【王祿溪】と初かつおの塩たたきで、夢ごこちの晩酌を

はじめまして。
オレンジページ公認「日本酒部」部員の、ニックネーム・酔い子です。

オレンジページに勤務してうん十年。30代で日本酒にはまり、編集部に在籍中は、日本酒やおつまみ本の制作に精を出し、ついには6年前に会社公認の部活として、日本酒部を立ち上げました。
「居酒屋で何のお酒を注文していいかわからない」そんな言葉がつねに飛び交う現状に「自分の好みを言葉にできるようになろう！」と大志を抱いて!?　活動を始めたのでした。

今回スタートする連載では、私・酔い子が季節に合わせて、あるいは料理に合わせて飲みたい日本酒をご紹介させていただきます。お酒は嗜好品ですので好みは千差万別ですが、心を癒すお酒との出会いの一助になればうれしいです。

心地よい飲み口で晩酌がエンドレス　王祿「溪」（島根県・王祿酒造）

新緑のまぶしさに生命の息吹を感じる今日このごろ。今夜の推し酒は
島根県・王祿酒造の純米吟醸「溪」無濾過本生2021

王祿酒造は、島根県松江市東出雲町揖屋にある、創業170年の酒蔵。六代目の蔵元杜氏である石原丈径さんは、うまい酒を造るために徹底した品質管理を行い、生きている酒を最もおいしい状態で出荷するために、細部にまでこだわり抜いている情熱の造り手。酒業界でも有名なカリスマ的存在です。

今回ご紹介する「溪」は、風薫る季節に飲みたくなる一本。
透明ボトルに入った「溪」のレッテル（ラベル）には、「山魚女を釣る　風景を釣る」と墨文字で書かれ、その裏側には酒の中で泳いでいるかのような山女魚が墨絵で描かれていており、なんとも味わいのある風情。あ、裏ラベルはがして撮っています。
石原丈径さんが若かりしころ、夢中になった渓流釣りで、豊かな自然と谷川の清らかな流れに魅了され、それをイメージしてつけられたのだそう。

グラスを傾けると、お酒がなめらかに口中に広がり、清々しくもキリッとした力強いあと口を残す印象。
それでいて喉ごしやさしく、飲むほどに食べたい料理が浮かんでくるような、エンドレスに楽しめるお酒です。

先にも触れましたが、王祿酒造では、一般的に活性炭やフィルターで濾過して雑味や色、臭いを取り除く作業を一切せず、生まれたてのお酒をそのままびん詰めし、徹底した冷蔵管理のもと、熟成させて出荷しています。このお酒を手にしたとき、びん内ではお酒が元気に生きているのです～。きゃーん。

王祿「溪」データと取り扱い店について

〇原材料名：米、米麹
〇原料米：兵庫県産山田錦100％
〇精米歩合：55％
〇アルコール分：15.5％
〇仕込み水：自然湧水通称／黄金井戸
〇価格：720ml 2530円～、1800ml 4510円～
〇取り扱い特約店：https://www.ouroku.co.jp/shoplist
■王禄酒造　https://www.ouroku.co.jp/

「溪」と合わせたい今夜の肴
初かつおの塩たたき

そしてこの時期、「溪」といっしょに味わいたいのが、「初かつおの塩たたき」。
まだ小ぶりの、あっさりとしたうまみの初かつおが大好きなワタクシ。
刺し身もいいけれど、たたきにしたかつおの皮の香ばしさがたまらず、厚切りにした身をふた口くらいで食べるのが好み。
この組み合わせで晩酌を始めれば、かつお、「溪」、かつお、「溪」、「溪」、かつお……と、まさに「誰か止めてー！」状態になっちゃうのです。
香ばしくもあっさりとした味わいのかつおが、「溪」のうまみにコーティングされて、見事にマッチング！！　今夜も心で叫びます。
バンザーイ！

フライパンで手軽に。塩は粒子の粗いものがおすすめです。

初かつおの塩たたき

材料（2人分）

かつおのさく（刺し身用）　1さく（約250g）
塩（粒子の粗いもの）　大さじ2/3～1
米油などくせのない油　少量
〇好みで薬味
万能ねぎの小口切り、紫玉ねぎの薄切り
しょうがのすりおろし、生わかめ、青じその葉、すだちなど

作り方

（1）かつおはペーパータオルで水けを拭き、全体に塩をふる。
（2）フライパンに米油を入れ、ペーパータオルで全体に塗り広げる。強めの中火にかけ、かつおを皮目を下にして入れ、30秒ほど焼きつける。皮に焼き目がついたら、さくの各面を約10～15秒ずつ焼きつける。
（3）全体に焼きつけたら取り出し、アルミホイルに包んで冷蔵庫で10分ほど休ませる。
（4）かつおを幅1.5cmに切り分けて器に盛り、好みのつまや薬味を盛り合わせる。しょうゆを添え、好みの薬味でいただく。

ぜひ、「溪」とお試しください。
王祿のお酒は、特約店で販売しています（上記データ参照）。

次回は７月９日更新予定です。最後までおつきあいいただき、ありがとうございました。

profile
オレぺ日本酒部＊酔い子／比留間深雪
オレンジページコトラボ推進部スーパーバイザー。オレぺ日本酒部員、晩酌愛好家。
編集部に約２８年在籍し、雑誌、ムックを制作するかたわら、日本酒の魅力にひたすらはまり続け、酒蔵との交流が人生の財産となる。現部署では、体験型スタジオ「コトラボ」で料理レッスンを中心とした講座やイベントの企画・運営、企業の研修業務等に携わり、日本酒との接点を模索する日々。全国津々浦々、地域のおつまみ、特産品が大好物。