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岸井ゆきのさんインタビュー『まっすぐ相手に怒りをぶつけるサチが、うらやましいです』
俳優 岸井ゆきのさん
きしい ゆきの/1992年生まれ。神奈川県出身。2009年にドラマデビュー。舞台やドラマ、映画で活動の幅を広げ、初主演の映画「おじいちゃん、死んじゃったって。」で第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。19年公開の映画「愛がなんだ」での演技が高く評価され、第43回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。22年公開の映画「ケイコ 目を澄ませて」では聴覚障害のボクサーを演じ、第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ、多くの映画賞を受賞。近年の出演作に映画「若き見知らぬ者たち」、ドラマ「お別れホスピタル」「恋は闇」など。26年に映画「すべて真夜中の恋人たち」が公開を控えている。
岸井ゆきの|株式会社ユマニテ Instagram
気持ちをため込む私と違って、
まっすぐ相手に怒りをぶつけるサチが、うらやましいです
22歳から37歳まで。岸井さんが映画「佐藤さんと佐藤さん」で演じたのは、佐藤サチという一人の女性の15年間。夫となるタモツとの出会いから、夫婦としてどう変化していくのかを描いています。「それだけ長い時間の同じ人物を演じるのは初めてで魅力的な役でした。作中では他人がいっしょに生活する大変さがこまやかに描かれていて、家族になっても、自分というものをどう確立して生きていくのかを考えさせられる脚本だと感じたんです」と話します。
撮影は、出会いのシーンから順に進んだので、自然と役に入り込めたそう。「タモツを演じる氷魚さんと監督と、共通言語を作るためによく話しました。カメラが回っていないときも、お互い控え室には戻らずにセットの部屋にいて、本を読んだり、ときどき会話したりして。そういう時間が作品にとってもよかったと思います」。

ただ、大変だったのはケンカのシーン。サチは岸井さん自身とはまったく違う性格だからです。「サチは、思ったことを正面からぶつけるけれど、私は相手がどう感じるかを考えちゃって、言いたいことをため込んでしまう。トイレットペーパーをめぐって言い合うなんて絶対できないし、人に向かって物を投げることもありません。人と人がここまでぶつかっていいんだって驚きましたし、すごくうらやましかったです」。小さなすれ違いが火だねになって衝突へ広がる。その現実味を体ごと経験しながらの演技でした。「怒りをぶつけ合ってはいるけれど、お互いにわかってほしいという思いの表れでもあって。その気持ちはすごくよくわかるんです」。

育った環境も考え方も違う二人がいっしょに生活するということは、決して簡単ではありません。笑い合える日もあれば、相手を傷つけてしまう日もある。それでも、生活は続いていきます。自分はまだだれともいっしょに暮らしていないけれど、と前置きをしながら、岸井さんは教えてくれました。「『なぜそう考えるのか』をきくようにしたいし、いっしょにいないときの相手を想像することも忘れないようにしたい。見えない時間や考えに思いをめぐらせることも、だれかと暮らすうえで大切なことなのかなと感じています」。
岸井ゆきのさんイチオシ!
全国の水族館
行きたい水族館がたくさんあります
岸井さんが最近ハマっているのは、水族館めぐり。「鳥羽水族館ではラッコやジュゴンに会えるし、魚津水族館は日本一古い水族館で手作り感があるのがすごくいい。名古屋港水族館はシャチがいるし、唐津の玄海海中展望塔は海の中のリアルな様子が見られるんです」とそれぞれの見どころをうれしそうに教えてくれます。「限られた水槽の中なのに、魚たちがすごく自由に感じられて好きなんです。特にお気に入りはエイ。裏側がニコニコしているみたいで、あんなに穏やかな子いませんよね。ふだんからよく写真を撮るんですが、水族館の写真は、自分でも驚くほどうまいんです。写真って愛情だから好きが表れているんじゃないかなって思います」。
これに注目!
「佐藤さんと佐藤さん」
11月28日(金)より全国公開
出演/岸井ゆきの 宮沢氷魚 藤原さくら 三浦獠太 田村健太郎 前原 滉 山本浩司 八木亜希子ほか
監督/天野千尋
脚本/熊谷まどか 天野千尋
配給/ポニーキャニオン
製作幹事/メ~テレ
ポニーキャニオン
murmur ダブ
岸井ゆきのさんからの直筆メッセージ
●2025年10月現在の情報です。
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撮影/有坂政晴 取材・文/晴山香織 ヘア&メイク/茂木美鈴 スタイリング/杉浦 優



















