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どうする?どうなる?老後の4K

65で退職した夫が、家でゴロゴロ。息苦しくてしかたない/上田淳子さんの回答

超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。
だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。
各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。

今回のお悩み/健康

定年退職後の夫がストレス。息苦しくてしかたありません。

夫は昨年、65歳で会社を定年退職しました。現在の夫はというと、一日じゅう、ネットやテレビを見ながらゴロゴロ&ダラダラ。週に2回のアルバイトに出かける以外はほとんど家から出ず、ひきこもり状態です。食事の支度など家事は、専業主婦だった私にまかせっきり。ゴミ出しやお風呂掃除をする程度です。夫が定年してから、ずっと家にいるのが息苦しくてしかたありません。離婚は考えていませんが、これから何十年もこんな生活が続くかと思うとぞっとします……。
(57歳・女性)

上田淳子さんの回答

家の中に、夫婦それぞれの居場所=「基地」をつくる ことから始めましょう!

ふきだし
お悩み回答者

上田淳子さん

わが家の場合、コロナ禍のステイホームの時期が、ちょうど夫の定年直前だったんですね。思いがけず定年後の予行演習をすることになったわけですが、そのとき、お互い居心地の悪さをひしひしと感じて、これはまずいぞと(笑)。同時期に息子たちも独立。夫婦で今後どう暮らしていきたいか話し合った結果、私たちが出した答えは「引っ越し」でした。

その顚末は著書※1にも書いたのですが、相談者のかたに引っ越しをおすすめしたいのではなく、私が提案したいのは、夫婦それぞれが自分の居場所=基地をつくること。夫がリビングでゴロゴロしているのは、夫専用の場所がないからでは? 夫の存在がいちいち目につくのは、妻専用の場所がないからではないでしょうか。たとえば、あいている部屋を夫や妻の部屋にする、カーテンや家具で空間を仕切るなど、今の自分たちにふさわしい形に住まいを整えなおしてみてはどうでしょう? 基地でお互い好きなことをしつつ、干渉しない。長く連れ添った夫婦には、「見ない」「見られない」環境づくりがいちばん大事です(笑)。

同時に、家事シェアも徐々に進めていきましょう。その理由は、夫婦のどちらかがけがや病気をしても、もう一人がフォローできる状態をつくっておくため。60歳以降は、そういった緊急事態がいつ起きてもおかしくありません。ただし、家事をまかせる場合は、「あれこれ口を出さない」「子育て以上にほめて伸ばす」が鉄則です(笑)。

※1 上田淳子著『今さら、再びの夫婦二人暮らし』(小社)
夫の定年、子どもの独立。人生の軸だった子育てがなくなり、再び夫婦二人きりの生活に。そのとき上田淳子さんが考えた、夫との「これから」の暮らしとレシピ。定年後の夫婦のあり方について考えさせられる一冊。

上田淳子さん
料理研究家
辻学園調理技術専門学校を卒業後、スイスやフランスで修業を積む。現在は料理教室を主宰するほか、雑誌やTV、広告などで活躍。最新刊『レシピ以前の料理の心得』(青幻舎)をはじめ著書多数。Podcast番組「料理たのしくなる相談室」を配信中。

取材・文/太田順子 イラスト/松元まり子

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