッチンへ……。
ツレヅレハナコさん(以下 ハ):今回は、揚げもののコースということで、ゼッポリーニ、揚げワンタンときまして、最後はメンチカツを揚げますね。ではキッチンへどうぞー!
角田光代さん(以下 角):わー、ありがとうございます。作っているところを見ると、自分もまた揚げてみたくなります。使いにくい私の揚げ鍋を思い出すと悲しくなりますが(笑)。
ハ:ぜひ、この鍋を使ってみてほしいです(笑)。では、揚げていきますねー。

角:油に入れた時の、この音! 最高ですよね。揚げものって本当に幸せな気持ちになります。メンチカツ、うれしいなぁ。
ハ:これは、シナモンを入れたメンチカツです。おいしいですよー。さ、揚がったかな……。

角:揚げ上がったのは、そこに置くんですね。これ、ふたを裏返しているんですか、すごい。便利ですね。
ハ:気づいてくださってありがとうございます。ペーパータオルでも油はきれるんですけどね、揚げ網にのせたほうが、蒸気がこもらずカリッと感が違うと思うんです! だから、どうしても揚げ網もセットにしたかったんです。さあぜひ、揚げたてを召し上がってください。あとでソースもお持ちしますね。まだまだ揚げますから。

角:はい、いただきます! でも、もうちょっと見ていたい……ハナコさん、ていねいに揚げかすを取り除いていますよね。どうしてですか? やっぱりやったほうがいいですか?
ハ:揚げかすは、どんどん焦げてしまうので。黒いぽつぽつになって、ころもにくっついてしまうと、きれいな仕上がりにならないし、そこだけ苦くなってしまうし。だから、揚げている最中から、こまめに取り除くのがおすすめです。
角:なるほど。そういう細かなコツがわかると、さらにやってみたくなります。
ハ:ぜひぜひ! さあ、全部揚がりましたので、テーブルに戻りましょう。
角:おおー、油をきっている状態のままテーブルに持っていくんですね。
ハ:はい。そのままテーブルに出せるようなデザインにこだわりました。油をきってからお皿に盛りかえなくてOK! 揚げたてを食べることこそ、おうち揚げものの醍醐味! さあ、どうぞー。

(つづく)
ツレヅレハナコさん
旅と酒をこよなく愛する文筆家・料理研究家。雑誌や書籍、WEB、料理講座などで活躍中。週に2~3日は家で揚げものを作るほどの揚げものLOVERで、初心者でも失敗しない揚げ方に定評がある。著書に『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)、『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)など。
角田光代さん
1990(平成2)年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005 年『対岸の彼女』で直木賞、2007 年『八日目の蟬』で中央公論文芸賞、2014 年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞ほか、多くの賞を受賞。源氏物語の現代語訳という大仕事を経て、5年ぶりに長編『タラント』(中央公論新社)を出版。



撮影/伊藤徹也 文/晴山香織