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堺 雅人さん「体からの言葉に耳を澄ませる、イノセンスな時間を大切にしています」
俳優 堺 雅人さん
さかい まさと/1973年生まれ。宮崎県出身。高校時代に演劇部に所属し、早稲田大学在学中に劇団「東京オレンジ」の旗揚げに参加、舞台俳優として注目される。NHK連続テレビ小説「オードリー」、NHK大河ドラマ「新選組!」などの演技が高く評価され、NHK大河ドラマ「篤姫」で人気を博す。以来、舞台やドラマ、映画など数多くの作品に出演し、受賞歴多数。出演作は映画「DESTINY 鎌倉ものがたり」、ドラマ「半沢直樹」「VIVANT」(ともにTBS系)など。
堺 雅人 オフィシャルサイト
体からの言葉に耳を澄ませる、
イノセンスな時間を大切にしています
策略をめぐらす銀行員や、独特の正義感を持つ弁護士、裏の顔を持つ商社マン。クセのある役柄の印象が強い堺雅人さんが、映画「平場の月」で演じるのは、印刷所で働くごく普通の男性です。中学時代の初恋相手と再び恋に落ちるという役柄。撮影に入るまで、朝倉かすみさんによる原作を何度も読んだと振り返ります。
「読むたびにのめり込んでいきました。いつ何をして、月はどこに出ていたかと、とても緻密に計算されているんです。部分的に読んでセリフを書き出したり、須藤(恋愛相手)の立場で読んで拒絶や葛藤を考えたり、身体的な描写を抜き出したりもしました」

演じた青砥(あおと)は、やさしさゆえに周囲に無関心に見え、相手に踏み込めないもどかしさが強い人物。「そのもどかしさがとても素敵な要素になって、余韻として残るんです。それをじっくり味わう作業が、読書でも、演じていくうえでもありました」
また、朝倉さんが執筆で大切にしている要素のひとつ「イノセンス」も支えだったと続けます。イノセンスとは、無垢(むく)で純粋、純真な性質のこと。
「朝倉作品は、体に関する描写が多くて、身体性を大切にしているのが伝わってきます。体が感じることって、イノセンスに通じるんじゃないかと思って。体で表現する役者にとって、それがとても大事な道しるべになりました」

日常生活においても、特にここ数年は、身体性を大切に思うようになったそう。
「身体性とは、体の声をちゃんと聞くこと。たとえば今、何を食べたいか考えるのは、とてもイノセンスな時間です。頭で決めつけず、体からの言葉を大事にしたくて」
ふだんの料理では、あらかじめメニューは決めず、食材を見ながら食べたいものを作ることにしているのだそう。
「塩をふって焼けば、たいていおいしいですよね。栄養バランスは一日の中でとれていればよしです。スープがなければ水を飲めば いいし、夜に野菜が足りなくても、朝食べたから大丈夫という感じです」と笑います。無理をしない。それもまた、体の声を聞くことと 同じく、堺さんの支えとなっているのかもしれません。
堺 雅人さんイチオシ!
星座がわかるアプリ「星座表」
ロケの待ち時間の楽しみです
堺さんが最近ハマっているのは、夜空を見ること。その際に欠かせないのがアプリの存在だと話します。「以前、スタッフさんに教えてもらった『星座表』というアプリです。空にかざすだけで、すぐに目の前にある星座がわかるので、星空を見るのがめちゃくちゃ楽しいんです。知らなかった星座がたくさん出てきて勉強にもなりますよ。ロケの待ち時間になると、スマホを空に向けて星座を確認しながら、星空を眺めるようになりました」。
これに注目!
「平場の月」
11月14日(金)より
全国東宝系にて公開
出演/堺 雅人 井川 遥 坂元愛登 一色香澄 成田 凌 塩見三省 大森南朋ほか
原作/朝倉かすみ
『平場の月』(光文社文庫)
監督/土井裕泰
脚本/向井康介
配給/東宝
製作幹事/TBSスパークル TBS
堺 雅人さんからの直筆メッセージ
●2025年10月現在の情報です。
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撮影/鈴木康史 取材・文/晴山香織 ヘア&メイク/保田かずみ スタイリング/mick



















