入社25年(つまり四半世紀)以上のベテラン料理編集者4人が「うちごはん」について気ままに、赤裸々に語るリレー連載。個人的好み全開のオリジナルレシピのおまけつき。
突然ですが、スーパーなんかで見かけると、ついうっかり買っちゃう野菜ってありませんか? 僕の場合、「ゆり根」がそう。冬にしか出回らないうえに、スーパーで普通に売ってるのをほとんど見ないので、たま~に発見すると条件反射のようにカートに入れてしまいます。日もちするし、次いつ出会えるかわからないので、とりあえず大量購入(笑)。どうやって食べようかをあれこれ考えながら帰る時間もお楽しみです。
そんなレア感のあるゆり根ですが、僕が子どもの頃はもっとふつうに売ってたよな……。茶わん蒸しには必ず入っていたし、ゆり根の卵とじが晩ごはんのおかずとして出てきてたし。なぜこんなに見かけないのか不思議に思い、ちょっと調べてみました。すると、なんと! ゆり根のほとんどが関西で消費されていることが判明。だから大阪の実家にいたときにはどこでも手に入ったのか……。確かに、友人にゆり根を使った料理を作ると、けっこうな確率で「初めて食べた」という反応が返ってきます。そのたびに「うそでしょ」って思ってたけど、そういうことだったんですね。
じつは今年の冬、近所のスーパーでは一度もお目にかかることがなかったんですが、先日、外出先の八百屋さんの店頭で発見。しかも「百円」の文字。もちろん条件反射で袋を手に取ると……。なんと、三個入り! 激安すぎ! とりあえず三袋九個を購入し、連日ゆり根料理を堪能しました。今回の「ゆり根と鶏肉のグラタン」もそのひとつ。こんな手に入りにくい材料のメニューで恐縮ですが、ゆり根の認知度アップ計画ってことで、大目にみてくだされば幸いです……。
ホワイトソースは別に作らず、鶏肉を焼いたところに直接バター、小麦粉、牛乳を入れていきます。ゆり根は火の通りが早いので、生のまま入れちゃってOK。ソースを煮つめていく間に火が入ります。このあとオーブトースターで焼く時間もあるので、ここであまり柔らかくしすぎないのがポイントです。
こちらは実家で定番のおかずだった「ゆり根の卵とじ」。だし汁、酒、みりん、しょうゆで作った煮汁でゆり根を煮て、卵でとじるだけ。ほっくりとした食感と、ゆり根ならではのやさしい甘みが楽しめる一品です。他に、コロッケや明太子あえ、バター炒め、ポタージュなどなど、意外にいろんなメニューに使える素材です。
オレぺのレシピを世に送り出しつづけているベテラン料理編集者4人が、これまで出会ったレシピの中から好きなもの、忘れられないものを自ら作って、撮って、語ります。
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