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調理室池田「季節の特別企画・夏の果実をふんだんに」vol.3 桃のコンポートのレシピ

2024.08.02

盛夏、暑中お見舞い申し上げます。
みなさんは夏といえばどんな果実を思い浮かべますか? 私は桃かもしれません。
そして桃といえば、思い浮かべる人がいまして、それは日ごろお世話になっている青果仲卸売業の社長です。桃といえば社長、社長といえば桃です。

いつだったか、ご自宅用に仕入れたという桃があまりにもおいしそうだったので、お願いして半分譲ってもらったことがありました。これがとてもとてもおいしかった。もちろん、産地でしか手に入らない桃や、特別な農家から取り寄せれば、もっといいものはたくさんあるだろうけれど、一般的に流通する桃のなかでは、ダントツに素晴らしかった。そして安かったのです。

市場には、桃などそれこそ山ほどありますが、値段がよければおいしい桃かといえばそうでもないし、だれから買っても同じというわけでもありません。やはり目ききが重要で、目ききは経験値なのだと思ったのでした。

では長年の経験値がない私たちはどんなふうに桃を選べばいいのかというと、私がおすすめしたいのは「選ぶ」というより「待つ」ということかもしれません。

桃のおいしさを最大限引き出す

桃は7月から9月まで出回り、さまざまな品種がリレーされます。果汁が滴り甘く柔らかいものもあれば、熟しても堅い食感のままのものもあります。
品種の特性を変えることはできないけれど、その桃を最大限おいしく食べるポイントは「熟すまで待つ」ことです。ほとんどのものは買ってきてすぐ使えません。店でも4~5日は室温で保存してから使っています。

品種によるところもありますが、「ころあい」ではないものは種も取りにくいし、皮もつるんとむけないのです。ゆえに、日程に少し余裕を持って購入しなければなりません。

甘い香りを放ち、持ったときに柔らかさを感じるまで待つ。もう少し大げさに表現すると、持ったときに柔らかくて持つだけで指の跡がついてしまうのではないかと心配するくらいです。だからつまり、お店では熟成ぐあいを確認してはだめですね。

まずは待つ、買ってきてしばらくおく。これが鉄則です。充分に熟してこそ、桃のおいしさを引き出せるのです。

コンポートを作る

そのまま食べてもおいしい桃ですが、ワインやハーブの香りをつけて、甘く煮るコンポートも私の好きな食べ方。コンポートを上手にきれいに仕上げるポイントは2つあります。

・1つ目は、充分に熟れた桃を使うこと。
・2つ目は、必ずシロップ液と湯むき用のお湯、氷水の3つを用意してから始めること。
段取りが悪いと、桃がどんどん茶色く変色してしまいますよ。

『桃のコンポート』の作り方

材料(4~5人分)
よく熟れた桃……4個

【シロップ液】
白ワイン……450ml
水……150ml
グラニュー糖……225g
ローリエ……2枚

作り方
(1)シロップ液の材料を鍋に入れ、ひと煮立ちさせ、火を止める。

(2)別の鍋に湯むき用の湯を沸かす。大きめのボールに氷水を用意する。

(3)桃は一1個ずつ作業する。桃は包丁で種を中心に縦にぐるりと切り目を入れ、両手で左右をずらすようにして2つに分ける。手を切らないよう気をつけながら包丁の刃先で種のまわりに切り込みを入れ、取り除く。

(4)沸騰した(2)の湯むき用の鍋に桃をおたまや網じゃくしにのせて入れる。30秒ほどしたら氷水にとる。

(5)皮を端からめくってそっとむく。むいたそばから(1)のシロップ液の鍋に浸す。残りの桃も1個ずつ同様に繰り返す。
POINT
空気に触れたとたんに変色が始まるので、すぐにシロップ液に浸すこと。

(6)すべての桃をシロップ液に浸したら、オーブン用シートを鍋の口径に合わせて切ってのせ、鍋からはみ出ないように内側に折り込む(落としぶた)、再び弱火にかけて3分ほど煮る。

(7)火を止めてそのままさまし、密閉できる保存容器にシロップ液ごと入れる(冷蔵で4~5日保存可能)。


桃の割れ目にそって包丁を入れぐるりと一周する。そして手でひねって……
種を取ってぐらぐらに沸いた湯に20~30秒くぐらせたらすぐさま氷水へ取り出す。
そしてゆっくりと皮をむいたら、ひと煮立ちさせておいたシロップ液にすぐに浸す。空気に触れている部分が変色しやすい。
落としぶたをして数分煮たらそのままさます。
容器に移して冷蔵庫でよく冷やす。
写真のように、店で作るときには一度に10個ほど仕込んでいます。
このコンポート液ではアルコール度数が低めの軽いワインを使っています。砂糖の甘みというよりワインの果実味で、桃の味を生かしながらも風味を補うようなバランスです。お酒が苦手なかたはワインと水の割合を変えたり、お砂糖の量を増やしたり、とお好みに合わせて調整してくださいね。

「季節の特別企画」は今回がラスト。あんず、いちじく、ブルーベリーやルバーブ、アメリカンチェリー。そして桃と楽しんでいただけましたか? 次回8/16(金)は菊の花が華やかな『あじのちらしずし』をご紹介します。久しぶりの魚料理です。こちらもお楽しみに。

撮影よもやま話

ご機嫌になると撮影のじゃまをしに来る「ゆきまる(といっても雌猫です)」は、生まれて間もないときに拾ってきたものだから、私たちのことを同じ猫の家族だと思っているようです。宏実のことはお母さん、だからいつも部屋じゅう、後を追いかけて回ってそばから離れません。息子はきょうだいなのでしょう。ふだんは関心なさそうにしているくせに遊びたいときには真っ先にじゃれつきます。私はというと、どうやら子どもと思われているようで、いつも毛繕いや甘がみ(ノミ取り)をして世話をやかれます。これでも人間界では一家の大黒柱だと思うとなんだか複雑な気持ちですが、まぁ、いいか。それにしても桃がお似合いですよ。(文/池田講平)

調理室池田
調理室池田
2018年12月に川崎市にある中央卸売市場北部市場内に開店。アンティークショップ・アートギャラリーを兼ねた、市場には珍しいスタイルのカフェ。早朝から働く人がコーヒーを片手に手軽に食べられるようにと作った焼き菓子や、ツナメルト、フリットといった市場で仕入れる新鮮な魚介類を使ったランチが人気。
公式HP 公式インスタグラム 

神奈川県川崎市宮前区水沢1-1-1 川崎市中央卸売市場北部市場 関連棟 45 
営業日/月・火・木・金・土曜
営業時間/7:00~13:30
(ラストオーダーは13:00、土曜日のみ14:00)
ランチタイムは 11:45~ 休みは市場に準ずる(原則、水・日曜と祝日) 
※一般のかたの市場への入場は8時から。来店の際は必ず上記HPかインスタグラムを確認してください。

調理室池田 過去の連載はこちら

料理・文/池田宏実 撮影・スタイリング/池田講平 編集/小林

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