近所のスーパーで買ってきたミニトマト。たくさん入っている実の中で、
いちばんおいしいのはどれだろう? え? どれも同じに見える? なになに、食べてみればわかる? ……確かにそうなんですが、食べなくても味を比べることができるんです。

まずは、どうやったらおいしいミニトマトを見つけられるか、考えてみましょう!
…………。
いきなりではむずかしいですよね。ではヒント。準備するのは
透明の容器、水、塩です。

水を入れた容器にミニトマトを入れ、塩を少しずつ加えて、混ぜていきます。すると……あら不思議。
ぷかぷか浮いてくるもの、沈んだままのものに分かれます。

浮いたトマトと沈んだトマト、味がどう違うのか、食べ比べてみましょう。じつは、
おいしさの決め手になるのは、食塩水に対するトマトの比重。沈んだほうと浮いたほう、どちらがおいしいかな?
こういった科学的な仕組みは、参考書などを読んでもなかなか頭に入らなかったりしますが、
実際に手を動かして体験すると、すんなり理解できることも。
このトマトの実験のような
「ふと浮かんだ疑問を自らの発想で解決していく」力をはぐくむのが、今注目されている
〈STEAM教育〉というものなのです。
S - Science(科学)T - Technology(技術)E - Engineering(工学)A - Art(芸術)M - Mathematics(数学)STEAM(スティーム)とは、ひと言でいうと、
科学、技術、工学、芸術、数学の頭文字を組み合わせた言葉。
「どうしてだろう?」「こうだったらいいな」と感じるゴールに向けて、
5つの分野を自由に行き来しながら学ぶ「探求型」の学習といえます。
なんだか難しそう……と思った人もいるかも?
でも特別なことではなく、
「おいしいミニトマトを見分ける」など、
家庭でできることもたくさん。
もう1つ例をあげると、
折り紙を橋にしたとき、どう折ったら強くなるか、なんていう実験(遊び?)も立派なSTEAM教育。

折り紙をそのままぺらっと橋にしても、コインを1枚のせただけで落ちてしまいますが、
両端を折り上げたり、蛇腹に折ったりするとコインをたくさんのせられる!
大切なのは「なぜ?」「もっと知りたい!」という好奇心。
AI化が急速に進む一方、環境破壊やエネルギー問題など社会課題が山積みの現代は「1つの正解がない時代」。Q&AのQを解くのではなく
「Qを自ら生み出せる人」が求められる時代なんです。
次世代の新しい学びとして世界じゅうで注目されている、この
「STEAM教育」。日本の学校にもどんどん取り入れられていくはず。子育て中の人をはじめ、だれもが今知っておきたいキーワード間違いなしですよ。
(
『楽しく食べれば、生きるチカラが身につく! こどもオレンジページ No.3』より)