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清水みさとの本日もトトノイマシタ!

「365日、ほぼ毎日サウナに行く!」というほどサウナ好きな、タレントで女優の清水みさとさん。サウナ用語の「ととのう」にかけて、清水さんならではの日々の暮らしの「ととのい」エピソードをお届けします!

サウナにハマったのは大学1年の夏。サウナ歴13年で気づく、「ととのう」とは?【清水みさとさん連載】

2024.10.10

おばちゃんたちのトークに魅せられて、サウナにハマる


大学1年生のころ、サウナを好きになった。

楽しさにかまけて食べすぎたわたしは順調に太ってしまって、ダイエットのために通いはじめたジムでサウナに出会った。初めて入ったジムのサウナは、あつあつの95℃超えで、薄赤い照明もあいまって、ほぼオーブンだと思った。

まるで自分が調理されているような気がして、我慢とか無理とかそういうのはしたくない人生なのに、なんだってこんな熱い場所に自ら乗り出して、そのくせ熱いってもだえなきゃいけないんだ! っていうむちゃくちゃなファーストサウナ。
学生時代から通っているという三軒茶屋『駒の湯』
学生時代から通っているという三軒茶屋『駒の湯』
だって、ジムのお風呂で仲よくなったおばちゃんたちが、おしゃべりの続きをサウナでするもんだから、わたしもサウナに入らなくちゃいけない(交ざりたいだけ)。

だけどおばちゃんたち、サウナ内でも小気味いいトークを繰り広げるから、気がつくとわたしから大量の汗が滴り落ちていた。冷え性でめったに汗をかかないわたしの全汗腺の蛇口が全開。汗の大洪水。しめた、これは絶対やせた! とうれしくなった(水分が出ただけ)。

ファーストサウナからのファースト水風呂

そんなファーストサウナを終えたわたしをおばちゃんたちは水風呂へといざなった。わたしは水風呂になんて入りたくない。だって体を冷やしたら、もう二度と汗が出なくなる(勘違い)。

するとおばちゃん、「冷やせば次はもっと汗かくよ。」わたしのすべてを見透かした言葉に、ドキッ。普通「怖くないよ」とか「気持ちいいよ」とかじゃない?

意表を突く裸の神様からの助言をすんなり受け入れ、ファースト水風呂に挑む大学1年生、夏。

わたしって、素直なのだ。やるからにはちゅうちょしない。水風呂に全身をザブンと一気に沈めると、全方位から冷たいトゲがいっせいに刺さるような刺激が走った。つんっめたい。

すぐさま浴槽から飛び出して、ハァハァ息を切らしてたどりついたカランの椅子はまるで山の頂。なんだろう、この限りなく登頂した感は。並々ならぬ達成感とともに椅子に座って深呼吸をしていると、冷えるどころか体がどんどんじわじわ熱くなって「うわ、気持ちいい! 世界一幸せ!」ってなった。

それに体がふわふわ軽い。当時映画に興味がないのに、映画学科に入学したせいで大学になじめなかったことも、日舞のセンスがなくて怒られたことも、これからどうしていこうかという人生の悩みだってなんだかどうでもよく思えた。わたし、心まで軽くなってない?

当時「ととのう」という言葉はまだなくて、このえもいわれぬ気持ちよさとありったけの多幸感を味わいたくて、来る日も来る日もサウナに通った。

「ととのう」を求めて、「ととのう」を見失う

それから数年がたち、「ととのう」という言葉が出現した。あのふわふわ気持ちいい幸福エンドレスみたいなやつは、ととのうだったのかと答え合わせできたことにひどく感動し、その日からわたしは「ととのう」を追いかけた。

「ととのった」と言えることに喜びを感じ、もっともっと、ととのいたいと、熱いサウナ、冷たい水風呂、ここは何度? 動線は? 作った人は? そんなふうに求め、比べ、能書きを並べて頭の中が情報肥満になっていった。

気持ちいい、ただそれだけでよかったはずなのに、いつの間にか、ととのわなきゃいけない世界線に立ち、ついに「ととのわない日」がやってきた。

あれ? サウナってこんなんだっけ?

これまでと同じようにサウナがあって、水風呂がある。変わってしまったのはわたし自身。

わたしにとってのととのうは、そんな窮屈じゃなかったはずで、もっと素直で、もっと簡単なものだった。気持ちいいと思えるただそれだけで完璧だったことを早く思い出さなきゃいけないと思った。

今まで「ととのう」は受け身だと思っていたけれど、本当はもっと能動的な「ととのえる」に近い行為なのかもしれない。自分が幸せだと思えば幸せになるように、楽しいと思えば楽しくなる。わたしはそうやって生きてきたはずだから、気持ちいいも気持ちいいと思うからそうなるんだし、サウナにすべてを託すなんてちょっと傲慢な気がした。

この世のすべては自分しだい、そう思い直したとき、見違えるほど、ととのうようになっていた。サウナを超えて日々までも。

サウナでととのい、失敗はととのえて、万事OKなお気楽人生にしていこうと本気で思っている。

だから、「清水みさとの本日もトトノイマシタ!」。
わたしの万事をととのえられた話を書いていきます。どうぞ、よろしくお願いします。


清水みさと

PROFILE
清水みさと(しみず・みさと)

1992年、奈良県生まれ。タレント、女優。サウナ好きとして知られ、サウナ・スパプロフェッショナル、サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を持つ。日本最大のサウナ検索サイト「サウナイキタイ」のモデル、フィンランドサウナアンバサダー、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(JFN21局/Spotify)のパーソナリティとしても活躍中。
Instagram @misatoshimizu35

清水みさとの本日もトトノイマシタ!

文・写真/清水みさと  バナー・プロフィール画像/大辻隆広

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