
飛田和緒さん、念願の『ズッキーニとじゃがいものガレット』を作る/米のおいしい保存法も
人気料理家・飛田和緒さん。この連載は飛田さんの飾らないお昼ごはんをのぞき見させてもらいます。使うのは20年近く住む神奈川県・三浦半島の旬の食材! さて今日はどんな「さもない」お昼が見られるのでしょうか……?
あっというまに2025年も半年が過ぎようとしています。早いなーと思うことについて、「年々年を重ねるごとにそう感じる」というかたと、「いやいやそれだけ充実しているということです」と言ってくれるかたがいる。わたしは後者を信じたいけれど、もっと充実感が欲しいなーと思ったり。いつまでたっても欲深いから、年月がたつのが早いのだと自分に言い聞かせた今日このごろであります。

お天気が相変わらず安定しませんね。今日はスカッと晴れて夏日なのに、一昨日は寒くて寒くて薄いダウンを着て夕方買い物へ出かけたのですよ。そんな天気だと直売所への買い物もなんだかおっくうに。パァッと季節の野菜が並ばず、またしても端境期的なラインナップ。夏のトマトやなすを期待しているのですが、なかなか出会えずにおります。
ズッキーニ、きゅうり……初夏の野菜をたくさん購入

とはいえ、今日はお目当てのものがあって、久しぶりにたくさん野菜を買いました。たっぷりと袋に入ったサラダ用の葉野菜、きゅうり、ズッキーニは真夏より初夏の野菜になっているそう。島らっきょうはしょうゆ漬けに。アップルミントはお茶に、じゃがいも、地元産ではないけれど同じ県産ということで生きくらげ、走りの枝豆も。かごいっぱいに買って、今日のランチはズッキーニとじゃがいものガレット風です。これがずっと食べたかった!
ランチは『ズッキーニとじゃがいものガレット風』
ひたすらスライサーでじゃがいも1個とズッキーニ緑と黄色1本ずつをシャカシャカと細く切り出し、ズッキーニがやや水分があるので小麦粉と片栗粉を各大さじ3ずつ加えてつなぎにして、塩こしょうしてオリーブオイルでこんがり焼きました。


底面が焼けたら、返す前にピザ用チーズをたっぷりとのせてからひっくり返してチーズもこんがりと焼きます。香ばしい香りがぷんぷん、ペコペコのおなかが刺激されて、まだかまだかと返したい気持ちになりますが、ここはじっと我慢。両面をこんがりと焼くことが大事なので、フライパンの前で待つのみです。
焼けたガレットはまずはそのまま食べ、途中ほんの少しケチャップをつけて味変して食べました。食べごたえはあるのに、ズッキーニの軽やかさもあって、あっという間に一人で20センチほどのガレットを1枚ペロリと平らげました。

生地はまだ半分残っています。夜はごま油でチヂミ風に薄く焼いて、キムチやしょうゆ漬けの島らっきょうをのせて食べようと思います。焼く油やつけ合わせでアレンジ自由自在のこのレシピはお気に入り。以前韓国へ行ったときにじゃがいもだけのチヂミを食べてそのおいしさに感動して、じゃがいもをすりおろしてよく作っていたのですが、ほかの野菜も合わせてみたいと千切りで作ってみたら、ガレットみたいな味わいにもなったというわけ。レシピはつながっている。そんな料理が大好きです。
おやつは「ミントティー」と「サワークリームのオープンサンド」


夕方に少々小腹がすきまして、アップルミントに熱湯を合わせてミントティーにし、先月こちらの連載にも書きました「いちごシロップ」をサワークリームと合わせてピンク色のクリームを作り、冷凍してあったバゲットを焼き、クリームとバナナをのせておやつに。

サワークリームがいい。生クリームよりもあっさりしているからか、老体の小腹にはちょうどよいあんばいでした。ちょうどサワークリームがあったので混ぜてみましたが、水きりヨーグルトにいちごシロップもおすすめです。
今年はいちごの季節が長いような気がしています。まだスーパーにいちごが並んでいて、すいかと並んでいる様子がなんだかおもしろい。シロップにご興味ありましたら、まだ間に合いますからスーパーへ走ってください。作り方は5月の記事にありますよー。
葉野菜は「揚げ春巻き」に

たっぷりと買った葉野菜はというと、春巻きを包んでわしわしむしゃむしゃ一人1玉ずつ食べました。これも食べたかったものですから、みずみずしいサラダ葉野菜を見つけたときには大またでその棚めがけて突進。買い物かごに放り込んでいましたね。ときどきそういうご婦人見かけるのですが、自分もそうなっているかと思うと、ニヤついてしまう。
春巻きはアジア食品のお店で、生春巻き用ではない、揚げ専用の薄ーい薄ーい米粉の乾燥春巻きの皮を買ってあったので、それを一枚ずつ手につけた水を広げて皮を柔らかくし、鶏ひき肉におからとコリアンダーパウダーやパプリカパウダーなどのスパイス、塩を加えた肉だねをひと口ずつのせ、庭のパクチーを入れて包んで揚げました。これをさらにレタスの葉で包んで食べます。

サラダよりも肉などを包んで食べるほうが生の葉野菜が軽やかに食べられる気がして、今日はレタスを食べるぞっていうときによく作ります。しょうゆ漬けのらっきょうもいっしょに包んで食べたらビールのすすむ味でした。
今月もおいしかったな。ごちそうさまでした。

最後に米騒動にひと言。備蓄米、古古古米が話題に上っておりますが、この騒動をきっかけにお米の保存方法を見直してほしいと思っております。
せっかく買ったお米をその袋のまま、台所の隅に放り投げてはいませんか。シンクの下に入れたりはしていませんか。精米されたお米の劣化を気にしてください。買ったままの袋は保存には向いていないと聞いています。
袋のままではなく、保存用器や保存袋に入れ替えて、温度変化のない冷暗な場所で保存すること。わたしはお米マイスターの西島豊造さんおすすめの冷蔵庫保存をしています。冷蔵庫の中でも比較的温度が低すぎない、温度変化が少ない野菜室の底にお米を入れます。場所はとられますが、どんなにおいしいおかずを作ってもご飯がおいしくなければ献立は成り立たないというくらいご飯炊きに熱量高めのわが家ですので、なんとかお米を冷蔵庫に納めております。みなさんも米問題をきっかけに、貴重なお米を大事においしく食べるために保存方法を考えてみてはいかがですか。
飛田和緒
飛田和緒(ひだかずを)
料理家。神奈川県・三浦半島に夫・娘と住みはじめてから18年になる。海辺暮らしならではの魚料理や、地元の食材を使ったシンプルな野菜レシピが人気。繰り返し作りたくなる常備菜は、幅広い層から支持されている。お弁当や朝ごはんの記録をつづったインスタグラム(@hida_kazuo)も話題。著書に『いちばんおいしい野菜の食べ方』(小社)など。

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文・写真/飛田和緒 撮影/大森忠明(バナー、プロフィール画像)