超高齢社会を迎え、「人生100年時代」といわれる現代。だからこそ、考えだしたら不安でたまらない、家族や自分の老後の生活。各分野のスペシャリストが、そんなあなたの不安にそっと寄り添います。 今回のお悩み/介護 60歳の定年後は働かないという夫。私は生活のために働いてほしいのですが……。 今年で58歳になる夫。再来年に60歳定年を迎えるわけですが、今の時代、当然のように再雇用で定年後もそのまま会社勤めを続けてくれるものと思っていました。ところが、夫は定年後はいっさい働かないとのこと。理由は「疲れたから」。再来年からの収入が年金と私のパート代だけになってしまうことにとても不安を感じています。子どもは独立し、家のローンも返済ずみですが、老後の生活のことを考えると、今の貯金では心もとなく……。私としてはせめて65歳までは働いてほしいのですが……。(54歳・女性) 秀島史香さんの回答 まずは、ご主人の気持ちに寄り添って、じっくり話を聞いてみてはどうでしょう? お悩み回答者 秀島史香さん ご主人の「疲れたから」という言葉の裏には、よっぽどの事情があるのかもしれませんよね。働いていらっしゃるのはご主人ですから、まずは、ご本人の意思や今の気持ちをじっくり聞いてみるのはどうでしょうか? 「仕事、大変なんだね。どういうところで疲れちゃったの?」というふうに心を寄せる感じで。とはいえ、お互いテーブルに向き合って話し合うのは照れくさいですし、ご主人にとってもプレッシャーになってしまうので、たとえば、旅行やお出かけの道中だったり、近所を散歩しながらなど、できるだけ話しやすい雰囲気をつくってあげるのがいいかなと思います。奥さまのほうも、ご主人の話をしっかりと聞いたうえで、定年後の生活に不安を感じていることを正直に伝えてみてください。いちばんよくないのは、このまま話し合わずに、関係がぎくしゃくしてしまうこと。お金に関しても、これからの暮らしに関しても、ひとつの共同体として、お互いの気持ちを共有していくことはとても大事だと思います。もし、ご主人が本当に疲れてしまっているのであれば、一度仕事から離れてみるのもいいと思いますし、それに、働ける場所というのは、今の会社だけではないですよね。まずはしっかり休んで、それから新たな働き先を見つけることだってできます。人生を楽しむことを忘れずに、今よりもペースダウンした働き方をご夫婦で模索してみてはいかがでしょうか。 秀島史香さん DJ・ナレーター。慶應義塾大学在学中にラジオDJデビュー。「SHONAN by the Sea」(Fm yokohama)をはじめとするラジオ番組のほか、テレビ、映画、CMなどのナレーション、通訳や字幕翻訳、執筆活動と幅広く活躍。最新刊は『なぜか聴きたくなる人の話し方』(朝日新聞出版)。 石塚元章さんの回答を見る「老後の4K」のお悩みをすべて見る(『オレンジページ』2024年2月2日号より)