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2024.04.19
水上恒司さんインタビュー「人との出会いも、仕事も有限。残らないものだからこそ全力で向き合いたい」
さとなか まちこ/1948年、大阪府生まれ。64年、高校在学時に「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞を受賞し、デビュー。97年「マンガ日本の古典」(全32巻)の『心中天網島』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。2006年全作品及び文化活動に対し、文部科学大臣賞受賞。23年に文化功労者に選出。日本漫画家協会理事長、マンガジャパン代表理事などを務める。代表作に『あすなろ坂』『天上の虹』(講談社)など。里中満智子ー公式ブログ
幸せってだれかにかなえてもらうものじゃない。
ヒロインの生き方を通し、
それを伝えたかったんです
漫画を滅ぼそうとする大人たちから、漫画を守りたい。画業60年。今年刊行した自伝の中で、漫画家になったきっかけをそうつづった里中満智子さん。ご自身が少女だった1950年代は、漫画は〈悪書追放運動〉の標的でした。
「当時は〈漫画はくだらない、捨ててしまえ〉という風潮が強かったんです。学校の先生と親から『捨てろ』と言われ、世の中から漫画がなくなっちゃうかも、ってすごくあせりましたね。感動は同じなのに、活字ならよくてなぜ漫画はダメなのか。漫画が不当に差別されるのが、悔しくてしょうがなかったです」。
好きな漫画家さんたちの自画像を見るにつけ「お金がなさそう」とも思っていたとか。
「情報がない時代だから、先生たちの自画像をすっかり信じちゃって(笑)。貧しさに耐えながら、名作を生んでいるんだ! なぁんていうあこがれを抱いていました」
16歳で漫画家デビューを果たし、上京した里中さん。尊敬する漫画家・ちばてつやさん宅を訪れたとき「どうも想像と様子が違う」と気がついたそう。
「おうちは広いし、大きな車も止めてある。なぁんだ、そんなに貧乏じゃないのかぁって、ちょっとがっかりしたりして(笑)。でも、私って切り替えが早い。ちゃんとお金があるってことは、多くの読者がいるっていうこと。作品が愛され、理解されているあかしなんだ、って、とてもうれしくなりました」。やがてご自身も、人気漫画家に。描きつづけた〈凛としたヒロイン〉は、読者に生きる力を与えてきました。
「幸せって、だれかにかなえてもらうものじゃない。泣いてあきらめるより、〈これが幸せだ〉と思える人生を自分でつかみとってほしい。自分の中にある強さに気づけたら、人って、かなりのことを乗り越えられるんですよね。それを伝えたくて、登場人物たちの考えや行動を描いてきたと思います」
将来、何になりたいか。進路指導で問われ、中学2年生で人生を真剣に考えた著者。「漫画を応援する仕事に就こう!」と決意した少女は、高校生で漫画家デビュー。やがて数々の名作を生む人気漫画家に。大阪での生い立ち、新人時代、漫画家どうしの交流、旅、食、健康、作品のこと……。昭和から令和へ、漫画と歩んだ半生がギュッと詰まった自伝。
(『オレンジページ』2024年4月17日号より)
撮影/佐山順丸 取材・文/待本里菜
·2024年3月現在の情報です。·商品の価格は、特に記載のない限り消費税込みの価格です。改定される場合もありますので、ご了承ください。
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