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飛田和緒さんの「月に1度のさもない昼ごはん」

飛田和緒さんのランチ拝見。グリーンピースを大量買い『新玉ねぎとグリーンピースのパスタ』

2025.05.14

人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?

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さぁ新緑の5月。

風もさわやかで過ごしやすい日が続いております。ただ日ざしは着々と強くなってきている。車の運転をしているとハンドルを握る手の甲がジリジリと焼けていると感じます。

春は短い。

やっときたと思ったらもう夏のことを考えないといけませんね。今年も猛暑を覚悟して、今のうちに山菜など苦みのあるものを食べて体を整えましょう。これは明治生まれの祖母がよく口にしていたこと。アクの強い山菜はもちろんのこと、みなさんが手軽に手に入れられるふきやたけのこを食べておくと夏バテしないというのです。

祖母の教えを守っているからか、夏バテは今のところありません。先月の連載でたけのこをゆでるまではお伝えしていましたね。その後は焼いたり、煮たり、ご飯と炊いてたけのこご飯を大いに堪能しました。

その後も地元の友人知人からたけのこをたっぷりといただき、何本ゆでたでしょうか……。大鍋をしまう暇がないほどでした。どのたけのこもおいしかったのですが、同じ山で掘ったたけのこが友人宅にも届き、ゆでましたら、えぐみが強すぎて食べられないというのです。

処理のしかたやゆで方をやりとりして確かめましたが、その1本だけが苦いまま。捨てるにはもったいないので、もう一度ゆでてみたらどうかと提案し、なんとかえぐみはやや解消されたのですが、まだ気になるというので、天ぷらをおすすめしました。

たらの芽やふきのとうなど、苦みの強い山菜は天ぷらにかぎりますものね。たけのこも同様に作ってみたらとLINEをしましたら、これが大成功。あんなにえぐみの強かったたけのこがあっとう間に家族のおなかに納まったというのです。恐るべし油の効果。

みなさんも万が一そんな状況になりましたら天ぷらやオイル焼きにしてみてください。

春の野菜とグリーンピースを大量買い

さて今月の直売所の買い出し状況をお知らせしますと、春キャベツ、春の小かぶ、新玉ねぎ、もう夏野菜のズッキーニが並びはじめました。出始めなのにとっても大きい。初物のグリーンピースは旬が短いから大量買い。

そしてジャム用いちごを見つけてしまった……。今年はいちごジャムは作らないと心に決めていたのに、目の前においしそうないちごがあったら見過ごせない。2パック買いました。

いつもなら、そこにあるパックをすべてかごに入れる勢いですが、我慢我慢。2パックなら中鍋くらいですみますからと、ぶつぶつ言い訳しながら帰りました。

いちごはジャムとシロップに


まずはいちご。ジャム用は完熟でパック詰めされていますから、急ぎ鍋に入れます。白砂糖(グラニュー糖でも)をかけてひと晩おき、いちごのエキスがじゅうぶん出たらやや強火で一気に煮上げます。砂糖はきび砂糖などでもよいのですが、色のついた砂糖で煮るといちごの真っ赤な色が黒ずんだようになることもあって、白砂糖を選択。味に影響はありません。見た目の問題だけです。

 この日はいちごのシロップがたっぷりと出たので、まずシロップだけ取り出してびん詰し、残りいちごにレモン汁をかけてとろみがつくまで煮たら、熱いうちに煮沸消毒したびんに詰めてでき上がり。

今回はジャム、シロップともに3本ずつなので、あっという間に消費するからと脱気はせず、されど熱いうちにびん詰したので多少脱気してはいるようで、ふたがペコッとへこんでいました。煮ている間にすくったふわふわのアクは豆乳と合わせていちごミルク風。シロップは炭酸割りやお酒で割ったり、ホイップクリームに少したらせばピンク色のクリームに。春の名残をいちごで楽しみます。

お昼は『新玉ねぎとグリーンピースのパスタ』

前置きが長くなりましたが、今月のランチは新玉ねぎとグリーンピースのパスタ。新玉ねぎがあるうちに幾度となく作るのが炒め玉ねぎ。薄切りにした玉ねぎを厚手の鍋に入れて塩をひとつまみ、オリーブオイルをふた回しくらいかけてふたをして中火にかけます。

ジリジリと音がしてきたら、さっと混ぜてまたふたをする。それを何度も繰り返しながらこんがりと色づいた炒め玉ねぎを作ります。蒸し焼きにしながらたまねぎを炒めていくのです。新玉のねっとりとした甘みが出たらでき上がり。


これをこんがりと焼いたトーストにのせたり、パイ生地にのせて焼いてピザ風にしてもおいしい。たっぷりと作っておけば便利ですが、今ほぼ一人暮らしのようなものなので、今回はランチ分だけ、玉ねぎ2個を炒めました。

そして隣のコンロでスパゲティをゆで、ゆで上がりの6分前に(タイマーをかけておく)さやから取り出したグリンピースを入れて一緒にゆでます。

ゆで上がったら、ゆで汁をきって玉ねぎの鍋に入れ、あえるだけ。私はほんの少ししょうゆをたらすのが好き。スパゲティを塩ゆでしていれば、味つけはほぼいりません。ときどきバターを入れたりすることも。家族がいるときにはハムやソーセージを加えたりしてアレンジ。ただし、私は玉ねぎとグリーンピースだけの組み合わせが大好きです。

じつは今回いつもの直売所ではあまり変わり映えしない野菜のラインナップのみで、新たな野菜が入らず、また端境期かしらと困っていました。この原稿には何か季節ものをお伝えしたく、日々の買い出しのときに情報収集しながら、直売所めぐりをしているのですが、2、3日どうしようか困っていたら、友人からよき知らせがきて、少し遠出し、グリーンピースを手に入れることができました。

いつもおいしいもの好きからのメールは本当にうれしく助かります。初物で好物とくればそれはそれはご機嫌でグリーンピースを抱きしめながら小躍りし、精算カウンターわきにあった矢車草まで買ってしまう。つぼみがすぐにぐったりするから、つぼみと花を分けて、水切りして花びんに挿しました。料理よりも花の手入れに時間がかかった一日でした。


大量のグリーンピースは新鮮なうちにゆでて、ペーストにして冷凍。牛乳や豆乳と合わせただけのポタージュもまた好物なもので準備しておきます。

この原稿を書いている間に空が真っ黒になり、雨が降ってきました。一気に気温も下がったのか、震えるほど寒い。分厚い靴下をはいて、ニットパーカはおって、ひざ掛けして机に向かっております。もう初夏かという日ざしの日があったりと、寒暖差はまだまだ続きそうですね。みなさん体調管理して元気に過ごしてくださいね。




春の終わりに  飛田和緒



飛田和緒(ひだかずを)

料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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文・写真/飛田和緒 撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)

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