
Vol.6 ハナコさんちの揚げものホムパに角田光代さんがやってきた!

さて、最終回となりました。角田さん、まだまだ聞きたいことがある様子。
角田光代さん(以下 角):ゼッポリーニに揚げワンタン、そしてシナモン風味のメンチカツ……。こんなに揚げてくださってありがとうございます。ハナコさんのキッチンコンロまわり、油はねがほとんどなかったのが驚きでした。揚げ方にコツがあるんですか?
ツレヅレハナコさん(以下 ハ):それは、鍋のおかげですね。宣伝みたいで恐縮ですが、いろいろこだわったんですよー。これは、内側にゆるくカーブした形にしていて、それが油はね防止になっているんです。
角:なるほど……。やっぱり揚げものやるぞってなると、どうしてもコンロの掃除が面倒って思ってしまうから、ありがたいです。
ハ:もちろん、多少の油はねはしますので、あとはその日のうちにきちんと拭くことですかね。

角:ハナコさん、揚げものが終わるたびにさっと拭いてましたもんね。
ハ:油汚れって時間が経つほど落ちにくくなるので、こびりつく前に拭けば、すぐ落ちます。さあ、次はカルパッチョとグラタンも出しますよー。
角:え! そんなに!

ハ:まだ食べられますか? お腹いっぱいですかね……。
角:いえいえ、いただきます! こんなに作ってくださってありがたい。揚げものだけでも大変なのに、手際のよさ、さすがです。
ハ:揚げものは、揚げたてを食べてもらいたいじゃないですか。だから他のメニューは事前に仕込んでおけるものにしたんです。グラタンは、焼く前の状態まで作っておいて、ちょっと前に頃合いを見計らってオーブンに入れました。カルパッチョは、魚を切って皿に並べておいて、食べるときにたれをかけて香菜をのせるだけです。

角:勉強になります。うわー、グラタンおいしそうですね、いただきます! すごくいい香り!
ハ:みそを入れているからかな。たらとほうれん草のマカロニグラタンです。
角:みそ……おいしいですね。揚げもののコツから、合わせる料理、掃除方法までいろいろ教えていただいて楽しかったし、どれも本当においしかったです。特にゼッポリーニは感動しました。あんなにもちっとフワッとできるなんて。作ってみたいです。ワンタンも簡単だからすぐできそうだし。
ハ:あとは角田さん、天ぷら粉を買って天ぷらを……。
角:そうでした(笑)。我慢していたポテトフライもやります。ごちそうさまでした!
ハ:きょうはおいでいただき、たくさん食べてくださって、ありがとうございました!
(おわり)
ツレヅレハナコさん
旅と酒をこよなく愛する文筆家・料理研究家。雑誌や書籍、WEB、料理講座などで活躍中。週に2~3日は家で揚げものを作るほどの揚げものLOVERで、初心者でも失敗しない揚げ方に定評がある。著書に『ツレヅレハナコの揚げもの天国』(PHP研究所)、『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)など。
角田光代さん
1990(平成2)年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005 年『対岸の彼女』で直木賞、2007 年『八日目の蟬』で中央公論文芸賞、2014 年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞ほか、多くの賞を受賞。源氏物語の現代語訳という大仕事を経て、5年ぶりに長編『タラント』(中央公論新社)を出版。



撮影/伊藤徹也、澤木央子(写真1枚目) 文/晴山香織