こんにちは、料理家の長谷川あかりです。この連載では、料理で当たり前と思いがちなひと手間を省いてもおいしくできるレシピを紹介してきます。白菜がおいしい季節ですね。スーパーでおいしそうな白菜がずらっと並んでいるのを見ると、ついつい買い物かごに入れてしまうのは私だけでしょうか。数ある白菜料理のなかでも私がいちばん好きなのは、餃子です。私の作る餃子は、お肉の倍量の白菜を使います。まさに白菜が主役の餃子。じつはこれ、母のレシピがベースになっています。意外と思われるかもしれませんが、わが家で餃子といえば、だれかが風邪をひきそうになったり、体調をくずした際に出てくる定番の料理でした。シャクシャクとした歯ざわりの白菜が心地よく、まるでサラダを食べているかのように軽やかな餃子。青じそやしょうがの香りもきいているから、食欲がないときでも食べられて、食後には体がポカポカに。とっても元気になる味なんです。以前、なんとなく体調が悪いな~というとき、母の餃子が食べたくなって詳しくきいてみたら、その斬新な作り方に衝撃! 材料のシンプルさひとつをとっても「こりゃ体調を整えるのにもぴったりだ」と感動。その後、私なりに材料と作り方をアレンジし、わが家でもすっかり定番のレシピになりました。 『たっぷり白菜しそ餃子』のレシピ 母直伝! 白菜の塩もみはしません! フライパンの中で具材を混ぜ合わせることで、洗いもの削減! 通常のレシピでは餃子に入れる野菜は塩もみをする場合が多いのですが、この餃子は白菜の塩もみをせず、そのままたねに加えるので工程はよりシンプル。白菜は細かく切らず、粗めのざく切りでOK! 大きさも統一せずばらばらのほうが、食感にアクセントが生まれておいしいんです。また、水っぽくならない理由は、たねに加える「片栗粉」。片栗粉を加えることで、白菜の水分を閉じ込め、ジューシーな餃子になります。皮の中で蒸された白菜の歯ざわりとおいしさに驚くこと間違いなし。母直伝のアイディアです。ボールいらずで完成するので、ぐっと気楽に作ることができるのもポイントです。ひき肉の入っていたボールを洗うのって、地味にストレスで、それだけで料理のハードルが上がってしまいますよね。私はフライパンで肉だねを混ぜ、餃子を包んだらフライパンをさっとペーパーで拭き、そのまま焼いてしまいます。 材料(25個分) 〈肉だね〉鶏ひき肉(もも)……100g白菜……200g青じその葉……1束(約10枚)しょうが……1かけ塩……小さじ1/2酒……小さじ1しょうゆ……小さじ1片栗粉……大さじ1/2餃子の皮……25枚片栗粉……適宜好みでポン酢しょうゆ……適宜サラダ油……小さじ1 作り方 (1)肉だねを作る白菜、青じそ、しょうがは粗めのみじん切りにする。肉だねの材料をすべてフライパンに入れ、全体がまとまるまでよく混ぜ合わせる。(2)餃子を包む肉だねの1/25量を餃子の皮1枚の中央にのせる。皮の上半分の縁に水をつけてひだを寄せて包み、片栗粉を全体にふったバットに並べる(餃子どうしがくっつかず、焼いたときに自然と羽根ができる)。残りも同様に包む。肉だねがなくなったら、フライパンはペーパータオルでさっと拭く。(3)餃子を焼くフライパンにサラダ油を中火で熱し、餃子を5~6個並べる。水50mlを回し入れてふたをして、5分ほど蒸し焼きにする(途中、水がたりなくなったら、大さじ1ずつたす)。★私は、少ないほうが焼くときに失敗しにくいのと、夫が猫舌なのでそれぞれで焼いちゃおうと5~6個ずつ焼いていますが、一気に全量焼いてもOK。その場合は、水は70mlにしてください。
ふたを取り、フライパンを揺すりながら水けをとばし、焼き目がついたら完成。器に盛りつけ、好みでポン酢しょうゆをつけながらいただく。『白菜餃子』の作り方を動画でもチェック! あっさりしているのに、うまみはしっかり。食欲がないときでも軽やかに食べられます。まずはそのままで白菜の甘みや歯ざわり、ジューシーさを楽しんで、そのあとは好みでポン酢をつけてめしあがれ!ちなみに、餃子のたねが残ったら、そぼろあんにしてこんがり焼いた中華蒸し麺(焼きそば麺)にかけ、「あんかけ焼きそば」にして食べるととってもおいしいですよ。次回の連載は2/27(月)更新予定。『鮭と長芋のだし煮&春菊の菜めし』を紹介します。お楽しみに! 長谷川あかり料理家、管理栄養士。雑誌やWEB、食品メーカーなどで幅広くレシピを提供。子役としてデビュー後、女優として活躍。料理で人に喜んでもらった経験から料理家の道をめざす。自身のSNSで数多くのレシピを紹介し、発見のある組み合わせと手軽なレシピが大好評。著書に『クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん』(KADOKAWA)。Twitter:@akari_hasegawa